最新の臨床医学 2月16日(土)漢方治療についてのQ&A

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へ

のHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

現在は、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介しております。

 

Q

中国の漢方薬と日本の漢方薬は同じですか?

 

A

違います。原点は中国の古医書に基づきますが、江戸時代にオランダから西洋医学が伝来し「蘭方(らんぽう)」と呼ばれたため、日本の医学は漢に由来する医学ということで「漢方」と呼ぶようになり、この時期から日本独自に発達したものです。

 

中国の漢方薬は「中薬(ちゅうやく)」と言い中医学という考えに基づいています。

 

「中薬(ちゅうやく)」の中には日本と同じ名前の処方もありますが内容や配合比率、量などは同じとは限りません。

 

また、日本で製造販売される漢方薬は厳しい安全基準が定められていますが、外国製の場合、日本で認められていない農薬や添加物などが使われていることがあります。

 

 

<杉並国際クリニックからのメッセージ> 

質問者は「中国の漢方薬」、「日本の漢方薬」という表現を用いています。質問者は医学、とりわけ漢方医学の専門家ではないと想定されますので、回答者は、まず用語の意味について解説するところから説明をはじめることが大切ではないかと思います。

 

そのそも漢方薬とは、日本の医薬品です。そして意外に思われるかもしれませんが漢方医学は、日本で発達した日本医学です。ですから、ことさらに「中国の漢方薬」というのは不適切な表現であり、ふつうは「中医薬」ということになります。専門家が、あえて「中国の漢方薬」と表現する場合には、特別な背景や事情があると考えてよいでしょう。

 

漢方医学は「気血水」「虚実」などの理論や、「葛根湯」などの方剤(複数の生薬の組み合わせ)を中国医学と共有し、テキストとして中国の古典医学書が用いられてきました。しかし両者には多くの違いがあり、漢方医学の特徴としては具体的・実用主義的な点が挙げられます。

 

現在の漢方の主流の一つである古方派では、中国医学の根本理論である陰陽五行論を観念的であると批判し排除しました。そのため、古方派漢方には病因病理の理論がなく、主に「証」の概念に応じて『傷寒論』など古典の記載に則って処方をします。証を立てるための診断法としては、腹診を重んじることが特徴です。脈診を重視する中医学とは対照的です。

 

また、日本で使われる生薬の種類は中国より少なく、一日分の薬用量は中国に比べて約3分の1です。

 

漢方医学の処方は、『傷寒雑病論』(『傷寒論』及び『金匱要略』と呼ばれる2つのテキストとして残る)を基本とした古い時代のものに、日本独自の経験に基づいて改変を加えたものです。「温病」(うんびょう)など、明から清にかけて中国で確立した理論は、温病論に関心のある専門家を除いて、ほとんど漢方医学には受け継がれていません。

 

杉並国際クリニックが使用する漢方製剤は、保険適応となっている漢方エキス製剤のみであり、一日分の薬用量も中国に比べて概ね3分の1以下です。ただし、古方派漢方医学のように腹診を尊重し、経験の蓄積に基づく実証的な立場を維持しつつ、中国医学の根本理論である陰陽五行論を軽視せず、むしろ尊重し、さらには西洋医学との組み合わせにより統合的な診断・治療を実践しています。