内分泌・代謝・栄養の病気

 

テーマ:バゾプレッシン不適合分泌症候群(SIADH)

 

 

<体がだるくて食欲もない>という経験は誰にでもあるのではないかと思われます。

 

この患者さんは、他の精神科(本人は、心療内科と言っている)を受診して抗うつ薬をもらっているとのことでした。

 

ところが、先日、その精神科医に最近、全身倦怠感と食欲不振が徐々にひどくなってきたことを伝えたところ、

 

「思った以上にうつ病が悪化しているので、抗うつ薬を増やしましょう」とのことで、

 

薬を増やしてもらったのに、かえって調子が悪くなってきたので助けて欲しいとのことでした。

 

 

この患者さんが内服していた抗うつ薬は

 

比較的新しいタイプの抗うつ薬ですが、容量も妥当な範囲でした。

 

ただ、不安も強くて、常に水を持ち歩いているとのこと。

 

念のため、毎日どのくらい水を飲んでいるのかを尋ねると3Lほど、とのことでした。

 

身体にむくみはみられません。それもこの種の患者さんとしては、特別な傾向ではありません。

 

統合失調症の患者さんでも、そのような行動をとる方もありますが、そのような兆候もありません。

 

 

そこで、血圧を確認してみると84/52mmHgと低め、脈拍数は54で徐脈でした。

 

次に血液と尿の検査を行ってみました。

 

すると、血清ナトリウムは133mEq/Lと明らかな低ナトリウム血症でした。

 

血清カリウムや腎機能は正常でした。

 

これに対して尿中のナトリウム濃度は25mEq/Lでした。

 

血液中のナトリウム濃度が低い原因は、

 

尿へのナトリウム排泄量が亢進しているためであると考えられます。

 

 

この場合、診断にためには、低ナトリウム血症を来すすべての病気が対象となります。

 

水分摂取過剰により、血液中のナトリウムが希釈されることがありますが、

 

3L程度の水を毎日飲んでいる痛風患者などはザラにいます。

 

それでも血液が異常に希釈されることはまずありません。

 

また、がんなどの悪性腫瘍や中枢神経疾患、肺病などが知られていますが、薬の副作用の可能性もあります。

 

薬の中にはAVP(アルギニン-バゾプレッシン)という抗利尿ホルモンの分泌を刺激したり、

 

あるいは腎臓の尿細管でのAVPの作用を増強したりするものを服用している場合には要注意です。

 

その他、この患者さんが内服していたパロキセチンという抗うつ薬には、

 

バゾプレシン不適合分泌症候群を引き起こすことがあります。

 

つまり、この薬の抗利尿作用により、利尿がつかず、

 

体液が過剰に貯留させてしまうことがあるわけです。

 

 

そこで、パロキセチンによるバゾプレッシン不適合分泌症候群(SIADH)を疑い、

 

パロキセチンの段階的中止を主治医(精神科医)と相談するように勧めました。

 

ところが、うつ状態の増悪と主治医との関係性の悪化を怖れるこの患者さんの了解は得られませんでした。

 

そこで、念のため、この患者さんの水分貯留の経過は急性ではなく慢性であるため、

 

飲水制限と塩分摂取を勧めましたが、やはり反応が不良でした。

 

 

その後、この患者さんは、主治医から再度パロキセチンの処方を増量されましたが、

 

辞退してきたので、助けてほしい、との願いを受けたため、

 

パロキセチンの段階的中止を実施することができました。

 

 

その後、急速に改善し、体が軽くなり、食欲も湧き、自然に飲水量も少なくなりました。

 

また、永らく患ってきた鬱状態も軽快しました。

 

漢方専門医 認定証

(一般社団法人日本東洋医学会)

漢方専門医 

 

 

漢方専門医の資格の意義や漢方専門医の診療スタイルについて、関連資料を引用します。

 

ご興味のある方は、お読みください。

 

 

日本東洋医学会からのお知らせ

 

社団法人 日本東洋医学会は、平成 17年8 月9 日付で、

 

厚生労働省から「専門医資格認定団体」として認められました。

 

このことにより、本学会の認定する

 

漢方専門医」資格について広く社会一般に広告することが可能となりましたので、

 

お知らせいたします。

 

 

この広告が出来るのは一定の基準で資格更新手続きを完了した漢方専門医です。

 

