1月14日 <再生不良性貧血>

血液の病気について質問されることが増えてきました。

 

人間ドックなどで、赤血球の異常が指摘されることは稀ではありません。

 

赤血球の異常を二大別すると数の異常と質の異常があります。

 

赤血球の質の異常というのは、機能、つまり働きの異常であり、重度の機能異常を示す病気は、一部の先天性溶血性貧血に限られます。

 

そこで、赤血球の病気は数の異常が問題となり、多ければ多血、少なければ貧血、ということになります。貧血は、赤血球の産生量が消費量よりも少ないことで生じます。

 

その判別には血色素(ヘモグロビン)量が最も良い指標です。

 

貧血であることが判明したら、どのような性質の貧血かを調べます。

 

そのためには、赤血球の分化過程のどの段階で発生した貧血であるかで分類することが有用です。すなわち、

 

造血幹細胞⇒赤芽球系前駆細胞⇒赤芽球⇒赤血球

 

 

造血幹細胞から赤芽球までは骨髄内で分化しますが、

 

最初の段階である造血幹細胞が減少することが再生不良性貧血の原因となります。

 

また、造血幹細胞の遺伝子異常は骨髄異形成症候群の原因となります。

 

 

この再生不良性貧血には免疫抑制療法が奏功しやすいタイプがあります。

 

それは、免疫病態が関与した再生不良性貧血です。

 

免疫病態が関与した再生不良性貧血ではPNH(発作性夜間血色素尿症)形質血球が陽性で、血小板減少が先行し、血漿トロンボポイエチンが高値(320ng/mL以上)になることが特徴です。

 

PNH(発作性夜間血色素尿症)形質血球は、高感度フローサイトメトリー法によって検出することができCD55やCD59などのGPIアンカー蛋白を欠いています。

 

 

輸血を必要としない非重症再生不良性貧血であっても、免疫病態を疑わせる所見がある場合は、免疫抑制薬による早期治療法(シクロスポリン)が望ましいとされます。

 

 

免疫病態が関与した非重症再生不良性貧血と、クローン性疾患である骨髄異形成症候群は鑑別が困難な場合があります。