今月のテーマ<呼吸器の特定内科診療>

 

 

「気管支喘息重症発作」その1

 

 

1)副腎皮質ステロイド剤を内服して骨粗しょう症になった例:

 

患者Aのメッセージ

 

『ステロイド吸入は、発作に対して即効性がない。

 

吸入の手間もかかるので、今までの主治医に頼んで、

 

即効性のあるテオフィリンとともに、副腎皮質ステロイド剤も

 

内服薬として長期処方してもらっていました。』

 

 

Dr.飯嶋の見立て:気管支喘息+ステロイド骨粗しょう症

 

 

Dr.飯嶋のアドバイス:すぐに効くものは、依存性を生じるばかりで、

 

かえって長引きます。じっくり確実に根本からいきましょう。

 

 

Dr.飯嶋の手当:長時間作用性ベータ2刺激薬と吸入ステロイド剤の配合剤の処方、

 

経口ステロイド剤の漸減計画の指示

 

 

患者Aの現状レポート

 

『最近まったく発作が出なくなりました。

 

ステロイド内服を減らして内服しなくて良くなってから、しばらくたちます。

 

あれほど辛かった腰痛や膝痛も嘘のように消えました。

 

吸入薬は先生に脅かされた初診の日以来、毎日続けています。

 

習慣になったら面倒臭さがなくなりました。

 

怖いと思っていた先生から、ほめられ、吸入も夜一回に減らしてよい、

 

骨密度も回復しつつある、と言っていただきました。

 

その日は救われた思いで、神様に感謝しました。

 

嬉しくて泣けてきました。

 

これからも、このわがままな患者をよろしくお願いします。』

今月のテーマ<耐性菌感染症>

 

今月の第一週の平日は本日のみ。

 

 

最近の「細菌の」薬剤耐性(薬が効かない)問題。

 

 

現在、カルバペネム耐性の腸内細菌など、

 

新しい耐性菌の出現が問題になっています。

 

 

これ以上、耐性菌を作らないために抗菌薬の適正使用が求められています。

 

 

しかし、医療現場では、保険診療であっても、

 

しばしば医療費負担についての患者さんからの苦情等もあり、

 

適切な細菌検査ができにくいのが現状です。

 

 

 

耐性菌を2つご紹介いたします。

 

No1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

 

病原菌が黄色ブドウ球菌で、

 

メチシリンという抗菌剤が効かなければ診断が確定します。

 

重篤なやけど、免疫不全、半身不随、意識障害

 

などを基礎とする病気のときに起こりやすいです。

 

主たる病型は皮膚軟部組織の感染、菌血症、肺炎です。

 

 

 

No2. 多剤耐性緑膿菌(MDRP)

 

緑膿菌は、自然界に広く存在する細菌です。

 

ただし、ヒトが易感染(いかんせん)状態になると

 

日和見(ひよりみ)感染症をもたらし、

 

肺炎や敗血症により死亡することもあります。

 

易感染状態とは免疫力低下・免疫不全により

 

感染防御が低下した状態です。

 

免疫能が低下した入院患者で発症しやすくなります。

 

 

日和見感染は、基礎疾患(糖尿病、悪性腫瘍、エイズ)や

 

薬剤投与(化学療法、ステロイド、免疫抑制薬)などのために

 

免疫力が著しく低下した際に起こる感染症です。

 

 

 

高円寺南診療所のように入院がなく外来診療のみの医療機関では、

 

直接問題になることは少ないです。

 

しかし、尿路感染症、皮膚感染症、外耳炎、角膜炎、眼内炎などの原因になります。

 

もともと抗菌薬が効きにくい菌で、

 

ニューロキノン系薬、カルバペネム系薬、アミノ配糖体系薬など

 

3系統の抗菌薬しか効きません。

 

しかし、そのいずれにも効かない多剤耐性緑膿菌(MDRP)

 

の出現が大きな問題になっています。

 

 

 

それでは、どのような対策を取ればよいでしょうか。

 

1)抗菌剤を使用する場合には、可能な限り、

 

細菌学的検査(原因菌検索、薬剤感受性検査)を受けること

 

 

2)普段から、外来診療による健康管理につとめ、

 

可能な限り、入院医療を受けなくて済むような条件を普段から整えておくこと

 

 

3)免疫力を向上させるような生活リズム、食生活、運動(水氣道などの有酸素運動)

 

に心がけること