なお、本学会が認可されたことは、

 

下記厚生労働省のホームページに公表されておりますのでご参照下さい。

 

医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について

 

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/08/h0809-4.html

 

 

 

日本東洋医学会専門医制度委員会よりのパブリック・コメント(平成25年10月31日) 

 

日本東洋医学会専門医制度委員会はこれまで専門医を認定するに当たり、

 

日本専門医制評価・認定機 構(以下機構)の基準に本学会が必要とするところを加味し適正に運用してきました。

 

具体的には、基本領域の資格を取得し、学会指定研修施設における3年間以上の漢方臨床研修を終えた専攻医に対して、

 

症例審査(一次試験)、筆記および面接試験(二次試験)を課し、

 

さらに5年毎の更新も他学会では例を見ない症例報告の提出まで義務化しています。

 

 

 

漢方専門医像

 

〇西洋医学的な専門医資格を取得した上で、

 

⇒高円寺南診療所院長は 日本内科学会認定医です。

 

〇さらに漢方医学を充分に修得し、漢方独特の診察を行って、

 

〇患者の皆様一人一人の症状や体質に適した漢方医療を提供することができる医師です。

 

 

 

以下は、日本東洋医学会HPよりの写しです。

 

 

現在、漢方薬は保険診療での使用が認められており、多くの医師が漢方薬を処方しています。

 

しかし、漢方薬を処方する医師が必ずしも漢方専門医というわけではありません

 

そこで漢方専門医とはどんな医師なのかを紹介します。

 

 

漢方専門医とは、西洋医学を十分に習得し

 

内科、外科をはじめ小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻科、精神科など

 

西洋医学の専門分野を持った上で、漢方医学についても修得した医師です。

 

 

漢方では、同じ症状、例えそれが西洋医学では同じ病気でも、

 

一人一人の状態によって用いる薬が異なります。

 

 

そのため漢方専門医は、みなさん一人一人の身体を漢方医学的に診察し、

 

みなさんの症状や体質に合った漢方薬を処方するとともに、

 

体調を整えるために必要な養生法についても指導します。

 

 

漢方専門医の診察風景を簡単に紹介してみましょう。

 

まずは「望診(ぼうしん)」という診察です。

 

あなたの全身をみて、顔色や姿、立ち居振る舞い、皮膚の状態などをみます。

 

 

その後「問診(もんしん)」に移り、症状はもちろんのこと、必ずあなたの体質について聞きます。

 

例えば、暑がりか、寒がりか、疲れやすいか、汗をよくかくか、便の状態はどうか、

 

イライラしたり落ち込んだりするかなど、多岐にわたります。

 

 

その際、声の調子や話し方にも関心を払う

 

聞診(ぶんしん)」という技術も用います。そして漢方独特の診察をします。

 

まず「舌診(ぜっしん)」で、舌の色や形、苔などをみ、

 

次に「脈診(みゃくしん)」で、両腕の脈をみて、

 

さらに「腹診(ふくしん)」でお腹を丁寧に診察します。

 

こうした漢方医学独特の診察を行って、

 

みなさん一人一人の今の状態にどの漢方薬が最も適切かを見極めます。

 

こうして、あらゆる具合の悪さや病気で悩み苦しむ方々に、

 

現代医学とは異なる方法で、

 

症状の改善もしくは治癒を目指す最適な漢方治療を提供します。

 

 

これが日本東洋医学会の漢方専門医です。

 

 

 

専門医認定制度の現状

 

【更新年限】5年毎に更新

 

⇒高円寺南診療所院長は1997年に専門医資格を取得し、

 その後、5年ごとの更新審査を受けてきました。今回は4回目の資格更新です。

 

【専門医数】2,148名

 

 

 

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

テーマ:特定心筋症(続発性心筋症)

 

気が小さくて、些細なことにも不安で怯えてしまう人を指して<ノミの心臓>などということがありますが、スポーツ心臓ならいざしらず、心臓は大きければよいということはありません。

1日80~90g以上のエタノールを5年以上摂り続けた場合に、心不全になることがあります。私が診た患者さんは、動悸と息切れがひどいということで来院されました。胸を打診すると心臓が大きいことがわかりました。

