第114回日本内科学会講演会に参加して(その3)

 

(4月14~16日:東京国際フォーラム)

 

テーマ:超世代の内科学-GeneraltyとSpecialtyの先へ-

 

招請講演<がん幹細胞研究の進歩と治療開発>

 

赤司浩一(九大研究院・病態修復内科)氏の公演を聴いて(その3)

 

 

正常組織を構成する細胞群の中にも幹細胞があります。

 

この正常幹細胞はさまざまな支持細胞群からなる微小環境の中で維持されています。

 

これを<幹細胞ニッチ>と呼んでいます。

 

このニッチからのメッセージによって、自己複製や分化が始まります。

 

 

前回【先週】は、がん幹細胞の治療抵抗性、

 

つまり、がん幹細胞が薬剤・放射線治療に抵抗して生き残る背景について触れました。

 

 

がん幹細胞が強い理由の一つは、がん幹細胞を支えるニッチの存在です。

 

なぜならば、がん幹細胞もニッチからのメッセージにより、

 

自己再生や増殖分化の制御を受けているからです。

 

 

したがって、がん幹細胞の制御のためには、

 

ニッチを形成する細胞が果たしている役割について研究が進められているのです。

 

 

《朱に交われば赤くなる》という成句があります。

 

人は交わる友によって善悪いずれにも感化されることの譬えです。

 

細胞レベルだけでなく、人格をもった個体レベルでも同様のことが言えるのではないでしょうか。

 

個人にとっても、いわば<個人ニッチ(個人的な居場所となる小さなコミュニティの要素)>があります。

 

視点を変えれば、すべての人が、周囲の人々に対して

 

<個人ニッチ>となることが理解できます。

 

 

高円寺南診療所では、個人の環境を整えることや、対人関係の改善、

 

コミュニケーションや表現能力の向上を支援しています。

 

水氣道聖楽院での取り組みは、健康的な居場所や創造的で生産的かつ芸術的な活動を通して、

 

みずからも良好な<個人ニッチ>となりうるように成長していきたいものです。

 

今回は臨床で使っているツボ「⑮ 失眠(しつみん)」を見ていきましょう。

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踵の真ん中にあります。(下の赤丸の部位です。)

 

 

不眠に効果があるツボです。

 

 

またむくみにも効果があります。

 

 

親指で垂直に押してみてください。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 第114回日本内科学会講演会に参加して(その2)

 

(4月14~16日:東京国際フォーラム)

 

テーマ:超世代の内科学-GeneraltyとSpecialtyの先へ-

 

招請講演<がん幹細胞研究の進歩と治療開発>

 

赤司浩一(九大研究院・病態修復内科)氏の公演を聴いて(その2)

 

 

古くからのお馴染みの患者さんの中には<がん>幹細胞(ステム・セル)の最新研究など、

 

高円寺南診療所の日常診療には直接関係ないでしょ、などとおっしゃる方がいらっしゃいます。

 

 

実は、そうでもないのです。大腸がん、膵がん、前立腺がん、頭頸部がん、

 

など決して稀ではない様々ながん幹細胞が、続々と同定されています。

 

 

前回【先週】、がん幹細胞の治療抵抗性について簡単に触れましたが、治療抵抗性とは、

 

治療効果が上がらない、つまり、効かない、ということです。

 

がん幹細胞は、抗がん薬や放射線療法が効きにくいので、治療抵抗性なのです。

 

 

ただし、がん幹細胞の治療抵抗性である背景は、

 

がん幹細胞は、低酸素酸化ストレスへの抵抗性が高いこと、

 

薬剤排出機構の亢進、DNA修復機構の亢進、

 

アポトーシス(プログラムされた細胞の死)の抑制などの特徴をもつこと、などが次々と報告されています。

 

 

低酸素酸化ストレスは、がんの発生に関与していることから考えれば、

 

そうしてできあがったがん幹細胞が、低酸素や酸化ストレスに強いのは容易に頷けます。

 

 

《 予防に勝る治療なし》です。

 

がん幹細胞の研究は、がんの予防法の進歩にも貢献すると考えることができます。

 

癌細胞、がん幹細胞の発生を予防するためには、

 

たとえば、低酸素状態や酸化ストレスを抑止することが大切です。

 

こうした背景から考えると、医学的に管理されていない激しい競技スポーツは、

 

低酸素状態や酸化ストレスをもたらし易いので、がんを減らすことには繋がりにくくなります。

 

これに対して、水氣道聖楽院でのボイストレーニングはどうでしょうか。

 

水中の有酸素運動や呼吸法により、全身の低酸素状態は解消され、

 

酸化ストレスをも軽減でき、がんの予防のためにも

 

優れた健康プログラムであるということがご理解いただけるのではないでしょうか。

 

 

高円寺南診療所は、がんの予防に対しても、大学の研究室とは異なった立場から、

 

独自の先進的な取り組みを続けています。

今回は臨床で使っているツボ「⑭ 湧泉(ゆうせん)」を見ていきましょう。

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踵から指を滑らせて止まるところにとります。

 

 

体の怠さや疲れを取ります。

 

 

足の冷えや不眠にも効果があります。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

第114回日本内科学会講演会に参加して(その1)

 

(4月14~16日:東京国際フォーラム)

