今月のテーマ<内分泌の特定内科診療>
「重症急性膵炎」
外来で腹痛や背部痛、吐き気や嘔吐を訴える患者さんは少なくないのですが、
そのような場合に、いつも頭を過ぎるのは急性膵炎や急性虫垂炎(俗に盲腸炎)などです。
診察ベッドに横になっていただき、前かがみで腹痛が軽快するときは、特に急性膵炎を疑い、
ただちに腹部超音波検査と胸や腹部のレントゲン検査を行います。
中高年の男性が大量飲酒後に起こすアルコール性急性膵炎が代表的です。
しかし、女性も男性の半数程度の頻度で発症し、
その原因は胆石による胆石性急性膵炎あることが多いです。
急性膵炎と診断したら、次には重症度の判定が必要ですが、
まず、年齢です。70歳以上は要注意です。
そして、動脈血中の酸素分圧≤60㎜Hg
または人工呼吸を必要とするような呼吸不全かどうかどうかを見極めます。
動脈採血して酸素分圧を分析することは緊急設備がある病院でないと実施できないので、
簡便にかつ迅速に測定できる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)計により、
動脈血酸素飽和度が90%未満かどうかで判断しています。
次のステップとしては
全身性炎症反応症候群に該当するかどうかを迅速に判断しなければなりません。
具体的には、以下の項目です。
1)体温>38℃あるいは<36℃
2)脈拍数>90/分
3)呼吸数>20/分あるいは動脈血中二酸化炭素分圧<32mmHg
4)白血球数>12,000/ または<4,000/ または10%超の幼弱球の出現
以上のうちで、一般の診療所で即座に確認できるのは①、②および③のみです。
しかし、この3項目が該当すると全身性炎症反応症候群と診断できることになっています。
そうすると、激しい腹痛を訴える患者さんの多くが、これに該当してしまいます。
急性膵炎の重症度判定を判定基準により厳密に行うためには、
血液検査の結果を待たなくてはならないため、手遅れにならないよう注意が必要です。
したがって急性膵炎を疑った場合は、重症度に関係なく、
緊急入院できる準備をし、24時間安全が確保される環境に移送することが大切です。
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