「知られざる茨城の名湯・秘境」シリーズ第一弾:友の湯温泉(北茨城市)その1

 

故郷(茨城)探訪

 

<登録分析機関の名称及び登録番号 一般財団法人 茨城県薬剤師会検査センター 茨城県登録第1号>

1636227108247 1636227108445

温泉分析書(鉱泉分析法指針による分析)は、地元の薬剤師会の検査センターの分析によって作成されることがあることをご存じでしょうか。

私は、全国1003人の温泉療法医の中で193名(2021年10月27日現在)の温泉療法専門医の一人です。

もっとも温泉療法専門医は、温泉療法医の上位資格なのですが、東京の開業医である私は、これまで実地のフィールドを持つことができずに過ごしてきました。

 

幸なことに、我が家の総力を結集して茨城県をフィールドに温泉療法専門医に相応しい活動を始動することになった次第です。 

フィールド活動の第一弾の「友の湯」(源泉名)は、偶然にも茨城県登録第1号でした。

 

北茨城市観光協会のHPで紹介されている「旅館友の湯」には、


 
<心安らぐひととき…隠れ家気分を味わえる「旅館友の湯」隠れ家の温泉にゆったり浸かってみてはいかがですか?>

 

と紹介されていますが、実際に宿泊してみたところ、その紹介文は簡にして要を得ていると感じました。こうした控えめなPRにも茨城らしさが表れています。

 

水戸で有名な「あんこう鍋」の発祥の地は北茨城市だそうです。北茨城の平潟は古来、漁師町であり、あんこう、うに、岩がきなどの四季折々の海の恵みが平潟に水揚げされています。

 

1日3組だけであるため、宿泊客は自分達だけお風呂も貸し切り状態でした。

特に、離れの別館は独立していて、いかにも隠れ宿そのものでした。

 

「茨城の名湯・秘境」と題するシリーズの冒頭を飾ることになった、この旅館が隠れ家的存在と感じられるのは、その立地だけでなく、そのような要素も加味されています。

 

料理も大変美味しく、まだ若手の女将さんは外連味(けれんみ)がなく、さりげないお人柄での接客作法に癒やされる宿泊客も少なくないだろうと思われました。

 

岩ガキや雲丹が上がる夏はとうに過ぎ、また、どぶ汁(註)にありつける季節にはまだ早かったです。

 

それにもかかわらず、魚介類は地元の平潟港から水揚げされた材料のみという食材は、さすがに新鮮で健康的なメニューで、しかも美味な料理でした。

 

 

(註)どぶ汁:

茨城県から福島県南部の太平洋沿岸地域に伝わる漁師料理で、あんこう鍋の一つ。名前の由来は、あん肝が溶け出して汁がどぶのように濁ることから、また、どぶには「すべて」という意味があり、アンコウのすべてを入れることから「どぶ汁」との説もあるようです。きわめて美味であり、栄養価も高いにもかかわらず、「どぶ汁」などと、あか抜けない名前をつけ、かえって地元で人気が高まってしまうあたりに、名より実、質実剛健を良しとする茨城県人の精神性や文化の反映がうかがわれるような気がします。

 

 


「友の湯温泉」の名称の由来を女将に尋ねると、この旅館の創設者で彼女の曽祖父にあたるという友蔵氏の名に由来しているとのことでした。ちびまる子のおじいさんである静岡県清水市のさくら友蔵さんと同じ名前ですが、同じ港町であっても、北茨城平潟の友蔵さんの方が先輩であるのは確かです。

 

「知られざる茨城の名湯・秘湯」の第一弾を「友の湯温泉」に決定したのは、我が家の女性陣(妻、長女、次女の連合体)ですが、最終決定は、電話で「そちらは、温泉ですか?」という問い合わせに対して、「はい、温泉です。」という明るい声が返ってきたからです。少し、いじわるかもしれませんが、茨城県に「温泉」なるものが存在しうるのか、ということの検証を次回でご紹介させていただく予定です。