すぐに胸部レントゲンで心臓の形態を確認し、左室拡大(左心室、つまりポンプの中心の部屋が病的に広がっている状態)であることを確認し、心臓超音波検査にて、心不全の診断を確定したことがあります。「あなたの心臓はだいぶ大きいです。」と伝えたところ、「最近、酒が心臓に沁みてきまサー」と答えたのが印象深いです。この方は昼間から酒臭いアルコール常習者で、閉口しましたが、アルコールが原因の心不全であること、禁酒で治せることを説明したら、半年ほどで心不全は見られなくなりました。初診の翌日から断酒したそうです。「そろそろ飲みたくなってきましたか」と尋ねると、「滅相もありませんヤ、肝臓の前に心の臓に来ちまうなんザ、縁起でもねエ、酒はオイラには毒だ。親父も酒飲みだったが、心臓でいってしまった。皆で大往生だなんていっていたが、とんでもねエ話だった。先生には一生感謝だ。恩に着るゼ。」江戸っ子を自慢にする気風の良い方は最近では珍しくなってきて寂しいです。診断名:アルコール性心筋症(拡張型心筋症タイプ)、結果:完治。

 

この種の心臓病の原因は、他に感染性(ウイルス、細菌など)、代謝性(栄養障害、ホルモン異常・アミロイドーシスなど)、全身性(膠原病、白血病、サルコイドーシスなど)、遺伝性・家族性(筋ジストロフィーなど)があります。

 

 

前回は「コンボイ・モデル(ソーシャル・サポート・ネットワークの三重の輪)」のお話をしました。

図1

 

人は悩んでいる時、まずは身近な人に助けを求めたり、相談したりすると思います。

 

 

それほどたいしたことでなければ、2番目の円、家族や友人に気軽に助けを求めるでしょう。

 

 

また勉強のことや病気のこと、制度のことといった専門的なことであれば、

 

一番外側の円、教師や医師、役所の職員のような関連する体系的知識や経験のある人たちに相談してみるでしょう。

 

 

ただ、より個人的であったり、深刻な悩みをもっていたりすると、

 

そう簡単には打ち明けにくいのではないでしょうか。

 

そのような場合は、一番内側の円、自分の弱いところを安心して見せられるような

 

親密な家族、親友に打ち明けることになるでしょう。

 

 

しかし、たとえ親密であっても、「わかってもらえないだろう」とか

 

「心配をかけたくない」という思いが働いたり、

 

非常に個人的な悩みだったりすると、逆に打ち明けられないことがあります。

 

 

そうやって悩みを一人で抱えこんでいると、

 

せっかくのソーシャル・サポート・ネットワークもその人にとって機能しなくなります。

 

当事者の悩みはますます深まり、心身とも弱っていき、

 

「HELP!」と言う気力もタイミングも失い、孤立を深めていきます。

 

 

そういった時に利用できるのが、臨床心理士をはじめとする専門家(心理カウンセラー)です。

 

(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

「水氣道の手引き」第1章 水氣道の沿革 

 

水氣道を、新たにはじめようとするすべての人々にとって、

 

水氣道の活動が、公共の公開された空間で行われているにせよ、

 

水氣道とは未知なる世界のはずです。

 

そして、今までのとこと、自ら求めて水氣道をはじめようとする人は皆無に等しいです。

 

 

水氣道会員と出会い、勧めを受けて、簡単な説明を受けて概要を理解し、

 

おおよそのイメージが形成され、そのイメージを良しとして受容し、

 

実際に始めてみようという決断(態度決定)というプロセスを経て、

 

ようやく実行、つまり水氣道をはじめることができます。

 

ですから水氣道を勧める側も、勧められる側も、手数と手間がかかることは間違いありません。

 

 

「水氣道の手引き」第1章<水氣道の沿革>を書くにあたっては、

 

こうした水氣道の活動が公に受け入れられるようになるまでのいきさつをお伝えしたいと思います。

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:感染症法

 

 

感染症の中には、感染症法という法律の対象となるものがあります。

 

それは感染症に対応して、適切な措置を講じないと社会的なパニックと危機が生じてしまうからです。

 

 

対象となる感染症は、感染力や罹患した場合の重篤性など

 

総合的な観点からみた危険性の高い順から5つの類型(平成28年11月改訂)に分類されます。

 

いずれも消毒等の措置は必要です。

 

 

1類感染症(7疾患)・・・原則として入院(知事には強制入院させる検眼があります)、

 

