1月27日 急性白血病をめぐって(No1)

―池江璃花子選手の白血病報道―

 

昨年の2月12日。競泳の池江璃花子選手(ルネサンス)が白血病と診断されたと公表。東京五輪で大活躍が期待されていた女子のエースが突如離脱することになったニュースは記憶に生々しいです。

 

水泳は健康に役立つと信じて疑わない一般の方々の中には、一流の若手のスポーツ選手でも白血病に罹るという事実に釈然としない思いが生じたとしても無理はありません。

しかし、私は、常日頃、超一流のスポーツ選手は、行動体力には優れていたとしても、ハードなトレーニングにより、かえって防衛体力は劣っている可能性があると考えています。

 

防衛体力というのは医学的に言えば免疫力のことです。

選手は常に大きな不健康リスク(病気やケガ)を抱えている集団であると考えるので、残念な思いではありましたが、意外ではありませんでした。

 

そこで白血病(血液のがん)と免疫の関係について説明してみます。

私たちの生活圏には、細菌やウイルスなどの病原体が無数にあります。これらはしばしば体の中に侵入してきます。

また、体の中ではさまざまな部位でがんのもとになる異常細胞が発生することもあります。

ただし、私たちの体内では免疫の働きがあり防禦してくれます。

免疫の働きにより、体の中を常に監視し、このような病原体やがん細胞など、本来、体の中にあるべきでないものを見つけると、攻撃して排除します。

 

顆粒球、リンパ球、単球 などの白血球が、免疫機能の中心的な役割を果たします。

リンパ球には、T細胞、B細胞などの種類があります。このうちT細胞は、 樹状細胞など他の血球の協力によりがん細胞を見つけて攻撃をしかけます。

しかし、がん細胞の中には、免疫のしくみから逃れる術を持っているものもあり、通常の免疫機能だけではがん細胞を完全に死滅させることができない場合があります。白血病を含め、がんの発症はこうした場合に起こると考えられています。

 

幸い、昨年末の12月17日、株式会社ルネサンス、株式会社ジエブから

池江璃花子 退院のご報告 と題するメッセージが発表されました。


私は、その間、白血病という、あまりにも漠然とした情報をもどかしく感じていました。

 

白血病にもいろいろありまして、成熟度により急性と慢性に分けられ、分化の方向により骨髄性とリンパ性に大別されます。すなわち、芽球が骨髄系であれば骨髄性白血病、リンパ系であればリンパ性白血病となります。

 

ですから、池江選手の場合も、急性白血病なのか、慢性白血病なのか、次には、リンパ性白血病なのか、骨髄性白血病なのか、少なくともそのあたりの情報が気がかりでした。それが、ようやく明らかになったのでした。

 

以下、抜粋します。

<2月の緊急入院後の検査結果により池江は急性リンパ性白血病と診断されました。化学療法による治療を行いましたが、治療期間中に合併症を併発したため化学療法の継続が困難となり造血幹細胞移植を行いました。その後、寛解状態を維持し体調も安定したため退院することができました。>

 

この限られた情報には、重要なキーワードが盛られています。整理してみます。

 

診断:急性リンパ性白血病

 

治療:化学療法、造血幹細胞移植

 

経過:化学療法による合併症併発、造血幹細胞移植後に寛解維持

 

 

<明日につづく>