参加者:

指導監督者1名、支援員2名、修練生2名、訓練生3名

 

2班に分けて行いました。

A班

スタートが今日、初めてのメンバーのグループ。

B班

鷺ノ宮のプールでスタートしたメンバーのグループ
林支援員が担当


A班
前半は飯嶋指導員が指導

下半身のストレッチと下半身の強化(航法)の組み合わせ

5分間休憩
プールサイドを3周位歩きました。


後半は中川支援員が担当

動(航法)と静(太極航法)を組み合わせて行いました。

 

B班

頭部、四肢の可動域を確認しながら歩行、

サイドウォーク(肩幅、倍幅、最大幅)

スカーリング(前、後ろ、上下、横、手首、肘など)

最後の10分活水航法で終了。

 

 

終了後の感想。

A班

2ヶ月ぶりのため水の抵抗を感じました。

メンバーの一人は「身体がサビていたなぁ」の声

プールサイドは 滑らないように歩くのでかなり緊張しました。



太極航法。
説明が上手く伝えることが出来ませんでした。

 

 

B班

 

 

プール室内の殆どの扉が開いていたので涼しく感じた。以前とは全く違った雰囲気であった。稽古に入れば以前とは変わらなくできた。

 

今週は自主練を含み5回プールに行きくたびれたこともあったが無事にできたことに感謝したい。

 

 

B班

日本水気道協会

中野支部長 林 亮博

 



注意
施設の利用について
施設側の指示に従いながら、行動をすることになりました。

皆さん、よろしくお願い致します。

6月15日(月)

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え10症例目に入ります。

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤もしくは緑文字として区別しました。


5月1日、3日取材横浜放送局 寺島光海

神奈川県に住む30代の会社員の女性は新型コロナウイルスに感染しましたが軽症のため自宅療養となりました。健康観察期間は終了したものの陰性を確認する検査はなし。「私は本当に外に出ていいのか…」 不安は現実となりました。

 

第1節:感染対策はとっていたが

女性が発症したのは4月上旬。感染対策は意識していたが、それがかえって感染の原因になったかもしれないと今は考えている

 

発症したときはまだ緊急事態宣言が出されていない時期で、連日、安倍さんや小池都知事が「3密(註:3密というより、<集・近・閉(しゅうきんぺい)と覚えておくと便利です)を避けてください」と言ったり、週末の(外出)自粛を呼びかけていたので緊張感はかなり高まっていたと思います。

手洗い、うがい、帰ってきたらすぐにお風呂に入ってウイルスを落とそうとしたり、空間除菌だったりとかで対策は十分にとっていた(註:標準防衛策に心掛けていても感染してしまうため、皆様には玉弊風散その他のホームレメディを推奨しているのです)とっていてもと思っています。


その中で、除菌用品とかがかなり品薄だったので買わないとという思いがあって、発症する10日ぐらい前から除菌用品を探し回っていました。

除菌用品を売っているところは人が集まっていたので、ドラッグストアとか。それを何軒も探し回っていたので、混雑しているところに自分から行っていたのではないかなと思っています。買い物する中で感染したかもしれないです。

 

コメント:

この女性と同様に勤勉に感染予防・蔓延防止に努めようとするあまり、かえってリスクを高めかねなかった方が、杉並国際クリニックの患者の皆様の中にも少なくありませんでした。

とくに日頃から勤勉で誠実で正義感が強く、しかも潔癖症、完全主義で不安感が強いタイプの方が少なくない方の行動を心配していました。

こうしたタイプの皆さまは、自分が納得できて安心できるまで、積極的に防衛資源を探し求めるのですが、いくら努力しても安心が得られず、きりが無くなってしまうくらいです。実際に、そのような兆しや報告を受けることによって、私はある決定をしました。

その一つは、より正しく助けになる情報をHPだけでなく、紙媒体でも一人一人に説明を加えて手渡し、もしくは郵送しました。これは、不正確で無責任な情報に振り回されないようにするためです。

