今月のテーマ<内分泌の特定内科診療>

 

 

高浸透圧高血糖症候群を合併した 「糖尿病性ケトアシドーシス」 Vol.1

 

 

 

血糖値が著しく高くなると高浸透圧をきたし、

 

また高度な脱水状態に陥ることから、多彩な精神神経症状を呈します。

 

特に意識障害が進行する糖尿病性昏睡は、一旦発症すると、

 

適切で速やかな処置がなされないと、

 

生命にとって、とても危険な状態になります。

 

これが高浸透圧高血糖症候群です。

 

 

 

また、高度のインスリン作用不足により、高血糖と著しいケトン体の蓄積により、

 

脱水と意識障害(糖尿病性昏睡)をきたす病態が、糖尿病性ケトアシドーシスです。

 

 

 

症例を提示します。

 

50代男性。

 

意識障害を主訴に妻に伴われて来院。

 

 

 

現病歴:今朝、意識がもうろうとしているところを家族が気づきました。

 

2日前に食欲がなく、吐き気もあって食事がとれないためインスリン自己注射を中止したそうです。

 

1週間前から38℃台の発熱と頭痛とのどの痛みが続いたとのことでした。

 

 

インスリン治療は5年前に現在通院中の病院で1型糖尿病と診断されて以来、続けてきたとのことです。

 

 

家族歴:糖尿病等はありません。

 

 

この男性の診察所見は、次回ご紹介いたします。

高円寺南診療所は<自然志向>の外来医療機関です。

 

<自然志向>の医療は栄養管理をとても大切な柱の一つとします。

 

そこで高円寺南診療所の<自然志向>とは何か、簡単にご説明いたしましょう。

 

 

 

1)御自分の頭(判断)と足で通院していただくこと(なるべく入院しないで済むように!)

 

 

2)働きながら、社会参加しながら無理なく健康の維持増進をはかること

 

 

3)自然療法(生活リズム維持食事・運動・心理療法)を基本に据えること

 

(なるべく過剰な薬物療法や手術療法のお世話にならないように!)

 

 

4)<養生>と<鍛錬>のバランスを維持することこそが最高の予防法であり、

 

その予防に勝る治療はないことを悟ること

 

 

5)制度的な医療に委ねるだけでは健康になれないし、

 

(ライフワークを見つけ、生き甲斐をもち、自分と他人の幸福のために投資し、

 

 芸術的な感動を他者と共有すること!)

 

自分の健康ばかり気に掛けていても決して幸福になれないことを悟ること

 

 

 

つぎに保険が適用される外来栄養食事指導の対象者についてご説明いたしましょう。

 

 

それは厚生労働大臣が定める特別食を医師が必要と認めた患者さんです。

 

(初診月は2回まで、以降は月に1回までが保険適用となります)

 

 

以下の対象疾患をご覧ください。

 

 

高円寺南診療所で実績のあるものは、特に

 

◎すでに多数の実績がある疾患

 

〇医師のみで対応してきたが、今後は管理栄養士による指導が望ましい疾患

 

としましたので、ご参考になさってください。

 

 

<消化器>

 

〇胃・十二指腸潰瘍、食道胃腸の切除術後、

 

〇クローン病、 〇潰瘍性大腸炎、

 

〇急性・慢性肝炎、〇肝硬変、ウィルソン病、閉塞性黄疸、

 

〇急性・慢性膵炎

 

 

<循環器>

 

◎心臓疾患(食塩6g/日未満)、

 

〇高血圧症(食塩6g/日未満の指示がある場合)

 

 

<腎臓>

 

〇急性•慢性腎炎、〇急性•慢性腎不全、〇ネフローゼ症候群

 

 

<代謝>

 

◎高度肥満症(BMI≧35)肥満度3以上

 

◎脂質異常症

 

(LDL-コレステロール:≧140mg/dL HDL-コレステロール:<40mg/dL、

 

中性脂肪:≧150mg/dLのうちいずれかに該当する場合)、

 

◎痛風、◎糖尿病

 

 

<貧血>

 

