最新の臨床医学:感染症学 1月30日< 風疹>

風疹はウイルス性の感染症です。病原体はトガウイルス科のRNAウイルスです。

 

このウイルスの飛沫により感染します。特徴は発疹、発熱、リンパ節の腫れです。

 

発疹と発熱は同時に出現して、2~3日で消えていきます。

 

耳の後ろのリンパ節が目立ちますが、全身のリンパ節が腫れることがあります。

 

高円寺南診療所の患者さんの平均年齢は比較的若く、妊娠している方の来院も増えてきました。

 

そこで、妊娠中に胎盤を経て感染することによって生じる先天性風疹症候群について説明します。

 

 

 

妊娠16週までに風疹に初感染すると、胎児に先天異常を合併するので注意が必要です。

胎児の症状は、

①目症状(白内障、緑内障、小眼球症)、②難聴、③先天性心疾患

④小頭症、⑤精神遅滞、⑥血小板減少症、溶血性貧血 

⑦ 低出生体重児、⑨ 骨幹端骨変化

 

なお、不顕性といって妊婦が風疹に罹っていても症状がでないために気づかないことがあります。

 

母体の感染時期による先天奇形の発生頻度は妊娠1ヶ月で50%、2ヶ月で30%、3ヵ月で20%、4ヵ月で5%といわれています。

 

しかも、先天性風疹の児は、生後数か月から2歳頃までウイルスを排出し続け、感染源になることも深刻な問題です。

 

 

ただし、妊娠初期に血清反応陰性の妊婦が風疹ワクチンを接種すると、胎児が感染することがあり禁忌です。

 

そこで、妊娠可能な年齢の女性で風疹のワクチン接種を逃してしまった方は、早めに接種しておくことが大切です。