二つ目は、情報だけを提供するのではなく、具体的なマテリアル(現物)を窓口に準備することにしました。対コロナ秘策第一弾(五点セットの常備生薬)は、私が推薦した材料を探し求めるために、あちこち探し回らなくても済むようにするためです。

三つめは、個人単位でなく家庭単位で共通の認識と行動をとることの重要性を理解していただくことです。感染症の場合、同居の家族は、必然的に互いにとっての濃厚接触者となるため、家族を守ることは自分を守るうえで不可欠の前提になるからです。対コロナ秘策第一弾(五点セットの常備生薬)に加えて対コロナ秘策第二弾(生薬マスク)をご家族ぐるみでご活用いただいていることの意義は少なくないことでしょう。

私自身は、4月、5月の2か月間は、直接の患者さんの相談だけでなく、ご家族のための相談にも応じてきました。そのような活動は薬剤師である事務長が、随分以前から行っていて、しばしば私もアドバイスしてきました。

名前と家族構成は知っているが私の患者さんではない方のアドバイスを彼女は今でも続けており、多くの方々に感謝され尊敬を受けていることを最近になって再認識しました。彼女のそうした地味なボランティア活動の継続によって得られた経験や知恵の蓄積が、今回の当クリニックで展開しているコロナ対策において大きく貢献していることは皆様方のご評価がよく証明してくれているものと思われます。

 

<明日へ続く>

6月15日(月)



ポストコロナの時代は、政治・外交・経済・文化のみならず医学の領域においても、日台の関係が親密になるものと思われます。そこに米国が積極的な支援を強化することになるでしょう。私自身も、今回のコロナパンデミックを経験しなければ、最も身近な親日的隣国の存在を忘れたままでいた可能性があります。台湾からは学ぶべきことがたくさんあることに気が付きました。

 


台湾の伝統医療ガイドライン


台湾は,3月10日に台湾国家中医薬研究所(註1)・蘇奕彰(註2)所長の作成したガイドラインがあります。
蘇奕彰教授の自然志向の医療をめざす姿勢には共感できることをたくさん見出すことができました。


(註1)

国家中医薬研究所(通称、中医所)とは、中華民国(台湾)国立の伝統中国医学の研究所。1963年に設立され、現在は衛生福利部配下にある。台湾最大の中医学の研究所である。


(註2)

蘇奕彰 プロフィールを原文から紹介します。
蘇奕彰教授,本校1990年中醫學學系畢業,1995年取得中醫研究所醫學博士學位。研究生期間,中醫學師承馬光亞與黃維三等國際知名教授,西醫受教於藍忠亮教授。其後,專注在癌症、免疫風濕、肝膽及心腦血管疾病,及急重症之中西醫結合診療研究,臨床成效頗受推崇。
蘇奕彰教授は1990年に中医学科を卒業し、1995年に中医学研究所で医学博士号を取得しました。 中医学の大学院では、馬観雅、黄偉山など国際的に有名な教授に、西洋医学では蘭中良教授に師事しました。 臨床研究では、がん、免疫リウマチ、肝胆、循環器、脳血管疾患、急性・重症疾患における西洋医学の統合などを中心に研究し、かなりの尊敬を受けています。

 

 

    教育工作上,自1995年起陸續擔任過中醫基礎學科主任、中醫學系系主任、中醫藥展示館館長、中醫研究所所長、中醫系所主任,並參與國家中醫醫政、考試與立法事務。推動中醫現代教育課程與教學改革,召開多次全國中醫學系教育會議,整合以臨床問題為中心之教、考制度,建立整合中西醫學之中醫研究生教育與師資養成制度,推動中醫現代教考訓用一體,並成立台灣中醫醫學教育學會。