 

テーマ:超世代の内科学-GeneraltyとSpecialtyの先へ-

 

招請講演<がん幹細胞研究の進歩と治療開発>

 

 

赤司浩一(九大研究院・病態修復内科)氏の公演を聴いて(その1)

 

 

私は毎日<がん>の患者さんを診ています。

 

このように言うと、

 

『高円寺南診療所は、すごくハイレベルなクリニックなんですね』、

 

という反応が返ってきます。

 

しかし、日本の国民の過半数は<がん>で亡くなります。

 

ですから、<がん>患者の診療は、

 

ごく普通の診療所の普通の医者にとっても日常的なことなのです。

 

 

 

正常な組織を構成する細胞は、自己複製する能力がありますが、

 

幹細胞でない多くの正常細胞は、他の種類の細胞に変化する能力(分化能)を持ちません。

 

 

これに対して、悪性腫瘍である<がん>組織の中にも、

 

自己複製する能力を持ち合わせた細胞が少数ながら混じっています。

 

これが<がん>幹細胞(ステム・セル)です。

 

 

そのため、正常組織は分化能のない細胞集団なので、細胞レベルで均一なのですが、

 

《 悪性腫瘍の組織は、分化能をもつ<がん>幹細胞が

 

正常とは異なる分化能を示すことにより、細胞レベルで不均一となる。》

 

というモデルが提唱されているそうです。

 

 

がん幹細胞とは、2006年の米国癌学会で、

 

「腫瘍内に存在し、自己複製能と主要組織を構成するさまざまな系統のがん細胞を生み出す能力を併せ持つ細胞」

 

と定義されました。

 

 

医学用語の定義は、今後の研究の方向性を明確にするうえで大きな役割を果たします。

 

この定義により、

 

がん化とは・・・正常細胞ががん幹細胞化すること

 

がんの治療とは・・・治療抵抗性が高いがん幹細胞を根絶すること

 

がんの再発とは・・・残存がん幹細胞が再活性化すること

 

がんの転移とは・・・がん幹細胞の移動と局所への定着

 

 

そして、がん治療の標的は、がん幹細胞にある、

 

ということが明確になってきました。

 

 

治療抵抗性については、次回【来週】で採り上げます。

今回は臨床で使っているツボ「⑬ 百会(ひゃくえ)」を見ていきましょう。

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頭のてっぺんと左右の耳を繋いだ線の延長上に交わる部位にあります。

 

 

 

精神的なストレスを緩和するツボです。

 

 

 

頭痛、耳鳴り、自律神経失調症、更年期障害に効果があります。

 

 

 

また痔にも効果があります。困っている方は指圧してみてください。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

今回は臨床で使っているツボ「⑫ 気戸(きこ)」を見ていきましょう。

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鎖骨の下、乳頭線上にとります。

 

 

 

肺、喉等の呼吸器の機能を高めます。

 

 

 

喘息、肩こり、肋間神経痛等に効果があります。

 

 

 

また、のぼせにも効果があります。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

今回は臨床で使っているツボ「⑪ 気海(きかい)」を見ていきましょう。

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臍から指2本分下にとります。

 

 

 

氣の流れを良くして倦怠感、気力の喪失を改善し心身を健康にしていきます。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

第114回日本内科学会総会に参加して(その3)

 

 

内科は基本領域です。

 

この基本領域をSpecialty(専門)として、

 

そこから13Subspecialty(特殊専門領域)が構成されます。

 

しかし、世間様の相場とは異なり、内科が専門領域であると主張しているのが

 

日本内科学会だけだとすれば、実に滑稽な話です。

 

 

日本内科学会の13におよぶSubspecialty領域を列記してみましょう。

 

消化器・循環器・呼吸器・血液・神経内科・老年病・腎臓病・肝臓病・糖尿病

 

・内分泌代謝・リウマチ・アレルギー・感染症

 

日本内科学会が認定した内科医は、このすべての領域を担当できることが保障されていますが、

 

もっぱらSubspecialty領域のみを担当する医師も多数存在します。

 

 

これらのSubspecialty領域の内科専門医となるためには、

 

基本領域である内科医としての認定された資格を有することが必須の条件となります。

 

 

私の場合は、上記のうち、リウマチアレルギーの2領域の専門医ですが、

 

これらの領域はとくにすべてのSubspecialty領域にかかわっています。

 

 

また、この13領域以外でも基本領域の資格を必須とする専門医資格があります。

 

 

広告可能な専門医資格として厚生労働省が認可しているものの中で、

 

私が保持している資格は、心療内科専門医漢方専門医があります。

 

この2つの専門領域は、内科の13のSubspecialty領域のすべてはもちろんのこと、

 

医療全般に貢献していると思います。

 

 

心療内科は、いずれ内科の14番目のSubspecialty領域となるべき準備が進みつつあるようです。

 

一方、漢方専門医は内科以外の基本領域、

 

たとえば小児科、産婦人科等の専門医など、複数の基本領域の専門医が取得しているタイトルです。

今回は臨床で使っているツボ「⑩ 天枢(てんすう)」を見ていきましょう。

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臍から指3本分外側にあります。

 

 

 

腸の動きを調整して、便秘を解消し体の調子を整えます。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