故郷(茨城)探訪

 

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一般社団法人 日本温泉物理医学会

認定温泉専門医(登録番号第150号)/温泉療法医(登録番号686号)

 

飯嶋 正広

 

 

「知られざる茨城の名湯・秘境」シリーズ

 

第二弾:常磐うぐいす谷温泉 竹の葉(北茨城市)その6

 

<「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の味わい方・私の温泉養生法>

 

「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」は利用場所(住所:茨城県北茨城市磯原町磯原2275)の名称であり、利用源泉名は常磐うぐいす谷温泉、湧出地は北茨城市磯原町磯原2419であることから、湧水地と利用場所は接近していることがわかります。
 

我が家の家族を含め計4名の官能試験で気になった点は、臭気です。娘たちは消毒臭を感じたそうですが、確かに私自身もはっきりと感じました。逆に、硫化水素臭は感知できませんでした。

これは、屋内の大浴場では顕著でしたが、大浴場に隣接した露天風呂では感じ取れませんでした。幸い内湯も半露天風呂であり、風通しが良いためか、入浴してしばらくすると塩素臭は気にならなくなる程度でした。
 

入浴の仕方には、全身浴と部分浴があります。最近では、各地で脚浴(あしよく)が可能な屋外施設が増え、また家庭の浴槽でも半身浴を楽しむこともなされているようです。

 

私は、屋内大浴場の消毒臭を好まないので、短時間の全身浴で温めたあとに、隣接する露天風呂に移動して、ゆっくり入浴することにしました。露天風呂の利点で注目すべきは、体幹と四肢をしっかり温めることができる一方で、頭部・顔面・頸部までが新鮮な外気に触れて適度に冷やされるため、いわゆる「頭寒足熱(上寒下熱)」の状態を維持できることです。

そのために、入浴によるのぼせが生じにくい、ということです。

 

いわゆる更年期障害の女性などは、まさにこの逆の状態、つまり、上熱下寒により心身の不調を来すので、家庭においては半身浴、温泉地では露天風呂を試してみるのが良いでしょう。

 

また女性に限らず、デスクワーク中心で、運動不足となるため、頭痛や肩こりに悩む男性諸君にも、同様にお勧めしたいと思います。
 

 

快適であるため少し長めに入浴してしたために、全身が火照る感じとなったため、客室のテラスの椅子にゆったりと腰をかけてコーヒーを楽しんでいると、渓流からの冷気にさらされ、少しずつ両脚が冷えてきました。

そこで、試してみたのが内湯の露天風呂での部分浴でした。はじめは足だけでしたが、次に膝まで、やがて半身浴、そして再び全身浴で仕上げで上がりましたが、一日中心身か爽やかで、快適に活動を続けることができました。

 

「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の<温泉の成分と使用説明>によると、温泉は加温、循環ろ経過式(循環ろ過装置使用)、消毒(塩素系薬剤使用)、源泉100%使用であることが表示されています。

 

茨城県内において、果たして「源泉かけ流し」式の温泉が存在するのかどうか定かではありませんが、たとえ源泉100%であっても、泉水の再利用をせざるを得ない場合には、消毒は不可避の条件と言うことになります。

その場合の塩素濃度が気になるところですが、表示されていません。また、当然ではありますが、<〇温泉の飲用について この温泉は飲料用ではありません。>つまり、飲泉禁止ということです。

 

飲泉(いんせん)とは、温泉を飲むという行為、またはそのことによって病気の回復などの効能を得ようとすることです。 湯治においては、温泉に入るだけではなく、飲泉を行うことによってさらに回復効果が高まるという考えが日本や欧州にありました。

 

特に炭酸泉などは「霊泉」といわれ、薬効が高いものとして珍重されたほか、嗜好飲料として飲まれることもありました。サイダー飲料の原料として炭酸泉が用いられた代表的事例としては、平野鉱泉の「三ツ矢サイダー」や有馬温泉の「有馬サイダー」などがあります。

 

現在でも、露天風呂の注ぎ口などにコップや柄杓などを設置して利用者に飲ませたり、別途蛇口を設置して、飲泉設備として整備したりしている例があります。

温泉といっても循環風呂の注ぎ口のお湯など衛生上問題がある場合や、保健所に飲泉許可を取得していないために飲泉が禁じられている場合もあるので、温泉成分表の掲示で飲用可能と表示されていない場合には、飲泉をお勧めすることはできません。

なお東京都の温泉では飲泉は許可されていません。なお、全国に名高い箱根温泉でもほとんどが飲泉不可です。

 

温泉が飲泉可能な施設では、温泉分析表別表(温泉適応表)などに「飲泉する場合の適量」が記載されていると存じますので、その記載を見つけて、しっかり読んでから温泉を飲みましょう。

 

かみしめるようにゆっくりと少しずつ、時間をかけて飲むと効果的です。浴室にて飲んでも良い場合は、源泉投入口や、専用の源泉飲泉場所に「コップ」が置いてありますので、新鮮な湯(源泉)を飲みましょう。ただし、湯船の温泉は飲まないでください。 
 

そこで、茨城県内で飲泉可能な温泉を検索したところ、浅川温泉・弁天の湯(茨城県大子町)に辿りついたのですが、閉館してしまったとのことです。とても残念です。私のこの「知られざる茨城の名湯・秘境」シリーズ、もっと早くから始めておくべきだったのかもしれません。