1995年より中医学基礎医学科長、中医学科長、中医学展示館館長などを歴任。 漢方医学の医学、政治、試験、立法にも携わっています。 中医学の現代教育カリキュラムと教育改革を推進し、中医学科の全国教育会議を数回開催し、臨床問題に基づいた教育を統合しています。また、中医学と西洋医学の大学院教育と教員養成の統合システムを確立し、現代中医学の教育、試験、訓練、応用の統合を推進し、中医学専門職の発展を推進しています。台湾中医薬教育協会を設立しました。

 

 

    學術上,蘇教授致力於中西醫整合之臨床研究與跨領域學術合作工作,如2004-2009年與台大兒科呂鴻基榮譽教授共同召開19場中西醫對話論壇,以及2005-2011年國際簡帛醫藥文獻研討會、2013年醫家與史家對話國際會議、2014年傳統與現代醫學整合國際論壇。最受國際推崇的學術成果是採用心理測量方法研究中醫體質學,並完成全球第一份中醫科學量表(Body Constitution Questionaire,BCQ),僅量表發展部分就有5篇國際論文發表。蘇教授以豐富之中醫體質量表發展經驗應用於中醫學系之招生選才工作,深獲教育部大學招生評鑑委員之讚賞。


学術的には、2004年から2009年まで台湾中医学教育協会(TCME)との共同研究など、中医学と西洋医学の融合に関する臨床研究や学際的な学術協力に力を入れています。 NTU小児科名誉教授の呂洪基博士は、19の中医学・西洋医学対話フォーラムと2005-2011年の国際単純化フォーラムを共同開催しました。医学文献会議、治療家と歴史家の対話国際会議2013、伝統医学と現代医学の融合国際フォーラム2014 最も国際的に評価されている学術的業績は、中医学生理学の研究に心理測定法を用い、世界初の科学的なTCM尺度(TCM Scale)を完成させたことです。 最も国際的に評価されている学術的業績は、中医学生理学の研究に心理測定法を用い、世界初の中医学科学的尺度(TCMスケール)を完成させたことです。 体質問診票(Body Constitution Questionaire:BCQ)(註3)、尺度開発だけでもこれまでに5本の国際論文を発表しています。蘇教授の中医学生理学的尺度の開発における豊富な経験は、中医学科の学生募集に生かされています。 台湾中医学会、中医振興財団の会員でもあります。

 

(註3)

体質問診票(Body Constitution Questionaire:BCQ)
この問診票は、杉並国際クリニックにて個別の漢方処方の相談に応じる際に参考になりそうですので、機会を改めてご紹介したいと思います。

 

 


2012;19(5):234-41.
doi: 10.1159/000343580. Epub 2012 Oct 18.
BCQ-: A Body Constitution Questionnaire to Assess Yin-Xu. Part I: Establishment of a Provisional Version Through a Delphi Process
Jun-Dai Lin  1 , Li-Li Chen, Jui-Shan Lin, Chih-Hung Chang, Yi-Chia Huang, Yi-Chang Su

   蘇教授目前擔任國家中醫藥研究所合聘研究員、台灣中醫醫學教育學會理事長、中華醫藥促進基金會董事長、台灣中醫醫史文獻學會理事長。近期投身健康農業,以中醫崇尚自然之觀念推展健康農漁產業,藉由以自然方法強化植株體質,停止農藥與化學肥料之使用,讓人體減少有害物質之進入,達到以預防替代治療的健康目標。
現在、国立中医学研究所共同研究員、台湾中医薬教育学会理事長、中医薬振興基金会

 

理事長、中医協理事長。 中国医師会会長、台湾中医学史文学協会理事。 最近では、自然を標榜する漢方をコンセプトに、植物の体格を自然な方法で強化する健康農法を提唱し、健康農水産業の振興に力を注いでいます。 農薬や化学肥料の使用をやめて、人体に入る有害物質を減らし、治療ではなく予防をするという健康目標達成を目指しています。

 

 

