日々の臨床 8月23日水曜日<B型肝炎給付金の受給要件>

消化器系の病気

 

<B型肝炎給付金の受給要件>

 

 

B型肝炎ウイルスに感染しているかどうか検査したい場合は,

 

お住まいの市区町村での検診や,お住まいの都道府県の保健所などで,

 

低額(自治体によっては無料)で肝炎ウイルス検査を受けることができます。

 

詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。

 

 

B型肝炎給付金の受給要件のひとつとして

 

「B型肝炎ウイルスに持続感染していること」という項目がありますが,

 

これは,血液検査の結果が以下の(1)または(2)のいずれかの場合であることが要件とされています。

 

(1)6ヵ月以上の間隔をあけた連続した2時点における,

 

〇HBs抗原(陽性)

 

〇HBV-DNA(陽性)

 

〇HBe抗原(陽性)

 

 

(2)HBc抗体陽性(高力価)

 

※そのほか,医学的知見を踏まえた個別判断により,B型肝炎ウイルスの持続感染が認められる場合があります。

 

 

B型肝炎の給付金制度では,出生時(母子感染)や,乳幼児期の集団予防接種などによりHBVに持続感染した方を受給対象としています。

 

成人後の感染による持続感染者は対象外です。

 

ところでB型肝炎ウイルスは,遺伝子レベルでの分類がされており,これまでA型からH型までの8つの遺伝子型が確認されています。

 

この遺伝子型のことをジェノタイプと呼びます。

 

そのため,平成8年以降にB型肝炎ウイルスの感染が判明した方については,ジェノタイプがAe型(A型の一種)ではないことを証明する検査結果が必要となります。

 

これは,ジェノタイプAe型が平成8年以降に日本で感染例が確認されており,成人後の感染であっても10%前後の方が持続感染化するからです。

 

 

なお,B型肝炎の給付金請求に際して,B型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した検査結果(HBV分子系統解析結果)が必要な場合があります。

 

 

 

1一次感染者の場合

父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合,

 

父親からの感染でないことを証明するための資料として,

 

父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となります。

 

 

2二次感染者(母子感染)の場合

 

母子感染の場合,一次感染者である母親からの感染であることを証明するための資料として,

 

母親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。

 

 

3二次感染者(父子感染)の場合

 

父子感染の場合,一次感染者である父親からの感染であることを証明するための資料として,

 

父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。

 

 

4三次感染者の場合

 

三次感染者の場合,一次感染者である祖母からの感染であることを証明するための資料として,

 

祖母と二次感染者である母親または父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果,

 

さらに,二次感染者である母親または父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。