日々の臨床 7月19日水曜日<胃がん検診(その2)>

消化器系の病気

 

テーマ:胃がん検診(その2)

 

<胃がん検診の意義と目的>

 

 

胃がんの一次検診では:問診、胃X線検査、胃内視鏡検査が勧められています。

 

「ペプシノゲン検査」や「ヘリコバクターピロリ抗体検査」については

 

死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、

 

検診としての実施は勧められていません。

 

「検診」ではなく、「リスク評価」だとされています。

 

 

日本対がん協会が2015年度に全国の支部で行った胃がん検診の結果では、

 

胃がんが発見されたのは1万人中12人という割合になりました。

 

この数字をどのように判断するかは、個人の価値観によって異なるのではないかと思います。

 

ただし、高円寺南診療所のポリシーとしては、

 

1万人中9988人の方のメリットも同時に考慮するようにしています。

 

今回は、その観点を含めて、国の指針では進めていない

 

「ペプシノゲン検査」や「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」の

 

意義についても再検討してみたいと思います。

 

 

 

 

  1. 「ペプシノゲン検査」

 

胃がんの有無を直接検査する方法ではありません。

 

胃がんになる前に萎縮性(いしゅくせい)胃炎という病態が見られることがあります。

 

萎縮性胃炎になると、ペプシノゲンという物質が血液中から減少するため、

 

血液検査によってこの物質の濃度を計ることで萎縮性胃炎を見つけ、

 

胃がんに備えようという検査です。

 

陽性と判定された人は、定期的に検診を受診することで

 

早期がんに備えることができます。

 

血液検査のため、身体には大きな負担がかかりません。検査が比較的安価に行えます。

 

 

  1. 「ヘリコバクターピロリ抗体検査」

 

血液検査によって、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査で、

 

胃がんの有無を直接検査する方法ではありません。

 

胃がんになった日本人の多くからピロリ菌が発見され、

 

胃がんや胃潰瘍との関係が指摘されています。

 

ただし、ピロリ菌に感染した人のなかで胃がんになる人はごく一部です。

 

身体に大きな負担がかかりません。検査が比較的安価に行えます。