中国,韓国のガイドラインに比し,台湾のガイドラインは予防の処方に関して具体的な薬方が記載されています。それによると,健康な人で地域感染がなければ,食事・運動など健康を維持する努力を続けるように書かれています。しかし,慢性疾患患者や免疫機能低下がある人,職場で不特定多数の人と接触しなければならない人は,疾病や個人の体質に合わせ体質調節の処方を作成する必要がある,とした上で,具体的な処方を挙げています。

 

桂枝加黄蓍湯から芍薬を去り,荊芥・桑葉が加わった処方で,ウイルス防禦のため体表を固める処方として例に出されています。桂枝加黄蓍湯(桂皮、生姜、芍薬、甘草、大棗+黄耆)の構成生薬のうちシナモン・スティック、しょうが、ナツメの4味は食材としても入手可能です。甘草は味噌や醤油その他甘味料にも使われています。

 

この中で『黄耆』という生薬は、強壮・疲労回復促進作用、利尿作用、インターフェロン誘起作用などを発揮してくれるので、高温多湿でマスク着用を強いられる今年の梅雨期には大きな助けになることでしょう。動いてもいないのに肌のしまりが悪くジメジメした汗が自然に出てくる状態(免疫抵抗力を著しく損ないます)を改善するので、大分過ごしやすくなります。当クリニック推奨のコロナ対策第一弾のベースとして『玉弊風散』(「黄耆」、白朮、防風)を毎日服用している方が、当クリニックでは大多数なので、概ね旬の季節に間に合ってよかったと思っています。

 

また、台湾のガイドラインでは、桂枝加黄蓍湯にない、「荊芥」・『桑葉』を加えていますが、これにも根拠があります。「荊芥」には鎮痛・解熱(体温降下)作用、抗炎症作用、また『桑葉』には鎮咳・去痰作用、鎮痛作用、抗炎症・抗アレルギー作用、インターフェロン誘起作用、血圧・血糖降下作用が証明されています。『桑葉』に関してはコロナ対策第二弾の<生薬マスク>の構成生薬の一つとして活用しています。

 

医療スタッフなどハイリスクの人向けの予防処方として,先ほどの処方に「薄荷」,「板藍根」,「魚醒草」を加えたものが推奨されています。台湾においては板藍根がよく用いられます。C型肝炎治療薬や風邪薬として幅広く用いられている生薬です。魚醒草はドクダミの全草で,わが国では「十薬」の名で知られています。これは清熱解毒の薬であり,台湾では多用されています。薄荷も発汗を促す作用があります。
台湾のガイドラインの特徴はエキス剤と生薬末の組み合わせも示されていることであります。

台湾は生薬末を組み合わせて処方を作製します。これは煎じ薬ほど服用に手間がかからず,急な治療対応が可能です。

そして,❶ ウイルス潜伏期,❷ 発病期(❷A:ウイルス増殖期,❷B:サイトカインストーム期),❸ 回復期に分けてそれぞれの処方およびエキス剤を示しています。西洋医学の医師でも理解できるように伝統医療の表現を少なめにして,予防の段階から記述してあるのも特徴です。

6月15日(月)


食道がんは高齢者に比較的多い疾患で、罹患年齢のピークは70歳代です。がん腫別では日本人男性で7番目位に多い疾患で、近年、罹患率は上昇傾向です。2017年の食道がんによる死亡は1万1,568人で、悪性新生物による死亡の3.1%を占め、人口10万対の年齢調整死亡率は男性7.4、女性1.2でした。

 

食道がんの発生部位は、日本食道学会の全国調査によると、胸部中部食道が約半数を占め、胸部下部食道がそれに次ぐ頻度です。組織型は、扁平上皮癌が約90%と圧倒的に多く、他に腺癌が4%程度とされます。わが国での日常診療では日本食道学会のガイドラインが用いられています。

 

がんを予防する方法を検証するために、がん予防の臨床試験が実施されています。
特定の種類のがんのリスクを低下させる方法を検証するために、がん予防の臨床試験が実施されています。