2類感染症(7疾患)・・・状況に応じて入院、

 

3類感染症(5疾患)・・・特定職種への就業制限、

 

4類感染症(44疾患)・・・媒介動物の輸入規制、

 

5類感染症(48疾患)・・・発生動向調査です。

 

 

以上のうち1類から4類までの感染症は全数把握のため診断後直ちに、

 

保健所長を経由して知事に届け出る必要があります。

 

 

5類感染症のうちの22疾患も全数把握のため、

 

診断後7日以内に、保健所長を経由して知事に届け出る必要があります。

 

5類感染症のうちその他の26疾患は定点把握のみをします。

 

 

かつて、結核については<結核予防法>は平成19年度末に廃止され、

 

2類感染症として感染症法に統合されました。

 

他の2類感染症としては、ポリオ、ジフテリア、鳥インフルエンザなどがあります。

 

また、3類感染症の5疾患は腸管出血性大腸菌感染症、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスです。

 

 

この感染症法と並行して、新興感染症再興感染症輸入感染症が問題になっています。

 

 

とくに、<輸入感染症>とは、日本には常在しないか、

 

あっても稀な病原微生物が海外旅行、海外居住者の来日、輸入動物、輸入食品によって国外から国内に持ち込まれ、

 

国内で伝染性感染症を引き起こす場合をいいます。

 

 

高円寺地区には、上記に該当する患者さんのケースが極めて多いため、

 

特別な準備と配慮が必要であると考えています。

 

 

海外出向者向けの予防接種等の対応を充実させていく予定です。

 

消化器系の病気

 

テーマ:劇症肝炎

 

 

<熱が出て、お腹が痛くて、頭がぼんやりする>という初診の患者さんの症状は、高円寺南診療所では、ごく普通です。

 

しかし、これが、ときとしては普通でない病気のことがあるので要注意です。

 

その病気は、生存率約50%で、特定のタイプに該当する場合の生存率は10~20%です。

 

 

高円寺南診療所では、初診時に血圧および脈拍体温の測定をしてから

 

診察室にはいっていただき、診察の際は呼吸を観察しています。

 

これらをバイタルサインといい、早期の的確な診断のためにとても重要です。

 

一般尿検査は、これに準じると考えます。

 

これらと同時に患者さんの訴え(主たる自覚症状)をもとに状況の変化を観察することにしています。

 

(残念なことですが、最近では、この最低のチェックすら協力的でない患者さんがいらっしゃいます。

 

現場の医療上の大きな問題であると苦慮しています。)

 

 

臨床医(医療の現場の医師)は五官(五感)をフルに働かせ、場合によっては第六感

 

(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感を超えた不思議な感覚)ですら働かせなければならないことがあります。

 

たとえば、この患者さん、何となく肌が黄味がかっている(黄疸:視覚)、

 

赤紫色のあざがある(出血傾向:視覚)、むくみがある(浮腫:視覚・触覚)、

 

独特な口臭を放っている(肝性口臭:嗅覚)、

 

腹部を診察して肝臓が委縮している(肝萎縮:触覚・聴覚)などによって、

 

肝臓病による一連の症状であることの見当がつけば、

 

神経症状である意識障害の程度を見極めます。

 

羽ばたき振戦を認めれば肝不全による意識障害であることが推定できます。

 

 

外来にひとりで歩いて受診される方は、非昏睡型といって意識障害は軽度ですが、油断はできません。

 

初発症状が出現してから11~56日以内に昏睡に陥れば、亜急性型の急性肝不全(劇症肝炎)であり、

 

これが、先ほど触れた、生存率10~20%のタイプなのです。

 

黄疸が現れても全身倦怠感や食欲不振が改善しない場合には、

 

急性肝不全を予知しなければなりません。

 

原因の半分はウイルス性(主に、B型肝炎ウイルス)で、自己免疫性、薬剤性と続きます。

 

3ヶ月ほど前に会社の人間ドックを受けたという患者さんで、

 

その際に肝機能が正常だったからといって、肝障害の診断を受け入れない方があり困ったことがあります。

 

 

少し専門的な話になりますが、正常な肝臓に急性で高度な肝障害を生じ、

 

初発症状の出現より8週(56日)以内にPT延長(40%以下)ないし、INR1.5以上を示すものが急性肝不全(劇症肝炎)です。

 

