総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)
<線維筋痛症の著効例:リウマチ専門医の立場から>
線維筋痛症(FM : fibromyalgia)とは、体軸を含み身体の広範囲で生じる腱付着部の慢性的な痛みを伴う機能的なリウマチ性疾患です。慢性痛は3か月以上継続する痛み、機能的な疾患であって一般的な血液検査や画像診断では炎症所見その他の特異的な所見は得られません。また、ほとんどの例で強疲労感を伴います。
FMはS.Hさんのように中年以降の女性に好発します。
<全身の痛みで日常生活に、支障がでました>とありますが、日常生活動作や生活の質が極めて低いことが患者さんを大いに苦しめることが問題になります。
そのような痛みが5年も続いたらとても大変です。
しかも、FMの全身痛は関節痛や頭痛などを伴いやすく、また疲労感ばかりでなく、しびれやこわばり、乾燥症状(ドライアイ、ドライマウス)、睡眠障害など多彩な症状を呈します。
一般的にリウマチ性疾患の診察において痛みの評価のためには、まず圧痛と運動痛を触診します。
FMでは診断基準にしたがい、特有の圧痛点をチェックします。筋肉痛を主訴とするいくつかの疾患の鑑別が重要で、手掌全体で押さえたり、軽く押さえたりして丁寧に圧痛の有無を確認します。
このとき筋肉全体に痛みがあれば、むしろリウマチ性多発筋痛症や多発筋炎を疑います。
つぎに筋力の評価をします。リウマチ性疾患では、①筋原性疾患による一時的筋力低下と、②神経、関節病変などによる二次的筋力低下があります。
筋肉痛を伴うが筋力低下がなければFMやリウマチ性多発筋痛症を疑います。
筋肉痛に筋力低下が伴えば多発筋炎/皮膚筋炎などの筋原疾患を疑います。
診断のためには圧痛点と除外診断が欠かせません。
とくに脊椎関節炎、シェーグレン症候群に伴う腱付着部炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎は二次性のFMとなることが多いです。
他にも、甲状腺機能低下症、脳脊髄液減少症、慢性疲労症候群、大うつ病や双極性障害なども鑑別が必要です。
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