がん予防の臨床試験の中には、今はがんではないけれども、がんのリスクが高い健康な人を対象に実施されるものがあります。

その他の予防試験として、すでにがんになったことがあり、同じ種類のがん(異時性多発食道がん)の再発を予防しようとする人、あるいは新たな種類のがんが発生する可能性を減らそうとする人を対象に実施されるものがあります。

さらに、がんのリスク因子があるかどうか分からない健康な志願者を対象に実施される試験もあります。


一部のがん予防の臨床試験の目的は、何らかの行動によってがんを予防できるかどうかを検証することです。こうした行動には、果物や野菜が豊富な食事、運動、禁煙の他、特定の医薬品、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品の摂取などがあります。

 

厚生労働省研究班の調査(註1)から、野菜と果物を多く食べる人ほど、食道がん(日本人に多い扁平上皮がん)のリスクが低いことが分かってきました。 あまり野菜や果物を食べない人(1日170グラム以下)と比較すると、よく食べる人(1日540グラム以上)は、食道がんのリスクが約半分(52%)と大幅に低下します。また、野菜や果物を100グラム多く取るごとに、リスクが10%ずつ低下するという結果も出ています。


(註1)

厚生労働省研究班「多目的コホート研究」。日本各地の45歳~74歳の男性約39000人を対象とした追跡調査。2008年8月発表。野菜・果物の中でも、十字花科の野菜(キャベツ、大根、小松菜など)は、リスクを低減する効果が高いことも分かりました。これらの野菜に含まれるイソチオシアネートという成分に、制がん作用があるためと考えられています(註2)。ただし野菜だけ、あるいは果物だけを食べるよりも、野菜と果物の両方を多く食べるほうが、より効果的なので、バランスよく取るようにしましょう。


(註2)

イソチオシアネートは、大根の辛み成分としてもよく知られています。大根の繊維が壊れることで発生するので、細く切ったり、大根おろしにしたりすると増えます。ただし揮発性物質なので、時間がたつほど揮発および酸化によって成分は減少します。大根の千切りサラダや大根おろしは、食べる直前に調理しましょう。
 野菜・果物による効果は、飲酒や喫煙習慣のある人にもみられます。同調査によると、毎日2合以上のアルコールを飲み、タバコも吸う人は、リスクが7.67倍になります。しかし、野菜や果物を多く取ることで、リスクは2.86倍にまで低下します。ですから飲酒・喫煙習慣のある人でも、野菜・果物を多く取ることが大切だといえます。ただし、飲酒と喫煙習慣は、それ自体が食道がんのリスクを高める要因であることを忘れてはなりません。
参照:わかりやすい臨床栄養学(第6版)<三共出版>189頁

 

 

食道がんの危険因子は、食道扁平上皮癌に関しては飲酒と喫煙です。しかも、この両方に暴露されることで発癌リスクが上昇するとされています。したがって、飲酒歴もしくは喫煙歴を有する患者では、消化管スクリーニング時に食道の観察をより慎重に行うべきであるとする意見があります。

 


リスクを高める飲酒と喫煙


食道がんの最大のリスクは、過度の飲酒と喫煙です。
アルコールを飲むと、私たちの体内ではアセトアルデヒドという発がん性物質ができます。特にアルコールを飲んだときに顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドの影響を受けやすい体質なので、注意が必要です。


また、タバコを吸うと活性酸素が多く発生し、細胞のがん化を促進します。
では、飲酒や喫煙によって、食道がんのリスクがどれくらい高くなるのかについてはさまざまな調査があります。一例を挙げると「飲酒も喫煙もしない人のリスクを1」とした場合、「毎日1.5合以上のお酒を飲む人のリスクは約12倍」、「毎日20本以上タバコを吸う人のリスクは約5倍」になります。さらにその両方の習慣がある人のリスクは、実に33倍にも及びます(愛知県がんセンターのHP掲載データなど)。逆を考えれば、それだけに食道がんの予防には、まずアルコールの飲みすぎと喫煙の習慣をやめることが非常に大切だといえます。また、熱すぎる飲み物も、食道に炎症を起こす原因となり、食道がんのリスクの一因となります。日本茶にせよコーヒーや紅茶にせよ、熱々のままよりは、少し冷ましてから、慌てずに落ち着いて少しずつゆっくり飲むようにしましょう。