PTとは、プロトロンビン時間のことで、外因系凝固活性化機序を反映する検査です。

 

PTが延長することと、INRが上昇することは同じ内容で、血液が凝固せず出血傾向となります。

 

 

この病気の合併症として、肺炎が最も重要であり、

 

他に、腎不全、脳浮腫、消化管出血などが死因につながります。

 

尚、治療法は、輸液による全身管理、血液透析、肝移植などです。

先月は、14日から26日までの間、ベルリン(ドイツ)学会出張および

 

ウィーン(オーストリア)研修旅行のため休診とし、ご迷惑をお掛けいたしました。

 

 

27日(月)昼頃定刻に羽田に到着でき、幸い体調も良かったため、

 

3:00PMからの水氣道(杉十温水プール)および定刻の5:00PMからの通常診療を臨時に行いました。

 

 

まったく、時差ボケの影響が無く、心身共に好調です。

 

 

実は、昨年9月のフランス出張後、6週間に及ぶ時差ボケの影響で苦しみました。

 

フランス出張期間は、オペラ観劇など夜間の活動は控えていたにもかかわらずです。

 

今回は自ら考案した対時差ボケ戦略を考案し、ほぼ毎晩オペラ劇場通いをしながら、

 

時差ボケに陥らないで済む方法の有効性を実験しましたが、期待以上の効果を得ることができました。

 

 

そのコツについてお伝えしましょう。

 

1)時差を正確に認識する(東京⇔ベルリン・ウィーン:8時間)

 

2)東京時間の腕時計をもつ

 

3)現地の朝食開始時刻6:00AMが、東京時間の2:00PMであることを意識して、

朝食をなるべく早い時間にしっかり摂取する。

 

4)現地での昼食1:00PMが、東京時間の9:00PMであることを意識して、

昼食も、なるべく早い時間に、しっかりと摂取する。

(東京で9:00PMに夕食を過剰摂取するのは好ましくないが、現地では活動時間帯であるため)

 

5)東京での起床時刻5:30AMは、現地では10:30PMであるため、

本来であればこの時間まで数時間仮眠を取ればよいが、

オペラ観劇があるため、11:30PMに就寝し、覚醒したら二度寝しない。

 

現地時間で3:00AM(東京時間で11:00AM)には目が覚めるので、

夜明けまでデスクワークして朝食を待つ。

 

6)東京での水氣道の活動時間帯にあわせて、現地でも水氣道を実行する。

ミストサウナ・シャワー・⒙℃プール歩行(基本5航法)

 

 

月曜日3:00PM(東京)⇒7:00AM(ウィーン)

 

水曜日9:00AM(東京)⇒1:00AM(ウィーン)

 

ウィーン起床時3:00AMにホテルの自室でシャワー浴

 

土曜日4:00PM(東京)⇒8:00AM(ウィーン)

 

ミストサウナ・シャワー・⒙℃プール歩行(基本5航法)

 

 

結果:現地でフル活動して、しかも帰国後1週間を経てもすこぶる好調です。

 

 

 

ちなみに、帰国後も多忙で、日本心療内科学会に、ただちに報告書を提出しました。

 

4月4日付けで、学会事務局から以下の通知を受けましたので、ご報告いたします。

 

高円寺南診療所

飯嶋正広先生

 

平素より大変お世話になっております。

 

お忙しい中、ドイツ心身医学会参加報告書ならびに

 

参加証お送りいただきありがとうございました。

 

来週には、ご指定の口座に学会からの交通費補助金

 

5万円お振込の予定でございます。

 

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

♪~~~~~~~~~~~~♪~~~~~~~~~~♪

 

特定非営利活動法人 日本心療内科学会 事務局 桜井 美保

 

 

欧州までの旅費は5万円では、到底賄えませんが、公的な学術団体から、

 

私の学術活動が正式に評価されたことは意義深いものであり、

 

ありがたく受け取らせていただくことにしました。

血液・造血器の病気

 

テーマ:血球貪食症候群

 

発熱・倦怠感で発症する病気は、とても多く、ほぼ毎日、こうした症状の患者さんを診ています。

 

熱が出てだるくなってから、次第に、ささいなことで出血しやすくなり、貧血となり、

 

感染症にかかり易くなると、風邪あるいはインフルエンザなどの感染症と区別しなくてはならなくなります。

 

