血液・造血器の病気(3話連続)
<風邪?をひいて赤血球が溶ける病気>その3
25歳のイケメン男性Mさん。
普段は元気いっぱいに働いているという筋肉質の立派な体格の方でした。
マイコプラズマ肺炎の疑いで、アジスロマイシン(ジスロマック®)を3日分処方しました。
3日後の再診時には、ほとんどの症状は軽快していました。
血液検査の結果報告では、ヘモグロビン低下、網状赤血球増加を認めたものの白血球数は正常、
赤沈は亢進、CRP は中等度以上の陽性を示し、AST 、ALT などの肝機能のデータも軽度上昇していました。
寒冷凝集反応が強陽性であったためマイコプラズマの可能性が高いことが確認できました。
そこで尿検査を実施したところ尿中のウロビリノーゲンが増加していました。
そこで溶血を疑い、貧血(ヘモグロビン低下)と相まって、はじめて溶血性貧血を疑いました。
赤血球の早期破壊亢進により末梢血中の赤血球数が減少し、貧血を来す病気があり、これを溶血性貧血といいます。
どういうわけか、溶血性貧血という病気は、毎度その存在を忘れかけた頃に、それとは知らずに高円寺南診療所にやってくるのです。
その経験上、マイコプラズマ、サイトメガロウィルス、EBウイルス感染症、インフルエンザウイルスは、しばしば自己免疫性溶血性貧血を合併するという知識が役立っています。
自己免疫性溶血貧血は、自己の赤血球膜抗原に対する抗体(抗赤血球抗体)が生じ、
抗原抗体反応により赤血球膜が変化を受けることがきっかけで補体・貪食細胞などによる赤血球融解(すなわち、溶血)を来す病気です。Ⅱ型アレルギーに分類されています。
後天性溶血性貧血の中では最も頻度が高く、原因により、特発性(原因不明)、続発性の2つに分類されます。
続発性にはSLEなどの膠原病や、マイコプラズマ感染などの感染症によるものがあります。
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