<心サルコイドーシス(特に、心臓限局性サルコイドーシス)>
サルコイドーシスは胸部X線写真で両側肺門部リンパ節の腫大(Bilateral Hilar Lymphadenopathy; BHL)が健診などで偶然発見される場合が多いです。
この場合には、自覚症状はほとんどありません。
また、若くてBHLだけで見つかって、あまり症状もないという患者さんでは、8割がた自然に治ってしまいます。
それから、病気が肺の中まですすんできて胸部X線写真で顕著な陰影があってもあまり自覚症状がないのが、この病気の特徴のひとつです。
逆にいうと、進展度が自分ではわからないわけですから、定期的に医療機関で胸部X線写真を検査し続けることが必要です。
それでも肺の陰影が長く続くと、進行して「肺線維症」という状態になって、せきや息切れがでてくることがあります。
自然になおってしまう患者さんがいる一方、肺線維症になって、肺移植の適応になる方もおられるわけです。あまり進行する前に治療を開始する必要があります。
サルコイドーシスは特定疾患であり、早期の診断は副腎皮質ステロイドの投与の適応の判断を含め重要です。
組織診断群と臨床診断群とにわかれ、まずサルコイドーシスを診断し、それの診断基準を満たしたあと、心サルコイドーシスの診断を満たすか否かの検討をする手順を踏むのが通常です。
最近の動向としては、心エコー検査―での局所的壁運動異常所見は、ガドリニウム造影MRIにおける心筋の遅延造影とともの副徴候から主徴候に変更されました。
また、PET-CTが主徴候に加えられました。サルコイドーシスは、一般的に心臓以外では予後良好な疾患であり、肺や皮膚、眼のサルコイドーシスはいったん全身精査をされれば、その後は経過観察のみで済む場合が多いです。
しかしながら、心臓には心臓限局性サルコイドーシスという病型があります。
心サルコイドーシスは進行性に心機能が低下していく可能性のある予後不良な疾患です。
副腎皮質ステロイドなどの薬物療法が基本となりますが、心機能低下、心室性不整脈の発生が認められれば植込み型除細動器の考慮も必要です。
なお、心臓以外のサルコイドーシスからのちに心サルコイドーシスが発症する場合があります。
ですから、サルコイドーシスが一般的には予後良好な疾患だからということで、定期的な心臓を含めた経過観察を怠らないようにすることが大切です。
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