ムッシュGPTと学ぶOpenAIの世界 ⑦

 

前回はこちら

 


「よくある質問」については金曜日のシリーズですが、

 

2月16日(金)金曜シリーズ < よくある問い合わせ ⑫ >

 

に取り上げたBさんの質問について、これを敢えて英語に翻訳して、ムッシュGPTに再度質問してみました。

 


オリジナルの質問文を再掲します。

 


質問者:Bさん(日本人)

私は糖尿病の患者です。主治医から適切な治療を受けているので、セルフケアを怠らなければコントロール良好です。将来、インスリンの自己注射を打つようにはなりたくないのですが、インスリン以外に糖尿病の注射薬があると聞き興味があります。その注射薬の概要について教えてください。

 


以下はChatGPTのシステムについての理解を深めるための英語での回答ですが、その場合、回答文も英語になります。生成された英語の回答文は、私が日本語に翻訳することにします。

 

 


質問者:Bさん(日本人)英語翻訳版


I am a diabetic patient. I am receiving proper treatment from my doctor and am in good control as long as I do not neglect my self-care. I do not want to have to self-inject insulin in the future, but I am interested to hear that there are other injectable drugs for diabetes besides insulin. Please give me an overview of these injectable medications.

 


ChatGPTの英文回答

 

Certainly! While insulin is a common injectable medication for diabetes, there are also other injectable medications available that can be used as alternatives or in combination with insulin. These medications are typically used to help manage blood sugar levels in people with diabetes. Here are some of the non-insulin injectable medications:
1. GLP-1 Receptor Agonists (Incretin Mimetics):
Examples: Exenatide (Byetta, Bydureon), Liraglutide (Victoza, Saxenda), Dulaglutide (Trulicity), Semaglutide (Ozempic).
These drugs stimulate the release of insulin and reduce glucagon secretion, leading to lower blood sugar levels. They also slow down gastric emptying, promoting a feeling of fullness and potentially aiding in weight loss.
2. DPP-4 Inhibitors (Gliptins):
Examples: Sitagliptin (Januvia), Saxagliptin (Onglyza), Linagliptin (Tradjenta), Alogliptin (Nesina).
DPP-4 inhibitors work by inhibiting the enzyme DPP-4, which in turn increases the levels of incretins. Incretins help regulate blood sugar by increasing insulin release and decreasing glucagon secretion.
3. SGLT-2 Inhibitors:
Examples: Canagliflozin (Invokana), Dapagliflozin (Farxiga), Empagliflozin (Jardiance).
SGLT-2 inhibitors work by blocking the reabsorption of glucose in the kidneys, leading to increased glucose excretion in urine. This helps lower blood sugar levels.
4. Amylinomimetic (Pramlintide):
Example: Pramlintide (Symlin).
Pramlintide is a synthetic form of amylin, a hormone that works with insulin to regulate blood sugar levels. It slows down the absorption of glucose from the digestive system, reducing post-meal spikes in blood sugar.
5. GLP-1 Receptor Agonist and Insulin Combination:
Examples: Insulin Glargine and Lixisenatide (Soliqua), Insulin Degludec and Liraglutide (Xultophy).
These are combination medications that include both a long-acting insulin and a GLP-1 receptor agonist in one injection. They aim to provide both basal insulin and postprandial glucose control.
It's important to note that the choice of medication depends on various factors, including the type of diabetes, individual health conditions, and treatment goals. Your healthcare provider will determine the most appropriate treatment plan for you based on your specific needs. Always consult with your healthcare team before making any changes to your diabetes management plan.
ChatGPT can make mistakes. Consider

 

 


質問者:Bさん(日本人)英語翻訳版の日本語訳

 

ChatGPTの回答文
確かに インスリンは糖尿病の一般的な注射薬ですが、インスリンの代わりとして、あるいはインスリンと併用できる他の注射薬もあります。これらの薬は通常、糖尿病患者の血糖値の管理に役立ちます。ここでは、インスリン以外の注射薬をいくつか紹介します:


1. GLP-1受容体作動薬(インクレチン関連薬):
- 例 エキセナチド(バイエッタ®、ビデュリオン®)、リラグルチド(ヴィクトーザ®、サクセンダ®)、デュラグルチド(トルリシティ®)、セマグルチド(オゼンピック®)など。
- これらの薬剤はインスリンの分泌を刺激し、グルカゴンの分泌を抑えて血糖値を下げます。また、胃排出を遅らせ、満腹感を促し、体重減少を助ける可能性があります。

 


