かぜのほとんどはウイルス性なので抗生物質は効きません。
しかし、抗生物質などの抗菌薬を服用しないと不安な方は少なくありません。
「医者の話をちゃんと聞かないと薬も効きませんよ!」と冗談めかしていっても徒労に終わることが少なくありません。
感染症を疑って抗菌薬を投与する場合は、起炎菌に関する細菌検査をしっかりと実施し、その結果によって抗菌薬の選択・変更・中止を的確に判断することが必要であるとされています。
そして抗菌薬の投与は『十分量を、できるだけ短期間で』という原則を徹底することが叫ばれています。
それは、とりもなおさず、今日、耐性菌の増加と蔓延は世界的な問題となっているからです。
とくに入院病棟では、毎日使用されている抗菌薬が耐性菌を誘導している事実を強く認識することの重要性が繰り返し叫ばれています。
また、外来診療においても、熱が下がらない、血液の炎症反応の指標であるC反応性タンパク(CRP)が陰性にならないなどの理由で、前医から抗菌薬が漫然と使用されたまま、紹介状なしで転医を希望される方も散見されます。
そして、他の医療機関の受診情報を明らかにしようとしない、「お試し受診者」の存在など根深い問題もあるため、初診の患者さんを診察する際には特に警戒しています。
とくに高齢者では腎血流量の低下などを背景として腎予備能が低下していることが多いです。
そのため、たとえ検査値の上での腎機能のデータが正常範囲であったとしても、抗菌薬の選択・投与量の設定には注意する必要があるのですが、そのことを多くの皆様方がご存じないのは無理もないと思います。
腎は抗菌薬の主要排泄臓器であり、腎障害時に抗菌薬が蓄積し、副作用の発現の危険が高くなるので投与量の調節が必要となります。
さて、抗菌薬の投与は『十分量を、できるだけ短期間で』という原則尊重すべきことについて述べましたが、問題なのは「十分量」が必ずしも明らかでない場合があることです。
また、「できるだけ短期間で」というのも、「必要最短期間」も明らかでないことがあります。非結核性抗酸菌の抗菌薬治療の方針については、このような問題が論じられているのです。
<明日に続く>
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