今年初めて納得できた有益な記事

 

今年初めて納得できた有益な記事

 


The New York Times

 

International EDITION |THURSDAY,JANUARY 12、2023

 

WORLD 第4面

 

 

Finland offers lessons on misinformation education

 

BY JENNY GROSS

 

皆様、遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

 

昨年に引き続き、本年も、わが国の現状と近未来に対する展望がもてそうにない気分が続くのかと思うと、新年のあいさつもままならない状況でした。

 

とりわけ、医療は利権政治に隷属し、さらには学問である医学自体が、そうした医療環境に大きな悪影響を受けている、という目も当てられない悲惨な状況が進行しているからです。

 

医学の各領域の年次学術総会や四半期ごとに開催される地方会に出席してみても、かつてほど、大きな興味や関心を惹くことが少なくなってきたのは個人的には残念なことです。

 

統計データがしばしばトリックとして悪用されている現状も嘆かわしい限りです。

 

 

さて、そのような背景の中で、今後の日本に希望が持てるようにするにはどのようにしたらよいか?という問いから、私は逃げることまではできませんでした。

 

年末までにたどり着いた私の結論は「教育」改革ということでした。

 

率直に申し上げれば、米国や日本の主流メディアは、スポンサーの支配力が大きく、こぞって要注意であると考えています。

私のクリニックに毎日配達される、ニューヨークタイムズも例外ではなく、その記事内容の傾向に対してさえ、私は批判的に読む習慣を持っています。

最近では、購読を中止しようかと考えていたくらいでした。

 

それが、本日、思いがけずに目にした記事に光明を見出しました。

 

<フィンランドでは誤報情報に対する教育のための具体的な授業がなされている>

 

記事には一対の写真があり、そこには以下の記述がありました。

 

Saara Martikka,left, teaching her students how to identify false information.
One of her lessons includes showing students TikTok videos, right, as an exercise to spot fake news. Media literacy is part of Finland’s core curriculum starting in preschool.

 

偽情報の見分け方を学生に教えるサーラ・マルティッカ女史。

彼女の授業のひとつに、フェイクニュースを見分ける練習として、生徒にTikTokの動画を見せるというものがある。フィンランドでは、就学前(幼稚園)からメディアリテラシーがカリキュラムに組み込まれている。

 

 

 

A teacher in Helsinki, Anna Airas, said she and her students searched words like “vaccination” and discussed how search algorithms worked and why the first results might not always be the most reliable.

 

ヘルシンキ在勤の教師Anna Airas女史は、生徒たちと「予防接種(ワクチン接種)」などの言葉を検索し、検索アルゴリズムの仕組みや、最初の結果が必ずしも最も信頼できるとは限らない理由について議論したと言う。

 

 

 

“Just because it’s a good thing or it’s a nice thing doesn’t mean it’s true or it’s valid.”

 

<それが良いこと(望ましいこと:飯嶋註)だから、素晴らしいこと(都合の良いこと:飯嶋註)だから、といった理由だけで、それが真実であり、有効である根拠になるとは限らない。>

 

 

 

私が、この記事を読んだだけで、この日刊紙(The New York Times)の購読の中止を思いとどまった理由については、当クリニックの会員の皆様であれば、容易にご理解いただけると思います。

 

今後の開業医の在り方としては、フィンランドの情報教育の考え方や実践の仕方が大いに参考となるのではないかと思います。

 

皆様、本年もよろしくお願いいたします。

 

令和5年1月16日

 

杉並国際クリニック 院長 飯嶋正広