故郷(茨城)探訪:都道府県魅力度ランキング 茨城県が全国最下位に(その2)

 

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茨城県は古来、豊かな日常性に恵まれたお日様が誕生する東方の大地であり続けてきたのです。

 

芸能関係に疎い私は、「東方神起」というグループ名を見て、ようやく茨城県出身の若者が小粋なネーミングでデビューを果たしてくれたのか、と期待したものでした。後に韓流ミュージシャンであると知らされて驚きましたが、日が昇る東方(オリエンス)は、全人類があこがれる方角であったのではないかと思います。

 

神武天皇発祥の地である日向国(宮崎県に相当)、伊勢神宮のある伊勢国(三重県の大部分に相当)と並んで鹿島神宮のある常陸国(茨城県の大部分に相当)は、いずれも東方に海を臨み、その水平線から毎日太陽が誕生するのを見守ることができる土地柄です。

 

朝鮮半島の人々は日本海を東海と呼ぶのだそうですが、やはり東方の海は彼らにとっても魅力的な広がりなのだろうと思います。しかし、東の中でも、もっとも東に位置するのは日本国であり、日本はまさに極東の島国です。その島国の中でさらに東の極みに位置するのが常陸の国(日立の国?日高見の国?)なのです。

 

そんな神聖な茨城県に対する魅力度評価が最低位であるという結果をどのように受け止めるかについてはひと様々でよいと思います。

私は、このランキングは都道府県を女性に見立てるとすればエキゾチックでミステリアスな愛人度ランキング(もしくは美人投票)のようなものだと感じています。

 

これと対照的な尺度があるとすれば、それは、ごく平凡で幼馴染のような良妻度ランキングではないでしょうか。そして、非日常・現実逃避度(愛人度)ランキングと日常・現実受容度(良妻度)ランキングはパラレルではなく、むしろ逆相関する可能性を想定し、「魅力度ランキングと人口減少率は逆相関する」という大胆な仮説を立ててみました。

 

そこで魅力度第1位の北海道と茨城県の人口動態、それから日本の総人口の動態について、最近までの約20年間の人口の推移を調べてみました。

 

 

国土交通省のデータによると、平成7年から27年までの20年間における北海道の人口推移を見ると、減少傾向で推移し、約5.5%減少(※住民基本台帳に基づく北海道の人口のピークは平成9年570万人)。

 

これに対して、茨城県の人口は平成12年(2000 年)に最も多い 299 万人に達して以降,現在まで減少が続いています。令和3年9月1日現在で2,840,443人ですから、最近のおよそ20年間で約5.0%減少しています。

 

このデータが示すのは、最近約20年間の日本の総人口の減少率は、1億2680万人(2000年)、1億2557万人(2021年)であるので、約0.97%減少です。北海道も茨城県も共に日本全体の減少率より5倍以上の速さで低下しています。

 

このことは、47都道府県の魅力度順位と人口減少率との間には、逆相関は見られませんでしたが、ほぼ無関係であることが推定されます。つまり、魅力度を高めても直ちに人口増加には繋がらないだろう、ということです。

 

あくまでも、私にとっての話で恐縮ですが、愛人度はともかく、茨城県は良妻度ランキングがトップである、それもほぼ安定してトップの座を維持している、というイメージにたとえるとピンとくるのです。

 

たとえば、茨城県に定住するとしたら、毎日の生活は刺激に満ちているが、長続きしそうにない愛人との生活というイメージは決して浮かんできません。それは、むしろ素朴だが永年連れ添った妻との物心共に豊かな落ち着いた生活といった光景が、ほんのりと浮かんでくるからです。

 

茨城を愛する人々は、現実の大地に足の着いた、平凡かつ平穏な日常に喜びと満足とを感じることができる人々でもあるのではないかと思えるのです。

 

「都道府県魅力度ランキング全国最下位茨城県」のテーマは、私のこのコラムの意義を別の角度からおおいに照らしてくれそうです。そこで、次回もこのテーマを続けることにします。

 

 

次回は、「知られざる茨城の名湯・秘境」シリーズの第一弾として、北茨城市の「友の湯温泉」を紹介する予定です。