カテゴリー: 鍼灸
一般社団法人 日本心身医学会 心身医療専門医について
誤解され続けている心療内科!心療内科はプチ精神科ではありません!!
前回紹介した日本心療内科学会の母体(親学会)は、日本心身医学会です。
この日本心身医学会のHPには、<心身医学とは心と身体を切り離さずに考えることで、
QOLを重視した総合的な医療を目指します。>とあります。
しかし、医療情報をもたない一般の患者さんが、
この通りに実践している心療内科標榜医に遭遇できる確率は、1~5%程度でしょう。
この推定根拠を示します。
日本心身医学会 心身医療専門医は、全国で581名が認定(平成26年8月1日現在)されています。
120名のみの心療内科専門医の数よりは多いですが、
公益社団法人日本精神神経医学会の精神科専門医は10973名(平成28年10月)には遥か及びません。
120 / 10973 = 0.0109 精神科専門医100人に対して心療内科専門医は、たった1人
581 / 10973 =0.0529 精神科専門医100人に対して心身医療専門医は、たった5人
心療内科専門医や心身医療専門医の専門性が一般の患者さんに浸透しづらい理由の一つは、
圧倒的な数の精神科専門医の多くが心療内科を標榜しているからだといえると思います。
もう一つの理由は、心身医学の生い立ちにある様な気がします。
心身医学(psychosomatic)という言葉は、
1818年、ドイツ人精神科医ハインロートの睡眠障害の論文で初めて登場しました。
20世紀になるとフロイトらの研究や啓蒙活動により、現在の心身医学の基盤が築かれます。
その後、精神分析や行動心理学、脳科学が進化し、
心身相関のメカニズムが次々と解明され、心身医学は大きな発展を遂げました。
内科医の私が昨年より、毎年ドイツやオーストリア(ウィーン)に向かうことにしたのは、
私自身が、ドイツ心身医学会と日本心療内科学会との姉妹関係締結に関与した責任があり、
ドイツ心身医学会総会で毎年プレゼンし、またウィーンでの医学研修に参加することにしたからです。
特定非営利活動法人 日本心療内科学会 心療内科専門医について
誤解され続けている心療内科!心療内科はプチ精神科ではありません!!
日本心療内科学会のHPには、<心と体の両面から治療する、それが心療内科です。>
とあります。
心療内科学会専門医は2016年10月1日現在、全国で120名が認定されています。
東京都内の心療内科専門医は26名、杉並区に限ると末松弘之先生と私の2名のみです。
私は心療内科のトレーニング開始時にアドヴァイスしてくださったのが、
東大心療内科教授の末松先生でした。先生は現在、名古屋学芸大学ヒューマンケア学部長です。
以下が、末松先生が学会HPに出されているメッセージの抜粋です。
人を身体面だけでなく、心理面や社会面などを含めて、全人的に治療しようとするのが心療内科です。・・・
心療内科は「心理的な原因のみで体の病気が起こる」というような、
行き過ぎた精神主義に基づくものではありません。
病気の身体面でのデータを十分に踏まえたうえで、
これに影響している心理的・社会的な因子の役割を正しく評価して、
病人全体を治そうとするものです。
心療内科を受診されると、まず、身体的な診察や検査があり、同時に心理テストや心理・社会面での面接があります。
そのうえで、必要とあれば身体的な治療もしながら、さまざまな心理療法などの心療内科的な治療が行われます。
つまり、「病気を診るより、病人を診て」心と体の両面から治療する、
それが心療内科です。
今回は臨床で使っているツボの第4弾「④ 腎兪(じんゆ)」を見ていきましょう。
(クリックしてご覧ください)
図の④の内側のツボです。
臍の高さで脊中の外方親指2本分(第2腰椎の外方指2本分)の位置にあります。
冷え症、不眠、疲労、腰痛、高血圧、めまい等に効果があります。
このツボは腎機能を活性化させます。
東洋医学では、腎は「氣」というエネルギーを貯める部位と言われています。
充電のイメージでしょうか。
「氣」は生命活動に欠かせないものです。
適度な食事で「氣」をつくり、「夜に寝る」ことで腎に気を貯めることができます。
規則正しい生活が大切であることがよく分かりますね。
高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭
