理気航法No2

 

理想的な呼吸を保つためには、前提条件があります。

 

それは、「良好な姿勢」です。

 

姿勢が崩れていると、理想的な呼吸に近づくことはできません。

 

正しい姿勢の保持も、呼吸と同じ理屈で、

 

トレーニングのときだけ意識するだけでは十分に矯正することはできません。

 

水中での歩行は、おのずと「良好な姿勢」になっていなければ運動が継続できません。

 

水氣道の稽古は、特別に姿勢を意識せずとも、

 

無意識に「良好な姿勢」になるように考えられています。

 

この無意識での力みのない「良好な姿勢」は、

 

「良好な呼吸」をもたらすことに繋がります。

 

 

 

もう一つの大切な条件。

 

それは「氣」とは何かということを探求し続けることです。

 

私は理気航法の名称の由来にもなっている「氣」、

 

このキーワードを常に頭に入れておくことがとても大事だと考えています。

 

 

それは呼吸を意識し体を自然に動かすことによって、

 

全身に流れているエネルギーを整えていく、

 

それこそが、この航法の中心であり、要だと実感しているからです。

 

また、理気の「理」には、<整える>、<理に適っている>、<理想的>という意味が込められています。

 

 

このように、理気航法には様々なメリットがあることが、お分かりいただけると思います。

 

 

実は、私自身も呼吸が浅く、メンタルでの不調が身体化しやすい体質のため、

 

この理気航法による鍛錬と養生を特に必要としている一人でもあります。

 

 

「自分自身の弱点を理解することが、他人を理解することに繋がる」

 

このことを忘れずに、これからも、皆さんとともに弛まずに

 

楽しくエクササイズしていけたらと思っています。

 

 

日本水氣道協会 副支援員 水氣道少初段上

 

水氣道理気航法 直伝 金澤 克彦

 

 

理気航法No1

 

 

私たちは生まれてからその一生を終えるまで、絶えず呼吸をし続けています。

 

しかし、この呼吸を意識して生活している人は意外に少ないものです。

 

 

また、トレーニングの目的で呼吸を意識して行っている人は少なくないですが、

 

意識しているときだけに有効な呼吸法には限界があるのではないでしょうか。

 

 

水氣道の稽古に慣れてくると、呼吸を特に意識せず、つまり、無意識のうちに

 

理想的な呼吸パターンが身体に定着していくので、睡眠中の呼吸も整っていくことになります。

 

 

理気航法では、まず息を吐くことを意識します。そして、それに連動した形で

 

上半身を中心にストレッチをしていきます。

 

そうすることで無駄な力が抜けやすくなります。

 

そのためリラックスした状態で、体を動かすことができます。

 

 

人間の呼吸は、吐き出した分の空気は、必ず自然に戻ってきます。

 

つまり、しっかり意識して努力して吐き出すようにすると、

 

無意識のうちに自然に吸い込むことができます。

 

その結果、緊張を続けなくても、しっかりした呼吸ができるようになります。

 

つまり、過剰な緊張(ストレス)の連続ではなく、

 

適度で心地良い緊張と弛緩との繰り返しによって

 

安定したリラックス状態を導くことができるようになるのです。

 

 

日本水氣道協会 副支援員 水氣道少初段上

 

水氣道理気航法 直伝 金澤 克彦

 

基本航法の実施要領(その3)

 

 

今回は、基本航法のまとめです。体験生や訓練生の方は、

 

太字のところだけ覚えていただければ十分です。

 

 

 

水氣道における身体の位置座標は、見えないが体感できる重力による鉛直軸と、

 

見えるけれども体感できない水平軸の2軸です。

 

水と大気の接点が水平面であり、これが水氣道の水平軸になります。

 

これに対して、水の浮力が重力と同じ鉛直軸において作用します。

 

第一航法の素歩きの「起(き)」の形は、水平軸と鉛直軸を感じ取りやすい体位になっています。

 

 

 

第一航法 素歩き

(水氣道の基本の形です)虚

 

下半身、とくに支持脚では重力を、遊脚では充分に浮力を感じるようにします。

 

 

第二航法 棒歩き

(ひじ関節、膝関節をまっすぐに棒のように伸ばします)実

 

腕、脚の開脚角度に意識して、脚はすり足歩行

 

 

第三航法 前蹴り歩き

(蹴るようには見えますが、膝を伸展させるのが目的です)虚

 

第一航法の型が基本になります:浮力を感じ、これに委ねて腿上げを楽に

 

 

第四航法 つま先浮かし

(脱力して浮かせるのであって、持ち上げるのではありません)実

 