しばしば、肝不全やDICを伴い生命にかかわる重篤な状況に陥ります。

 

このDICとは播種性血管内凝固症候群の略称で、

 

これは、さまざまな重症の基礎疾患のために過剰な血液凝固反応活性化が生ずるため

 

生体内の抗血栓性の制御能が十分でなくなり、

 

全身の細小血管内で微小血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる予後不良の病気です。

 

 

風邪症状が長引き、全身症状が出現する場合の診断のポイントは、

 

小児であれば、ウイルス感染や急性リンパ性白血病などの可能性の見極めですが、

 

成人の場合は悪性リンパ腫や自己免疫疾患の可能性の見極めをしなければなりません。

 

 

貧血の有無は、患者さんの瞼(まぶた)をひっくりかえしてみれば、おおよその見当がつきます。

 

治療が必要な程度の貧血では、瞼の結膜に赤みが失せていて青白くなります。

 

貧血ありの場合は血液検査をします。

 

赤血球、白血球、血小板という3系統のうち、2系統以上の血球が減少していたら、汎血球減少の進行を疑います。

 

その他、血清フェリチンが高値、血液関連の酵素であるLDHの高値を確認します。

 

骨髄検査は、紹介状を書いて入院を前提として実施していただきます。

 

 

悪性リンパ腫やウイルス感染などが引き金となり、

 

マクロファージ・組織級が活性化されると、自己の血球の貪食をはじめます。

 

マクロファージ(Macrophage, MΦ)とは白血球の1種です。

 

生体内をアメーバ様運動する遊走性の食細胞で、死んだ細胞やその破片、

 

体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を捕食して消化し、清掃屋の役割を果たします。

 

このマクロファージなどから種々のサイトカインが分泌されることによって、

 

血球減少、高熱、肝臓・脾臓の肥大、血液の凝固の異常がもたらされます。

 

これが血球貪食症候群です。

 

 

診断さえ確定すれば、治療選択は比較的容易です。

 

 

中毒・物理的原因による疾患、救急医学

 

テーマ:無機鉛中毒

 

 

鉛中毒は、重金属中毒のうちで、最も身近な中毒です。

 

最も身近な中毒だからといって、診断は容易ではありません。

 

鉛中毒の代表的な症状は3つあります。

 

①貧血、② 腹痛、③ 運動神経麻痺です。

 

 

このそれぞれの症状に対応した精密検査を行っても

 

①貧血は低色素性小球性貧血なので、鉄欠乏性貧血との鑑別が必要です。

 

赤血球の検査では、赤血球中ALA-Dの活性低下、赤血球プロトポルフィリン増加を認めますが、

 

この検査は、そもそも鉛中毒と診断されない限り行われません。

 

環状鉄芽球を伴う鉄芽球性貧血をきたしますが、

 

これが検出されても鉛中毒診断に結び付かないこともあるでしょう

 

 

②腹痛は鉛疝痛と呼ばれる特徴的な痛みで、食欲減退、便秘、下痢などさまざまな消化器系症状を伴いますが、

 

これらの症状だけで鉛中毒を疑う内科医は皆無に近いと思います。

 

③知覚神経より、運動神経障害が主であること、

 

末梢運動神経麻痺は筋肉痛、筋力低下を伴い、とくに伸筋麻痺が特徴です。

 

そのため、手足の下垂が観察されます。

 

これを観察して無機鉛中毒を疑う整形外科医や神経内科医も、実際には極めて少ないと思います。 

 

なお、中枢神経系の障害として、小児では鉛脳症が知られていますが、

 

これを知っている小児科医もわずかだと思います。

 

無機鉛中毒の正しい診断に辿り着くためには、

 

職場環境を十分に問診しているかどうかにかかっているといっても過言ではないでしょう。

 

発生する職場は限られていて、蓄電池(バッテリー)製造をはじめ、

 

クリスタルガラス製造、七宝焼、塩化ビニル加工等です。

 

侵入経路は経気道(粉塵またはフューム)が主、他に経口、骨に蓄積します。

 

無機鉛は赤血球に含まれる血色素の構成成分であるヘムの合成が障害されるために、

 

赤血球中ALA-Dの活性低下や赤血球の寿命が短縮することで貧血をきたします。

 

 

結論:予防と詳しい問診が肝心:予防は職場の換気を改善することのみです。