ご報告
ベルリン自由大学での学会への参加プログラムです。
Deutscher Kongress für Psychosomatische Medizin und Psychotherapie
(DKPM) 2017
ドイツ心身医学および心理療法のための年次学術総会2017
学会のタイトル: 精神―身体。 人間―組織。
2017年3月22日~24日、ベルリンで開催
日本側の代表団は私を含めて3名です。
3名全員が参加するのは、以下のプログラムです。
1)日独交流シンポジウム
2)バリントグループ
3)学会懇親会
1)日独交流プログラム参加者は日本もしくはドイツ語圏
(ドイツ・オーストリア・スイスなど)の心療内科専門医です。
英語での発表は2名(他の日本人医師)です。私の発表は最後になります。
今回の発表者は5名で日本側は3名です。ドイツ語での発表は3名(私とドイツ人)
日独交流というタイトルですが、発表言語はドイツ語もしくは英語です。
2)バリントグループ私は、昨年の秋の日本心療内科学会総会で、はじめてこれを体験しました。
そのときの指導者Drクロネクが、ベルリンでもホスト役を務めてくれます。
バリントグループ(Balint Group)とは医師患者関係を改善するために用いられる集団会話的技法です。
ミカエル・バリント(Michael Balint)という精神科医がイギリスで始めたものです。
イギリスの開業医たちが集まって自分が体験した患者について、
主にその患者とのかかわりについて話し合ったのがきっかけです。
今週は、欧州出張の準備で、何かと忙しいです。
そんな中で、ご案内とご報告とが各一件あります。
『わかりやすい臨床栄養学 <第5版>』2017年3月10日 三共出版
監修:吉田勉、共著代表:飯嶋正広 定価¥2900+税
この本の初版は2007年11月30日です。
10年足らずの間に第5版を出すことができました。
昨年度末まで昭和学院短期大学ヘルスケア栄養学科の病理学概論・
臨床栄養学概論を担当する客員教授を務めていましたが、
教科書として授業に用いてきました。
なお、高円寺南診療所では、開設初期より、積極的に推進してきたものの一つが、
外来栄養食事指導(保険診療)です。前任の中田美砂恵の退職に伴い、
4月から若手新人の永富淑江が管理栄養士として就任する予定です。
『わかりやすい臨床栄養学 <第5版>』は、高等学校を卒業して間もない学生
のための授業用のテキストとして版を重ねることができました。
今後も、高円寺南診療所での外来栄養食事指導の際のガイドブックとして
積極的に活用をしていただきたいと存じます。
私は、現代人に対する総合診療の核心は心身医学にあると考えています。
漢方は西洋医学である心身医学が誕生するよりもずっと古くからの心身医学です。
心身医学である漢方は、生活指導、食事療法、運動療法、メンタルケア、
鍼灸療法など多くの自然療法との相性が良いです。
頻用する漢方薬の多くは、体の症状に効くと同時に、心の症状にも効いています。
またアレルギーやリウマチなどの体質の改善のために、漢方を上手に活用すれば、
西洋医学のみの場合と比べて、その治療的利益は計り知れません。
現在、高円寺南診療所の待合室に掲げられている各種専門医認定証のうち、
漢方専門医の有効期限(平成29年3月31日迄)が間近に迫っています。
認定番号が第97-1001号で、1997年(平成9年)の専門医試験の合格者です。
受験資格を得るまでの条件を満たす段階で、すでに大変でした。
医師免許の他に、内科学会等の認定医・専門医の資格がないと、
漢方専門医の試験を受験することすらできません。
さらに、専門医になるためには認定試験(筆記試験、口頭試験)に合格しなければなりません。
私が医師免許を得てから、筆記試験の他に、口頭試験を受けたのは、
それが初めてでしたので、この経験はとても貴重でした。
心身医学会専門医、心療内科学会専門医ばかりでなく、東大の医学博士課程の入学試験
博士課程論文審査、臨床心理士の資格認定試験、労働衛生コンサルタント国家試験など、
口頭試験をすべてクリアしてきましたが、その原点は、
東洋医学会の専門医試験の口頭試験にあったように思います。
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