◎鉄欠乏性貧血(ヘモグロビン:≦10g/dL)

 

 

<妊娠>

 

妊娠高血圧症候群(食塩6g/日未満)

 

 

<アレルギー>

 

食事性アレルギー(9才未満)

 

 

注意していただきたいこと

 

<保険適用対象外となるケース>

 

◎中等度までの肥満(BMI25~35、肥満度2まで)、

 

◎高尿酸血症(痛風発作の未経験者)、◎ 糖代謝異常、 ◎鉄欠乏由来以外の貧血、

 

〇9才以上の食事性アレルギー、〇がん、◎拒食症については自由診療(全額負担)になります。

今月のテーマ<内分泌の特定内科診療>

 

 

「重症急性膵炎」

 

 

外来で腹痛や背部痛、吐き気や嘔吐を訴える患者さんは少なくないのですが、

 

そのような場合に、いつも頭を過ぎるのは急性膵炎や急性虫垂炎(俗に盲腸炎)などです。

 

診察ベッドに横になっていただき、前かがみで腹痛が軽快するときは、特に急性膵炎を疑い、

 

ただちに腹部超音波検査と胸や腹部のレントゲン検査を行います。

 

中高年の男性が大量飲酒後に起こすアルコール性急性膵炎が代表的です。

 

 

しかし、女性も男性の半数程度の頻度で発症し、

 

その原因は胆石による胆石性急性膵炎あることが多いです。

 

 

急性膵炎と診断したら、次には重症度の判定が必要ですが、

 

まず、年齢です。70歳以上は要注意です。

 

そして、動脈血中の酸素分圧≤60㎜Hg

 

または人工呼吸を必要とするような呼吸不全かどうかどうかを見極めます。

 

動脈採血して酸素分圧を分析することは緊急設備がある病院でないと実施できないので、

 

簡便にかつ迅速に測定できる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)計により、

 

動脈血酸素飽和度が90%未満かどうかで判断しています。

 

 

次のステップとしては

 

全身性炎症反応症候群に該当するかどうかを迅速に判断しなければなりません。

 

 

具体的には、以下の項目です。

 

1)体温>38℃あるいは<36℃

 

2)脈拍数>90/分

 

3)呼吸数>20/分あるいは動脈血中二酸化炭素分圧<32mmHg

 

4)白血球数>12,000/ または<4,000/ または10%超の幼弱球の出現

 

 

以上のうちで、一般の診療所で即座に確認できるのは①、②および③のみです。

 

しかし、この3項目が該当すると全身性炎症反応症候群と診断できることになっています。

 

 

そうすると、激しい腹痛を訴える患者さんの多くが、これに該当してしまいます。

 

急性膵炎の重症度判定を判定基準により厳密に行うためには、

 

血液検査の結果を待たなくてはならないため、手遅れにならないよう注意が必要です。

 

 

したがって急性膵炎を疑った場合は、重症度に関係なく、

 

緊急入院できる準備をし、24時間安全が確保される環境に移送することが大切です。

#1.診療所HPトップページの右上

 

高円寺南診療所へようこその「English」タブ

 

診療所紹介が3か国語対応(英語、フランス語、ドイツ語)になりました。

 

「English」をクリックしていただくと

 

「ENGLISH」、「 Français」、「 DEUTSCH」

 

が表記されます。

 

 

 

#2.トップページ「聖楽」

 

「聖楽」協力アーティスト・ピアノ部門の他に、

 

管楽器部門、弦楽器部門、聖楽部門を新設しました。

 

新しいアーティストの顔写真とプロフィールが入ります。

 

 

 

#3.<新着情報>の区分変更

 

好評?シリーズ、「Mr. NoGucci の懺悔録」 の分類は 「News」

 

とされておりましたが、今後は毎週水曜日の「水氣道」に変更いたします。

 

今後「News」は(事務局)に限定いたします。

 

 

野口将成氏は、現在、水氣道の准3級(特別訓練生)です。

 

減肥航法(余剰な体脂肪を燃焼させるプログラム)の先任者として、

 

修錬生、支援員への復帰を図るべく鋭意努力と工夫を継続中です。

 

