1月28日 急性白血病をめぐって(No2)

―急性リンパ性白血病-

 

池江選手の診断は急性リンパ性白血病と発表されました。
急性リンパ性白血病(ALL)は 造血系細胞の腫瘍です。

それは白血球のひとつであるリンパ球ががん化して異常な状態になり、骨髄などで増えていく病気です。

 

ALLの罹患率は10万人に1人程度ですが、最近では健康診断時の検査異常で発見される例も増加しており、そのような場合は無症状です。

しかし、ALLでは骨髄での正常血液細胞の産生が不良になっています。

その結果、全身倦怠感、息切れ、めまい、動悸などの貧血症状をはじめ、感染、出血症状がみられます。病状が進行すると、脾臓、肝臓およびリンパ節への白血病細胞浸潤による腫大がみられます。

さらに頭痛、嘔吐などの症状があれば、中枢神経系白血病を疑います。

 

池江選手のオフィシャルホームページでは「入院中、抗がん剤治療で吐き気が強い時や倦怠感もありました」という記述がみられます。

 

ALLの治療は、まず、複数の抗がん剤を組み合わせた併用化学療法を行い、血液検査や骨髄検査でがん細胞が検出されなくなる寛解状態を目指します。

寛解状態となった後、完全な治癒を目指して、別の抗がん剤の組み合わせによる強化療法を行います。通常、この間は、半年~1年程度の入院治療となります。

 

その後、再発を予防するために、維持療法として外来での少量の抗がん剤による化学療法が行われます。

一方、化学療法だけでは治癒が難しい場合には、寛解状態での同種造血幹細胞移植が考慮されます。

この造血幹細胞移植は、大量の化学療法や全身への放射線治療などの移植前処置のあとに、兄弟や親子などの血縁者、もしくは骨髄バンクや臍帯血バンクで白血球の型(HLA)が合う非血縁者のドナーから提供された造血幹細胞を投与します。

 

池江選手も、例にもれず、化学療法を受けたことが報告されています。

ただし、治療期間中に合併症を併発したため化学療法の継続が困難となり、造血幹細胞移植を受けることになりました。

 

その後、寛解状態を維持し体調も安定したため退院することができたとの発表でした。

 

<明日につづく>