コラム<医療> のプログラムの臨時変更について
今週(10月5日~8日)のWeek Days(月~金)<医療>では、
予定しておりました「第2週:感染症・アレルギー・膠原病」
に換えて、『米国トランプ大統領のCovid-19の病状を診る』の特集とします
<号外>、<外国語旅行>の記事と合わせてお読みください。
『米国トランプ大統領のCovid-19の病状を診る』No1
Dr.Iijima(Suginami International Clinic)の初期の見立て
まずは、NHKのサイトから確認してみましょう。
トランプ大統領 “一時深刻な状況 その後 大きく改善” 米高官
2020年10月4日 19時30分トランプ大統領
新型コロナウイルスに感染して入院しているアメリカのトランプ大統領について、ホワイトハウスの高官は、陽性の検査結果が発表された2日は発熱に加え、血液中の酸素濃度が急激に下がり、一時は深刻な状況にあったと明らかにしました。
その後は熱が下がるなど症状は大きく改善していて、今後、数日は大統領の容体を注視する必要があるとの見方を示しました。
新型コロナウイルスに感染して入院しているトランプ大統領は3日夜、ツイッターにビデオメッセージを投稿し、「病院に来て体調はかなり改善した。
すぐに現場に戻れるだろう」と述べました。
メドウズ大統領首席補佐官は3日、FOXニュースの番組に電話で出演し、陽性の検査結果が公表された2日について、「トランプ大統領は発熱に加え、血液中の酸素濃度が急激に下がった。主治医と私はとても懸念していた」と述べ、一時は深刻な状況にあったと明らかにしました。
そのうえで「大統領の症状はその後、信じられないほど改善した。
とても楽観している。ただ、今後48時間は依然として厳しい状況になる可能性もある」と述べ、今後、数日は大統領の容体を注視する必要があるとの見方を示しました。
ただ、司会者から「48時間というのは入院した時点からなのか」と聞かれると、「主治医に代わって話すことはしない」と述べるにとどめました。
トランプ大統領自身もビデオメッセージの中で今後、数日間が正念場になるとの考えを示していて、現地では引き続き緊張が続いています。
感染症対策 専門家「70歳以上は重症化するおそれ 経過観察必要」
新型コロナウイルスに感染して入院しているアメリカのトランプ大統領の容体について感染症対策が専門で東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、「トランプ大統領が投与した『レムデシビル』は、ウイルスの増殖を抑えるもので早い段階でウイルスの増殖をできるだけ抑え込む目的だったと思われる」と指摘しました。
また、新型コロナウイルスの症状を判断する1つの指標となる血液中の酸素濃度が96%から98%だったことについて、「この数値は正常域の値だと言える」としています。
さらに、トランプ大統領自身がビデオメッセージの中で今後、数日間が正念場になるとの考えを示していることについて、「以前、新型コロナウイルスに感染したイギリスのジョンソン首相の容体が急激に悪化したことがあったように、新型コロナウイルスの特徴として2、3日で急激に悪化するケースがある。
特に70歳以上は重症化するおそれがあるため、経過観察が必要になる」として事態を引き続き注視する必要があると話していました。
杉並国際クリニックによる情報整理
- 10月2日
トランプ大統領の新型コロナウイルスPCR検査陽性の結果判明。
同日の症状としては、発熱の他に呼吸困難感はあったものとみられます。
海外メディアの情報によると、検査時点ですでに、全身倦怠感、咳、発熱などの感冒様症状(主に、急性上気道炎)があったようです。
動脈血中酸素飽和濃度(SpO2)が急激に低下したようですが、これは肺などの下気道にまで炎症が急激に波及したことを示唆します。ただし、その際のデータは未詳です。
つまり、急激に肺炎を発症させたとみることができます。
その後、解熱したとのことですが、一過性ではない可能性があり、再度発熱する恐れはあります。
- 10月3日
トランプ大統領がツイッターで「状態改善」を発表。
動脈血中酸素飽和濃度(SpO2)が96%から98%:
このデータが室内大気、すなわち、一切の酸素吸入を行っていない条件下でのデータであれば、正常範囲ですが、トランプ氏は酸素吸入を受けたとの情報もあり、その場合は、全く意味が違ってきます。
肺炎を発症させた翌日に完全に治癒しているとは考えにくいといえるでしょう。
「今後48時間は依然として厳しい状況になる可能性」の指摘は、もっともなコメントです。
トランプ大統領自身のビデオメッセージの中で「今後、数日間が正念場」というのは率直なメッセージとして受け止めてよいと思います。
5日に退院可能の見込みがある、と発表されていますが、慎重に経過を見守る必要があります。
杉並国際クリニックによる情報分析
- 発症の誘因
1)マスク嫌い、2)大規模集会出席、3)米国全土での移動(気象環境の格差)、
4)季節(夏から秋、急激な気温低下)、5)蓄積疲労、6)精神的ストレス、
7)ホワイトハウス内部の反トランプスパイの暗躍
- トランプ大統領の死亡リスク因子
- 高齢、2)肥満(BMI>30)、3)男性、4)基礎疾患
1946年6月14日生まれで、現在74歳。若年層と比較して死亡リスク約3倍です。
トランプ氏の体格については「身長は6フィート 3インチ(約190センチ)で体重は239ポンド(約108キロ)」との発表がありました。
身長1.9m、体重110㎏から体格係数(BMI)を算出すると30.5
米国では、ギリギリの肥満ですが、日本の基準では肥満度Ⅱ(中等度肥満)に相当します。
- 4)基礎疾患についての背景(トランプ大統領の常備内服薬)
- アスピリン® サリチル酸系・・・日本では血小板凝集薬として使用される
血栓予防(狭心症、一過性脳虚血発作など動脈硬化症を基礎とする疾患に)
- リピトール® スタチン・・・抗コレステロール血症治療薬
- 推定される基礎疾患
- 肥満症、2)動脈硬化症、3)脂質異常症(高コレステロール血症)、
4)心疾患(高血圧、狭心症?)