 

 

 

今月のテーマ<消化器・内分泌の特定内科診療>

 

 

「劇症肝炎」

 

 

劇症肝炎とは、肝炎のうち、

 

症状が表れて8週間以内に高度の肝機能障害を来たすものです。

 

そのために特徴的な羽ばたき振戦をはじめ

 

昏睡(肝性脳症)や血液凝固機能の低下による出血を来します。

 

B型肝炎によるものが約4割で最多ですが、

 

原因不明が約25%に及びます。

 

なおB型肝炎による急性肝炎の2%近くが劇症化します。

 

 

「劇症肝炎」では、肝臓の解毒分解機能が低下して、

 

血中のアンモニアが増加(高アンモニア血症)する結果、脳障害をもたらします。

 

それが肝性脳症ですが、Ⅱ度以上が本症の診断基準です。

 

しかし、臨床現場で大切なのは、肝性昏睡Ⅰ度を見落とさないことだと思います。

 

 

 

それでは、肝性脳症Ⅰ度の精神症状をご紹介いたします。

 

睡眠、覚醒リズムの逆転(昼夜逆転)、多幸気分(何となくハイ)、

 

ときに抑うつ状態

 

だらしなさ、気に留めないぞんざいな態度

 

 

 

いかがでしょうか、上記の症状だけで専門医が肝臓病を見抜くことが可能だと思いますか。

 

少なくとも昼夜逆転の生活の上に、

 

情緒不安定な受診者が少なくない都市部の医療機関では、

 

残念ながら、ほぼ不可能だと思います。

 

可能だとしたら、それは普段からその人の情緒状態や行動パターンを熟知していて、

 

その微妙な変化に気づくことのできる家族と主治医との連携ができている場合、

 

普段から患者さんを心身両面から継続的にケアしている

 

心身医学の専門家(心療内科専門医)などによる診療の場合に、

 

ほぼ限られると思います。

相変わらず、「わかっています…でも」Part7

 

 

これまでのMr. NoGucciの座右の銘「明日からがんばる!」

 

この考えはいつから、そしてどこからくるのでしょうか?

 

 

Mr. NoGucciは考えを巡らせました。

 

 

ふと思ったのは、変化することへの不安。

 

変わってしまうと自分が自分で無くなってしまうのでは?

 

という妄想に近い不安でした。

 

 

そこで、反省(消極的受動的でなく積極的能動的に)により、

 

過去を内省してみることにしました。

 

 

すると、ふと高校生の頃が思い出されました。

 

1年間で12kg減量(75㎏⇒63㎏)できた記憶です。

 

そういえば自分の本質は特に何も変わらなかったなあ…

 

 

自分で無くなるという考えは無用の不安。

 

「今を変えたくない」、「努力するのがシンドイ」

 

そういう怠惰な自分の言い訳でした。

 

 

さえらに、本音では

 

1)このままでいるほうが楽

 

2)スタートするには心の準備がまだ

 

3)やる気はあるが、もうちょっと待ってから

 

という禁煙を勧められている方がよく口にする言い訳も…

 

 

やはり、まずスタート。

 

そして、行動のきっかけを作るのが大切だと気付いたのでした。

 

第2日曜日の聖楽コラム担当のピアニスト寺根佳那です。

 

 

先日まで、『霧島国際音楽祭』に参加しておりました。

 

 

鹿児島には初めて行きました。

 

美しい大自然、温泉、美味しい食事!!!

