『嘱託臨床産業医』の相談箱

 

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臨床産業医オフィス

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

ハラスメント対策の本質論(No3)

 

Ⅲ 各論(防止措置の概略)

「ハラスメント」に対して企業はどのような対策をすべきか

 

職場での「ハラスメント」にどう対処すれば良いのでしょうか。厚生労働省では、その予防から事後対応に至るまでのサポートガイドを出しています。

 

(1)講ずべき措置(義務)
  

A.方針の明確化及びその周知・啓発
(防止規程などを定めて社員に周知すること)

 

A-1法律を周知する
まずハラスメント防止に関連するさまざまな法律が規定されていることを企業内に周知することが対策の出発点として重要となってきます。

1999年、男女雇用機会均等法では職場でのセクシャルハラスメントの防止措置を事業主に義務付けました。また、2017年には男女雇用機会均等法や育児・介護休業法が改正され、妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントの防止措置も事業主に義務付けられています。

こうした法律が、どのような背景が課題となって成立し、どのような目的のために実施されるのかなど、制度の趣旨を理解することが不可欠の準備事項になるでしょう。

 

A-2対処の規定や周知を行う

就業規則の規定やパンフレット、社内報などを通じて職場での「ハラスメント」への対処の仕方を周知するのも上策であるとされます。「どんな行動がハラスメントになるのか」「ハラスメント行為をした場合、どんな処分が下されるか」などを書き記し、社員に徹底を呼びかけることによって、法律より具体的に解説し、身近な問題として認識してもらえるようになることがその目的となります。