緊急ニュース(第一報):新型コロナワクチン治験中断

9月10日(木)
私が予想していたことが実際に発生してしまいました!


 

ワクチンの治験で参加者に重篤な反応を引き起こすことを避けるために定められた、標準的な手順とされるが、安全性のデータを確認する間、投与を中止するとしている。

 

現在まで、世界保健機関(WHO)によると開発中の新型コロナのワクチン候補は約180あり、うち34が臨床試験(治験)段階にある。8月にはロシアが、最終の大規模治験を経ないまま「世界で初めて承認した」と発表。当時は初期試験のデータも公表されておらず、批判を受けた。

 

英製薬大手アストラゼネカは、開発競争の先頭を走っているとされるが「開発のスケジュールへの影響を最小限にとどめつつ、試験の参加者の安全にも十分配慮する」としている。新型コロナウイルスのワクチン開発は中国やアメリカなど各国で続けられているが、アストラゼネカとオックスフォード大学が開発中のワクチンは、その中でも最も進んでいるものの1つであった。

 

 

(CNN) 新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を進めていた英製薬大手アストラゼネカは8日の声明で、治験は進んでいるが、治験参加者の一人に原因不明とみられる深刻な副反応(副作用)の疑いが確認されたという。そこでイギリスやアメリカで行っているワクチンのヒトでの安全性や有効性を確かめるために最終段階の臨床試験(治験)を一時的に中断したことを明らかにした。同社はオックスフォード大学と共同で新型コロナウイルスワクチンの開発を手掛け、英国や米国、ブラジル、南アフリカなど世界各地で治験を行ってきている。

 

 

<日本での臨床試験も中断>

アストラゼネカは、新型コロナウイルスのワクチンの開発に向けて日本でも先月下旬から臨床試験を始めている。アストラゼネカによると、国内の複数の施設で、18歳以上のおよそ250人を対象に臨床試験を行う計画で、ワクチンを接種した人と接種していない人を比較して安全性や有効性を検証する。しかし、同社の日本法人の広報担当者は、日本で行っていた臨床試験も、安全性を確認するために中断されたと説明した。

 

 

<日本政府とアストラゼネカとのワクチンめぐる経緯>

新型コロナウイルスのワクチンについて、政府は、来年前半までにすべての国民が接種できる量を確保する方針を打ち出している。そのため、欧米の複数の製薬会社との間で、開発に成功した場合、来年以降、ワクチンの供給を受ける方向で交渉を進めている。「アストラゼネカ」とは、先月、少なくとも6000万人分の供給を受けることで基本合意し、このうち1500万人分については来年3月までの供給を目指すことになっていた。日本政府は、アストラゼネカが開発に成功した場合、来年初めから1億2000万回分、2回接種で6000万人分の供給を受けることで基本合意している。

 

 

<菅義偉 官房長官の発表>

菅官房長官は、9日午後の記者会見で、厚生労働省がアストラゼネカ社に確認したところ、事案の詳細を調査するまでの間、日本国内を含めた「新たな投与を一時的に中断するとの説明があったことを明らかにした。

そのうえで、「ワクチンについては、来年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指して、わが国で承認申請があった場合は治験のデータと最新の科学的知見に基づき、有効性と安全性の確保の観点から、承認の可否について適切に審査していく」と述べた。

 

 

<アストラゼネカを含む欧米製薬会社9社の共同声明>

新型コロナのワクチン開発で最終の大規模臨床試験(治験)を始めた英アストラゼネカや米モデルナ、米ファイザーなど9社は8日、「安全性を示す十分なデータがそろうまで当局の承認を求めないとする異例の共同声明を出している。米食品医薬品局(FDA)などの専門規制当局のガイダンスに基づいて安全性と効果が証明される必要があると強調。

「安全性と接種者の健康を常に最優先にする」「臨床試験や製造過程では高い科学的・倫理的水準に従う」などと宣言した。この宣言で「厳格な科学的、規制的プロセスに対する信頼を確保できると信じている」としている。申請には安全性と効果の証明が必要だとした。

 

ワクチンは感染拡大を収束させる切り札として期待されるが、各国で開発競争が過熱しており、早期開発を求める政治的圧力をかわし、政治の思惑で承認プロセスがゆがめられるとの懸念を打ち消す狙いがある。実際に、米国でも、再選を目指す大統領選を11月に控えるトランプ大統領が、選挙前のワクチン実用化をたびたび示唆しており、政治的な思惑で承認プロセスがゆがめられかねないと、懸念の声が上がっている。

 

声明によれば、大規模な治験では参加者に偶然、疾患が発生することもあるが、こうした症例を取り出して注意深く調べる必要がある。治験の日程に及ぼす影響を最小限に抑えるため、迅速に調査を進めるという。