遊脚全体に浮力を感じるようにします

 

 

第五航法 前後けり歩き

(蹴るようには見えますが、膝を伸展させるのが目的です)虚

 

第一航法の形が基本になります:膝の屈曲・伸展運動を緩・急のリズムに乗せて行います

 

 

 

註:水氣道には第六航法以下の発展航法があります。

 

第六航法は振り子航法という名称があります。偶数番目の航法なので、

 

第2航法の発展形で、やはり実に属します。

 

 

水氣道の本稽古は90分に及びますが、年配者や虚弱体質の方を含めて、

 

僅かな休憩を挟むのみで持続運動継続が可能な理由は、

 

こうした東洋医学的な虚・実の反復、

 

つまり、メリハリのバランスで成り立っているからなのです。

 

基本航法の実施要領(その2)

 

水氣道の基本航法は、第一航法(虚)と第二航法(実)、

 

つまり虚と実の反復によって、段階的に進行していきます。

 

ですから、第一航法と同様に奇数番目の航法である第三航法と第五航法は、虚の航法に属し、

 

第二航法と同様に偶数番目の航法である第四航法は、実の航法に属するといえます。

 

虚の動作ばかりだと、身も心も緩み過ぎになりますし、

 

実の動作ばかりだと、身も心も固まり過ぎてしまいます。

 

 

水も気も道(人道・天道)も中庸を好み、極端(破綻:はたん)を嫌います。

 

つまり、平衡(バランス)です。

 

ここで皆様に理解しておいていただきたいのは、

 

バランスには二つあるということです。

 

それは静的バランスと動的バランスです。

 

前者は止まっていること、固定していることであって死を意味します。

 

後者は、一定の許容範囲の中で、周期的に反復して揺れ動き続けることによって、

 

破綻を免れながら命をつないでいく営みです。

 

健やかに生きるということは、収縮・拡張という宇宙の鼓動のように

 

リズミカルに緊張・弛緩を反復させながら、動的バランスに乗りつつ、

 

外乱に巻き込まれずに歩み続けることです。

 

 

継続可能な動作とは、すべからく、メリハリが大切です。

 

メリハリとはメリとカリが転じたものされます。

 

これは邦楽の用語で、めり(減り)かり(上り、甲、浮り)から来ています。

 

めり(減り)とは低音で、かり(上り、甲、浮り)とは高音を意味します。

 

 

第一航法はメリ、第二航法はハリ、です。

 

水氣道はこうした音楽のようなものです。人体は楽器そのものです。

 

基本航法(五航法)について3回に分けて掲載します。

 

 

基本航法の実施要領(その1)

 

 

まず、基本航法に入る前に準備訓練をしっかり行ってください。

 

準備訓練とは、準備航法(親水三航法)と準備体操(イキイキ体操)です。

 

両方を行うのが望ましいですが、少なくとも準備体操(イキイキ体操)は

 

なるべくしっかりと行ってください。

 

 

水氣道の基本航法は、準備航法や準備体操の導入以前に確立した航法です。

 

基本航法は第一航法から第五航法まで、5つの航法から成り立っています。

 

そのため、基本五航法と呼びならわされています。

 

基本航法の5つの航法は、それぞれ固有の名称が付されています。

 

 

基本航法の最初は第一航法です。これを、素歩き(すあるき)と呼んでいます。

 

水氣道の根本の形(かた)の一つです。

 

第一航法の特徴は、膝関節の伸展・屈曲を左右交互に繰り返しながら、進んでいくところにあります。

 

全体的には重力と浮力とのバランス、局所的には関節に注目します。

 

 

一連の動作は滑らかでリラックスした流れの中で繰り返されます。

 

東洋医学的には虚(きょ)といいます。

 

 

 

水氣道の根本の形がもう一つあります。

 

それは、第二航法の棒歩き(ぼうあるき)です。

 

 

第二航法の特徴は、膝関節を伸ばしたまま、

 

股関節の伸展・屈曲を左右交互に繰り返しながら、進んでいくところにあります。

 

全体的にはやはり、重力と浮力とのバランス、局所的には関節に注目します。

 

一連の動作は緊張と弛緩のリズミカルなメリハリのなかで繰り返されます。

 

東洋医学的には実(じつ)といいます。

 

高円寺南診療所ホームページに水氣道の沿革を追加します。

 

それに先立ち「水氣道へのご招待」に掲載しました。

 

 

水氣道

<創始者> 飯嶋正広

 

《 水氣道 》は標準的外来保険診療の限界に直面することが端緒となりました。

 

まず、伝統的な自然療法の基礎のうえに、現代の心身医学の立場から開発した

 