 

治療後の残存食道における異時性多発食道がんばかりでなく異時性重複がんにも細心の注意を払う必要があるとされます。食道がんのリスク因子である喫煙、飲酒は、同時に頭頚部がんのリスク因子です。したがって、術後フォローの上部消化管内視鏡検査においては、咽頭観察を十分に行い早期発見に努めることがとても重要です。

 

診断・治療成績の向上に伴い治療後の予後にも変化が見られます。内視鏡治療後の5年生存率は86.2%ですが、手術切除例全体では55.9%とされています。食道がんでは病期によって予後については著しく異なります。


cStage0…88.6%
cStageⅠ…76.8%
cStageⅡ…62.7%
cStageⅢ…41.2%
cStageⅣa…22.6%
cStageⅣb…20.0%

 

 

以下のリスク因子は、食道扁平上皮がんのリスクを増加させます
喫煙と飲酒: 数件の研究によると、多量の喫煙や飲酒を行っている人では食道扁平上皮がんのリスクが高くなります。

 

以下の防御因子は、食道扁平上皮がんのリスクを低下させる可能性があります
禁煙と禁酒:数件の研究によると、タバコを吸ったりアルコールを飲んだりしない人では食道扁平上皮がんのリスクが低くなります。


非ステロイド性抗炎症薬による化学予防 :とは、がんのリスクを低下させるために、薬物やビタミンなどの物質を使用することです。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には、アスピリンなどの腫れや痛みを抑える薬剤があります。数件の研究によると、NSAIDを用いることで、 食道扁平上皮がんのリスクが低下する可能性があります。しかし、NSAIDの使用は、心臓発作、心不全、脳卒中、胃や腸における出血、腎臓障害などのリスクを高めます。


以下のリスク因子は、食道腺がんのリスクを増加させます
胃逆流:道腺がんは、胃食道逆流症(GERD)に強く関係していて、特にGERDが長期にわたって持続し、重い症状が毎日発生する場合に顕著です。GERDは、胃酸などの胃の内容物が食道下部に逆流してしまう病態です。

この刺激により食道内部が荒れ、徐々に食道下部の内側を覆う細胞に変化が生じる場合があります。細胞にこうした変化が起きた状態は、バレット食道と呼ばれます。後に、変化した細胞がさらに異常な細胞に置き換わり、食道腺がんに進行することがあります。GERDと肥満が重なると、食道腺がんのリスクがさらに高まる可能性があります。下部食道括約筋を弛緩させる薬剤の使用により、GERDが発生する可能性が高くなることがあります。下部食道括約筋が弛緩すると、胃酸が食道下部に逆流できるようになります。

手術などの治療法で胃内容物の逆流を防止することで、食道腺がんのリスクが低下するかどうかは不明です。手術や薬物治療によりバレット食道にならないようにできるか検証するために、臨床試験が実施されています。

 

食道のラジオ波焼灼術:道下部に異常な細胞が認められるバレット食道の患者さんは、ラジオ波焼灼術による治療を受けることがあります。

この手術では、ラジオ波を用いて、がんになる可能性がある異常な細胞を加熱し破壊します。ラジオ波焼灼術を使用するリスクには、食道の狭窄や、食道、胃、腸からの出血などがあります。1件の研究で、食道に異常な細胞が見られるバレット食道の患者さんを対象として、ラジオ波焼灼術を受けた患者さんとそうでない患者さんが比較されました。

ラジオ波焼灼術を受けた患者さんは、食道がんの診断を受けることがより少ないという結果が得られました。こうした病態の患者さんに対するラジオ波焼灼術が食道腺がんのリスクを低下させるかどうかを明らかにするには、さらなる研究が必要です。

 

<明日へ続く>