(鍼灸)東洋医学の話をしよう3ー臓腑(5) ー 肺

<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(5) ー 肺>

<はじめに>

 

前回は「」について解説しました。

 

 

「脾」の働きは

 

 

(1)運化(うんか)ー食べ物を消化吸収し水穀の精微(すいこくのせいび)をつくる

 

 

(2)昇清(しょうせい)ー水穀の精微を心肺へと昇らせる

 

 

(3)統血(とうけつ)ー血の脈外への漏出(出血)を防ぎます

 

 

(4)生血(せいけつ)ー水穀の精微から血を生成する

 

 

「脾」は「肌肉(ひにく)」「唇」「涎(よだれ)」「思(し)」と関係がある。

というお話でした。

 

 

今回は「肺」についてお話します。

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

<西洋医学での「肺」の働き>

 

 

肺の働きは呼吸に関連しています。

 

 

鼻と口から始まった気道(空気の通り道のこと)が左右の気管支に分かれ、それぞれ左右の肺の肺門から内部に入っていきます。

 

 

肺の内部に入った気管支はさらに枝分かれしながら細くなり、最終的には肺胞につながります。

 

 

この、肺胞の周囲には毛細血管が網目状に取り巻いており、呼吸によって取り入れた肺胞内の空気から、酸素を血液中に取り入れ、血液中の二酸化炭素は肺胞内に押し出され、「ガス交換」が行われます。

 

 

<東洋医学での 「肺」の働き>

 

「肺」の働きには

 

 

(1)呼吸器系の機能を司る

 

現代医学と同じで呼吸の働きをしています。

 

 

(2)氣をつかさどる

 

空気中から「清氣」を取り込み「脾胃」で作られた「水穀の精微」と組み合わさって「宗氣」が作られます。

 

 

「宗氣」は「心拍運動」「氣血のめぐりをを促す」「肺の呼吸を補助して発声を助ける」働きがあります。

 

 

(3)宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)

 

 ①宣発作用は、体内の濁気を排出すると同時に、脾から運輸されてきた津液と水穀の精微を全身に散布する。

 

 

 ②粛降作用は、吸入した清気と脾から運輸されてきた津液と水穀の精微を、肺よりも下部に位置する臓腑まで到達させ、それぞれの臓腑を栄養する。

 

 

最終的には膀胱まで気を降ろし、不要な物質を尿として排泄する。

 

 

つまり、呼吸によって全身に氣を巡らせます。

 

 

(4)水道通調作用ー水分を全身に行き渡らせる作用のことです。

 

 

体表に水分を行き渡らせることで潤いのある肌を保て、発汗も肺の働きが一役になっています。また、余分な水分を腎臓に送ることで体外に排出させる働きもあります。

 

 

(5)皮毛、鼻と関係があるー皮膚は外界の細菌やウイルスから身体を守る働きもしていますが、肺が弱ることで免疫力が下がり風邪をひきやすくなったりします。

 

 

そんな時、鼻水が出るなど、肺と関係が深い鼻に症状が見られるようになります。

 

 

<まとめ>

 

「肺」の働きには

 

(1)呼吸器系の機能を司る

 

(2)氣をつかさどる

 

「清氣」と「水穀の精微」を組み合わせて「氣」を作ります。

 

 

(3)宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)

 宣発作用と粛降作用によって全身に氣を巡らせます。

 

 

(4)水道通調作用ー水分を全身に行き渡らせます。

 

 

(5)皮毛、鼻と関係がある

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