水中有酸素運動としての基本技術を体系化しました。

 

 

つぎに、組織的団体運動の利点を生かした生涯エクササイズとしての活動体系を構築しました。

 

 

そして、対象を、高円寺南診療所の老若男女の患者の皆様に限定せず、

 

地域を超え、職域を超え、さらに国境をも越えて、未来を見据えながら今日なお進展しつつあります。

 

 

 

《沿革》

 

1989年

 高円寺南診療所を開設。間もなく現代医学に基づく標準的な保険診療の限界と欠点および矛盾に直面する。

 

 

1992年

 “自然療法”へ接近のため、日本温泉物理医学会総会会員となる 

 

(その後、温泉療法医・専門医・学会評議員となり、

 

水中運動・運動浴等や鍼灸療法心身医学療法などについて発表する)

 

 

1995年

この頃、室内温水プール施設(杉十室内温水プール)で、

 

水中運動の有効性を実感し、水治療の体系化の必要性とその意義を認識する。

 

 

1997年10月 

クナイプ自然療法の集中研修のためバート・ヴェーリスホーフェン

 

(ドイツ・バイエルン州)にてドイツ人医師と共に受講する。

 

クナイプ水療法は運動療法の他に食事療法は薬草療法と結びついて

 

体系的治療をなし、その中核に心身医学療法が見いだされた。

 

<日本人医師は他に、鏡森定信教授(後に、富山大学医学部長を務める)のみで、

 

爾来親交を続けている。>

 

 

2003年12月

杉並区教育委員会管轄下のスポーツ財団に団体登録団体名を<日本水氣道協会>とする。

 

 

2004年3月

東京大学より保健学修士の学位を授与される。

 

2005年9月American Holistic College of Nutrition(non accredited)

 

ホリスティック栄養学博士の学位を授与される。

 

 

2010年3月

東京大学より医学博士の学位を授与される。

 

 

2014年11月5日

 水氣道を体験した初のジャーナリストとして山口博弥氏

(当時、讀賣新聞医療部次長、盛岡支局長を経て、現在、医療部長)

 

の取材に応じ、讀賣新聞<医療ルネサンス>にて紹介される。

 

 

2015年12月25日

総説:私の水治療体系-水氣道20年の歩み- Comprehensive Medicine 

   全人的医療 Vol.14 No.1

 

 

2016年2月14日

 水氣道の4名称の商標登録出願

 

 

2016年3月18日

 ドイツ心身医学会(ポツダム大学)の英語発表で水氣道の概要を紹介

 

Interpersonal relationships and subjective experiences of relationships acquired through the activities of Suikido : Mindfulness Group Aquabics (MGA)

 

 

2016年9月9日

 水氣道の4名称の商標登録認可 

 

<水気道®、水氣道®、suikido®、Mindfulness Group Aquabics®>

 

 

2017年3月23日

ドイツ心身医学会(ベルリン自由大学)のドイツ語発表で水氣道による症例を報告

 

Suikido hat mich von Fibromyalgie gerettet“ 50-jähriger Mann, Professor an der Universität

今月のテーマ:水氣道の、いつ・どこで・誰と・どのように

 

 

水氣道の<いつ>について。

 

 

まず、水氣道は<>から始めることができるのでしょうか?

 

水氣道は、集団行動がとれる年齢になったら、始めることができます。

 

集団行動とは一定の組織・集団が、同一の目標の下に、規律のある行動を取ることです。

 

統制(集団行動は、一般的には児童とくに学童が、

 

学校体育等の初期の授業で実施されることが多いです。

 

これは<気をつけ>の姿勢、<前へ習え>の整列などのから始まり、

 

人員点呼等もあります。集団を目的地にまで円滑に進めるには必要な行動とされます。

 

ですから、水氣道入門の年齢の下限も、将来的には、

 

集団行動をとれる、おおよそ学童期を想定しています。

 

しかし、現時点での受け入れは、18歳以上としています。

 

それは、水氣道の稽古施設の使用条件に年齢制限が設定されているためです。

 

たとえば、新宿の東京都健康プラザ<ハイジア>会場の室内温水プールを使用するには、

 

年齢が18歳以上という条件が付されています。

 

 

つぎに、水氣道は<いつ>から始めたら良いでしょうか?