- 軍の病院での入院治療の内容
主治医:ショーン・コンリー医師
- 安静
- 酸素吸入(2日に実施)
- 回復患者採取血清抗体療法
- レムデシビル® 毎日1回の点滴:
⇒ 新規ヌクレオチドアナログのプロドラッグで、抗ウイルス薬。ギリアド・サイエンシズが開発し、エボラ出血熱及びマールブルグウイルス感染症の治療薬として、後に、一本鎖RNAウイルス(RSウイルス、フニンウイルス、ラッサ熱ウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、コロナウイルス(MERSおよびSARSウイルスを含む))に対して抗ウイルス活性を示すことが見出されました。2020年5月1日、アメリカ合衆国で緊急使用を認めた新薬であり、日本では「特例承認制度」を用いて2020年5月7日に正式に新型コロナウイルスへの治療薬として承認されましたが、特定の医療機関でのみ使用できるに過ぎません。
- デキサメサゾン(ステロイド剤):
⇒ 古くからある薬剤です。重症例で使用されますが、いわゆる急性間質性肺炎に対して処方されることもあります。
上記のうち、① 安静、② 酸素吸入、③ 回復患者血清などの治療は、俗に「スペイン風邪」大流行の際に、つまり100年前の日本でも既に行われていた流行性感冒に対する古典的な方法です。当時の内務省の質問(嘗て本省は本病の予防、治療の適当なる方法に関し、学者、臨床家等の意見を求めたるが治療に関する回答概要左の如し。)に対する諸家の治療に関する回答で山際勝三郎、鈴木慶之助、渋村主税、安部益之助、渡辺惣五郎、宮尾海軍中尉など、当時の代表的な医師がすでに回答しています。
杉並国際クリニックからのアドバイス
トランプ大統領は、ブラジルのトランプと呼ばれるボアソナロ大統領とともに、マスク着用を軽視しておられたようです。予防薬として、抗マラリア薬のクロロキン®を使用していた時期があったようですが、共に罹患してしまいました。標準的予防策を軽視せず、集・近・閉の3密を避けることに加え、予防薬はより適切なものを使用することが肝要でしょう。
まず、マスクを装着し、抗ウイルス効果・免疫力増強効果のある「マスク・インナー生薬パック」の使用をお勧めしたいところです。
次いで、予防薬としては、『玉屏風散(ぎょくへいふうさん)』をベースとして毎日服用していただきましょう。
とくに寒くなり空気が乾燥する秋からの時期には、抗ウイルス効果・免疫力増強を図る目的で『板藍根(ばんらんこん)』を併用すると良いでしょう。漢方薬はアジア系の人種でなければ効かないと考えていた時期がありますが、説明の工夫次第では、よく効くことを経験しています。しかし、漢方薬に対する偏見が強く、独特の味や匂いが苦手だと毛嫌いするようなタイプの方には日本人でも効きにくいです。欧米の方には「ハーブ&スパイスの自然療法」と説明すると、納得して服用してくれます。薬はすべからく納得してから内服してくださると実によく効くものです。もしトランプ大統領のような方にお勧めするとしたら、漢方薬を直訳して説明したら、まず飲んでいただけないでしょう。日本古来の定評ある生薬だと説明すれば、親指を立てて試してくれるかもしれません。
以上のような予防をしておけば、ノドの違和感や咳が出始めた段階で『金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)』、全身倦怠感を感じた時点でただちに『藿香正気散(かっこうしょうきさん)』、そして発熱(できれば「熱感」の段階で)には、ただちに『柴葛解肌湯(さいかつげきとう)』を用いてほしいところです。PCR検査を受ける前、検査を受けてから結果を待つ間の時間は、不安を抱えながら(それ自体が増悪因子です!)無為に過ごさず、この間の時間も積極的に有効に活用して病状の悪化を食い止める工夫が大切です。ひとたび発熱し、頭痛や呼吸困難感をともなう場合には、血栓防止のため「地竜(じりゅう)」を加えておくとさらに良いでしょう。とくにトランプ氏の場合は、肥満、高脂血症、動脈硬化症に伴う心疾患を有していて、ふだんからアセチル・サリチル酸系の血小板凝集薬により、血栓予防をしているような方には特におすすめです。最悪の場合、サイトカインストームにより血栓症・敗血症を来した場合には、予後は極めて不良になるので、早めの対策が必要だと思います。
ARCHIVE
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年9月
- 2023年7月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年9月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月