 

とっても魅力的なところでした。

 

 

『霧島国際音楽ホール、主ホール「みやまコンセール」』にて、

 

ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲 イ長調Op.81

 

新日本フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者、

 

篠崎友美さんと共演させていただきました。

 

 

ドヴォルザークのピアノ五重奏曲、大好きな曲です。

 

とても良いホールで素晴らしい環境でした。

 

 

書ききれない程、たくさんの貴重な経験ができました。

 

室内楽、本当に楽しかったです。

 

 

日頃ピアニストはソロ演奏が多いので、

 

他の楽器の音を聴くことの大切さなど、

 

室内楽を経験することで学べることはとても多いです。

 

今回の経験を今後に活かしていきたいです。

 

 

霧島神宮に行き損ねたことは少し後悔しています。笑

コーネリウス・L・リード Cornelius L Reid

 

 “Bel canto: principles and practices”

 

(1911-2008)  米国人・英語

 

最初に読んだ声楽理論書。

 

翻訳者の渡部東吾氏は近隣であったため、数回レッスンを受けました。

 

また、ネット上で偶然、郷里の水戸の茨城大学の学内紀要<茨城大学教育実践研究 29(2010), 59-69>

 

「コーネリウス・L・リードのベル・カント唱法の音楽科教育導入に関する考察」

 

という論文を発見しました。

 

 

音楽科教育導入に関する(文部科学省の)考察学習指導要領では、

 

平成10年度の改訂前の「頭声的な発声」から平成10 年度の改訂で

 

自然で無理のない声」に変更され、

 

さらに改訂から 10 年余りが過ぎ、歌唱活動を通して指導する事項として

 

自然で無理のない歌い方」ということをあげていることを知りました。

 

是非はともかく、これは、大きなヒントになりました。

 

 

 

ジェローム・ハインズ Jerome Hines 

 

“The Four Voices of Man”

 

(1921-2003) 米国人・英語

 

これは、民間声楽指導者の永田孝志氏のブログの紹介で知りました。

 

平易な英文で読み易いので、しばしば反復通読しています。

 

私にとってのFour Voicesは

 

バリトン、テノール、カウンターテナー(アルト、メゾソプラノ)です。

 

 

また、欧州4言語(イタリア、ドイツ、フランス、英語)を基とし、

 

他にスペイン、ロシアに挑戦しています。

 

もちろん母国語の日本歌曲も大切にしたいです。

 

 

リチャード・ミラー Richard Miller 

 

“The structure of singing”

 

(1926‐2009)米国人・英語

 

著者はコーネリウス・L・リードとほぼ同時代。

 

リードの本を読んだ直後に時間をかけて読みました。

 

 

ファルセットやカウンターテナーに対する考え方、

 

価値観がミラー氏の中で変化していったのではないかと思いました。

 

これも、永田孝志氏の推薦があり氏の実際の指導内容に触れる機会を検討しています。

最終的には、食べたら嘔吐、飲んだら下痢」という状態になりました。

 

 

その結果体重が2ヶ月ほどで73㎏から66㎏まで落ちてしまいました。

 

 

体が干からびるか?』 と思いました。

 

  

 

 

一睡もできない状態も続き、まともに思考することなど到底できませんでした。

 

 

このまま死ぬのではないか?』 という恐怖に支配されていました。

 

 

自分を責めてばかりいました。

 

 

地獄のどん底にいた私にも、やがて転機が訪れました。

 

 

高円寺南診療所お世話になったのでした。

 

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

前回からのテーマである認知行動療法のもう一つの柱、「行動」に変化を与える方法、

 

すなわち「問題解決法」について具体的にお示しいたしましょう。

 

 

例えば、職場に怖くて苦手だなと思う上司がいたとしましょう。

 

「できればその上司とはやりとりしたくない。」

 

でも避けていると、ますます慣れずに苦手になってしまいます。

 

 

そこで、「逃げずにあえて上司と会話をする」というミッションを掲げます。

 

 

まず、成功するためにどんな準備をしたらいいのか、カウンセラーと作戦会議をします。

 

そこで、自分と上司との間に起こりうることを予測します。

 

そうすることで、その時、具体的にどう対処するのかを予め用意しておくのです。

 

 

もちろん失敗するかもしれません。

 

しかし、一度や二度の失敗でへこたれてはいけません。

 

これは「実験」だと思ってください。

 

「実験」してみることで検証することができます。

 

 

何事も試しに取り組んでみること、実行することこそ大事なことです。

 

たとえ失敗しても、そこから学ぶことはたくさんあります。

 

それを無駄にせず、次の機会に生かせばよいわけです。

 

 

臨床心理士 宮仕 聖子