 

水氣道の初参加は、フィットネス・チェック(体組成・体力検査)の結果、

 

一定の条件に叶っていれば、年間を通して、どの季節からでも始められます。

 

まれに、<基礎体力不十分>と判定される場合は、

 

春季(概ね4月以降)に開始できるように、メンテナンスを開始します。

 

水氣道では年末の12月から翌年の2月までの3か月間の稽古を《寒稽古》と呼んでいます。

 

9月までに稽古を始め最低週1回以上の稽古を続けられた方は、

 

初年度の《寒稽古》を立派にこなしています。

 

寒稽古》を立派に成し遂げた参加者は、翌年の4月に昇級できる有力候補になります。

今月のテーマ:「水氣道の手引き」作成にあたって

 

「水氣道の手引き」第5章 水氣道の特質

 

 

5-1 水氣道をはじめるための心得

 

自らの理性で物事の理非を弁えることができない人々とは、

 

つまり、自分自身の価値判断ができない人々を意味します。

 

まずは、他者の話を聞こうとはせず、すべてを拒絶する人、

 

つぎに、じっくり理解を深めていこうとする努力を怠る人、

 

さらには、必要なことは理解し、自分自身にとっての必要性を認めたのにもかかわらず、

 

素直に受け入れられず、心理的な抵抗が邪魔をする人、

 

あるいは、初回の体験的参加ないし見学の具体的な日程を決断できない人、

 

その他、参加の意思を表明するが、他にいくつも優先すべき活動があり実行できない人、様々な人々と出会ってきました。

 

 

その他には、家族や友人、知人にうまく説明できない活動にはすべからく消極的になる人、

 

こういう人は、流行している、知名度の高い、人気のある、話題性のある活動には、すぐにでも飛びつくようです。

 

そのような活動には、説明の必要がないからです。

 

これは、実に尤もな現実です。私は、メンタルの病気に罹っている人以外で、

 

自分が全く経験したことが無いことを上手に説明できる人にであったことはありません。

 

 

そこで私は水氣道の将来のブランド化に対しては、多少の懸念があります。

 

水氣道の将来の発展の基礎を固めるために、商標登録を取得するなどの手続きをしてきましたが、

 

水氣道が必然的にブランドとなるかどうかが大切なのではありません。

 

それよりも、むしろ水氣道がブランド化しないうちに、しっかりとした基礎固めをしておかないと、

 

今後、有為な人材を輩出し続けることは難しくなるだろうと考えているからです。

 

 

ですから、草創期の水氣道に、先に挙げたプロセス(理解受容決断実行)を経て、

 

勇気をもって参加し、かつ、有意義に継続できているという事実だけで、

 

そうした現会員の皆様一人一人に対し、心より敬意と大いなる期待を抱いております。

 

今月のテーマ:「水氣道の手引き」作成にあたって

 

「水氣道の手引き」第2章 水氣道の特質

 

 

未知なる世界である水氣道を始めるには、かなりの勇気が必要なことだと思います。

 

ただし、この勇気こそが、人生において多くの可能性を生み出す原動力になるものと考えます。

 

この勇気とは、理解受容決断実行のすべてのプロセスにかかわってきます。

 

また、このプロセスを経ない勇気は、真の勇気とは異なり、これを蛮勇といいます。

 

これは向こう見ずの勇気ですが、理非を考えずに突進するものであり、

 

水氣道の目指す真の勇気の育成とは全く異なります。

 

 

将来の水氣道は、すべての人々のものであることを目指します。

 

しかし、現在の水氣道はそうではありません。

 

なぜなら、現在の水氣道は、自らの理性で物事の理非を弁えることができる人々しか参加できないものだからです。

 

 

「水氣道の手引き」第2章<水氣道の特質>を書くにあたっては、

 

はじめての人が、水氣道の活動に参加できるまでの典型的なプロセスが、

 

水氣道の本質とどのようにかかわってきたのかをお伝えしたいと思います。

 

「水氣道の手引き」第1章 水氣道の沿革 

 

水氣道を、新たにはじめようとするすべての人々にとって、

 

水氣道の活動が、公共の公開された空間で行われているにせよ、

 

水氣道とは未知なる世界のはずです。

 

そして、今までのとこと、自ら求めて水氣道をはじめようとする人は皆無に等しいです。

 

 

水氣道会員と出会い、勧めを受けて、簡単な説明を受けて概要を理解し、

 

おおよそのイメージが形成され、そのイメージを良しとして受容し、

 

実際に始めてみようという決断(態度決定)というプロセスを経て、

 

ようやく実行、つまり水氣道をはじめることができます。

 

ですから水氣道を勧める側も、勧められる側も、手数と手間がかかることは間違いありません。

 

 

「水氣道の手引き」第1章<水氣道の沿革>を書くにあたっては、

 

こうした水氣道の活動が公に受け入れられるようになるまでのいきさつをお伝えしたいと思います。