2. DPP-4阻害薬(グリプチン類):
- 例 シタグリプチン酸塩水和物(ジャヌビア®)、サキサグリプチン水和物(オングリザ®)、リナグリプチン(トラゼンタ®)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ®)など。


- DPP-4阻害薬は、DPP-4という酵素を阻害することにより、インクレチンのレベルを上昇させます。インクレチンは、インスリン分泌を増加させ、グルカゴン分泌を減少させることにより、血糖値の調節を助けます。

 


3. SGLT-2阻害薬:
- 例 カナグリフロジン水和物(インボカーナ=カナグル®)、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ®)、エンパグリフロジン(ジャディアンス®)。


- SGLT-2阻害薬は、腎臓でのグルコースの再吸収を阻害することで作用し、尿中へのグルコース排泄を増加させます。これにより、血糖値を下げることができます。

 


4. アミリノミメティック(プラムリンタイド):

- 例 プラムリンタイド(Symlin®)。


- プラムリンタイドは、インスリンと協力して血糖値を調節するホルモンであるアミリンの合成型です。消化器系からのグルコースの吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇を抑えます。

 


5. GLP-1受容体作動薬とインスリンの併用:
- 例 インスリン グラルギンとリキセナチド(ソリクア配合注ソロスター®)、
インスリン デグルデクとリラグルチド(ゾルトファイ配合注フレックスタッチ®)。


- これらは、長時間作用型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の両方を1回の注射で投与する配合剤です。これらは基礎インスリンと食後血糖コントロールの両方を行うことを目的としています。

 

薬剤の選択は、糖尿病のタイプ、個々の健康状態、治療目標など様々な要因によって異なることに注意することが重要です。医療従事者は、患者さんの具体的なニーズに基づいて、最も適切な治療計画を決定します。糖尿病管理計画を変更する前に、必ず医療チームに相談してください。

 

ChatGPTは間違いを犯す可能性があります。要考慮のこと。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
英語による質問に対する英語での回答は、オリジナルの日本語による質問に対する日本語での回答と比べて、その内容や具体性が格段に向上していることが確認されました。

 

ただし、総論部分の回答には注意を喚起しておかなければなりません。

 

ムッシュGPTは、「確かに インスリンは糖尿病の一般的な注射薬ですが、インスリンの代わりとして、あるいはインスリンと併用できる他の注射薬もあります。」と回答していますが、インスリンはあくまでインスリンであって、ある種のインスリンの代わりになる注射薬はインスリン以外には考えられないからです。これは、ニュアンスの問題かもしれませんが、誤解を招きやすいので要注意です。


逆に「ここでは、インスリン以外の注射薬をいくつか紹介します」と回答していますが、実際には、ほぼすべての注射薬を網羅しています。ほぼ、というのは、ChatGPTの情報ベースが概ね2021年までのデータであることから、それ以降に承認された新薬があるとすれば、まだアップデートされていない可能性があるからです。

 

翻訳にあたっては、より正確を期するために、日本国内で使用されている薬剤については、その名称の表記にしたがい加筆・修正しました。

 

日本語版と英語版では、同じ内容の質問をしても、これだけ明らかな回答の違いがあります。日本語版ですら、一般の方々にはなじみにくい説明であったかもしれませんが、それにも増して、英語版での回答は、一般の内科医にとっても詳しすぎる程の情報量です。糖尿病専門医向けの備忘録的なサマリー情報といっても過言ではないでしょう。


それでは、質問原語の違いによる、このような回答内容の違いは何に由来するのでしょうか?

 

英語版では薬剤の一般名だけでなく商品名®まで掲載しているのがヒントになっているように思われます。

 

これは、あくまでも私の推測に過ぎませんが、米国等の巨大な資本力をもつ製薬会社の業界団体の影響力によるものではないかと私は推測しています。

 

ChatGPTのように、全世界に大きな影響力をもつシステムの開発には莫大な費用が必要であることは疑い得ないことです。ChatGPTを開発しているOpenAI研究所自体は、非営利団体とされますが、多数の営利子会社を擁しているとはいえ、外部から相当額の寄付を積極的に受け付けているものと推定することができるのではないでしょうか。

 

つまり、米国の大手の製薬会社が研究開発費を拠出している可能性が少なくないということです。そして、多額の寄付を受けるということは、人材についても出資者の意向に沿う開発者が送り込まれる可能性が高いことが示唆されます。

 

英語版では薬剤の一般名だけでなく商品名®まで掲載して具体的かつ詳細に紹介されている事実がヒントになっているように思われます。