『嘱託臨床産業医』の相談箱

 

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リンダ・グラットンから学ぶ臨床産業医学の展望No5

 

<パンデミック後を生き抜くための4要素>

 

 

<リンダ・グラットンは、無形資産に加えて、パンデミック後の時代を生き抜くために重要な要素として、「透明性」、「共創性」、「忍耐力」、「平静」の4つを挙げている>

 

 

It’s rather an invitation to ask individual employees,‟ How would you like to work?“ And more importantly, what would help you to be most productive, what way of working would help you to be, you know, the most productive that you could be. And that process of co-creation is very important.

個々の従業員に、どうやって仕事をしたいかと聞くことを促すのです。そして最も重要なのは、何が最も生産性を高めてくれるか、どのような働き方があなたを最も生産的にしてくれるか、ということです。そして共創を生み出すプロセスが非常に重要なのです。

 

 

<嘱託産業医からのコメント>

パンデミックは今後何年も続くことなく終息することが期待されます。

しかし、パンデミック後の時代とは、いつまで続くのでしょうか。

 

それよりも、リンダ・グラットン教授のレクチャーの内容からすれば、パンデミック後の時代に向けての準備は、いつ終わるかもしれないパンデミック終息を待つことなく、今から直ちに始めた方が良いのではないかという気がしてきました。

 

どうやら無形資産の活性化と「共創性」の開発が鍵になりそうですが、「共創性」の開発のためには、仕事上のパートナー同士が互いに自分自身や相手の持ち味を良く知ることなくしては実現しえないことがわかります。

自分が良いと信じる考え方ややり方に固執してしまいがちな人にとって「共創性」の開発はとてもチャレンジングだと思われます。

 

 

リンダ・グラットンから学ぶ産業医学の展望No6

<パンデミックが私たちに示したこと>

 


Because you know what the pandemic has shown all of us, is that unexpected events will happen.
パンデミックが私たちに示したことは、予期せぬ出来事は起こるものだということです。

 

 

What has COVID taught us? I think it’s taught us the importance of resilience. You know, because, if you came into the pandemic, resilient, and by that, I mean, you know, you were healthy. You had strong personal relationships.

新型コロナウイルスは何を教えてくれたか。それは抵抗力の重要性を教えてくれたと思います。なぜならば、パンデミックに遭遇したとき、抵抗力があったなら、つまり、健康だったということ。強い人間関係を持っていた。貯金があった、つまり、有形・無形の資産を持っていた、ということです。

 

 

And so what I think it’s taught all of us is, you know, you’ve got to have that resilience so that if something unexpected happens to you, you’ve got enough options as it were to be able to ride over the storm.

だからパンデミックが私たちに教えてくれたのは、抵抗力を持たなければならないということだと思います。予期せぬことが起きても、いわば嵐を乗り越えるための十分なオプションを持っていなければなりません。

 

 

<嘱託産業医からのコメント>

レジリエンス(resilience)の邦訳として「抵抗力」というのは妥当でしょうか?

 

私は、「七転び八起き」できるような「粘り強さ」、ストレッサーに晒されて傷ついても潰れないタフさや「復元力・回復力」といったニュアンスで理解しています。