診察室から:2月12日 インフルエンザは「バカの壁?」2/4

「安くて便利、良心的というキャッチは、多くの皆様方にとっては魅力的なようですが、多くの消費者にとっては落とし穴であることが多く私は常に警戒しています。」

 

インフルエンザは、安くて便利を志向し、自己中心的な大衆が増加するほど流行する感染症と考えます。

 

なぜインフルエンザが流行するのかについての確かな情報は得られていません。多くは仮説の域を脱していないようです。そもそもインフルエンザは、どのようにして人から人へと感染していくのでしょうか。

 

 

Q3.マスクに予防効果はあるか?を再確認

マスクは、感染を防ぐために、ある程度の効果はあります。しかし、小さなウイルスを完全にブロックするわけではありません。

 

実際には、予防のために着けるマスクより、感染した人が着けるマスクの方が効果的。咳をする人がつけていれば、飛ぶ瞬間の粒は水分を含んで大きいため、マスクでブロックされやすいからです。

 

このような予防は、感染している本人が気をつけることから「咳エチケット」と呼ばれています。

 

また、マスクには以外と知られていない「隠れた効果」があります。

 

マスクをつけている人は、手で口や鼻を触れる機会が少なくなります。したがって、マスクによって、手を介した感染が起こりにくくなることも期待できるのです。

 

しかし、マスクを着用している時でも、その手は環境によって汚染されています。繰り返しますが、マスクをはずしてから、すぐに鼻や口に触れてしまえば、せっかくの隠れた効果も無駄になってしまいます。「マスクを取る時の手洗い」を忘れないようにしましょう。

 

 

 

Q4.うがいや加湿は効果的か?

「うがい」の効果は限定的です。今では積極的に推奨されていません。

 

その理由は、鼻や口の粘膜についたウイルスは、ごく短時間で感染してしまいます。日常的にできる「うがい」の回数は限られるため、どうしても効果は限定されてしまうのです。

 

私は「頻回に温かい飲料を摂取すること」を勧めています。

頻回に水やお茶を飲むということの効果を否定する専門家もいます。

飲むだけではウイルスの付着する部分を全てカバーすることは難しく、回数にも限界があるからです。

 

しかし、その場合でも脱水状態を緩和し、鼻・口腔内・気道の粘膜の乾燥を防ぐことは可能です。しかも、これらの場所の粘膜が乾燥すると、局所的な免疫が低下する可能性があるからです。

 

 

「加湿」の予防効果は期待できます。

しかし十分な信頼に足るデータや情報は得られていません。

 

それでも、理論上、「加湿」には2つの意味があります。

ひとつは、乾燥した環境の方がウイルスの感染性が高まるので、それを避ける目的です。

もうひとつは、鼻・口腔内・気道の粘膜の乾燥を防ぐ目的です。繰り返しますが、これらの場所の粘膜が乾燥すると、局所的な免疫が低下する可能性があるからです。

 

 

今回のまとめ:

「第二のバカの壁」は、「温故知新」という故事がありますが、むしろ「古きをたずねて新しきを知らない」バカの壁。

これは、逆に「新しいものに振り回されて、その限界や欠点を知らない」バカの壁ということにもつながります。この責任は、一般人ではなく医師にこそあります。