日々の臨床④:12月20日水曜日<総合アレルギー診療から統合医療へ、No2>

総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

<総合アレルギー診療から統合医療へ、No2>

 

MI

 

M.Iさんと多数の専門医の先生方が、長期に亘って格闘してこなければならなかった理由は?

 

 

私は、第一の問題は診断そのものにあると考えました。

 

 

「リンパ腫様丘疹症」と診断される。(とりあえず診断名をつけるとすれば、という感じ)とありますが、大学病院の指導医を含め皮膚科の教授が誠意をもって診断した病名は、私の見立てにおいても決して誤ってはいないと判断しました。

 

医療というのは診断名がつかない限り、特に保険医療ができません。

 

ですから、典型例でない場合であっても(とりあえずの診断名(暫定診断)をしなければ、手当をはじめることができない仕組みになっているのが現状です。

 

このあたりにも、日本の患者さんの不幸、医師の第1の悩みがあるのです。

 

 

つまり、とりあえずであろうとなかろうと、「リンパ腫様丘疹症」と診断した限り「リンパ腫様丘疹症」の治療法として保険で認められた治療法しか選択できないことが第2の悩みです。

 

 

これに加えて、第3の悩みがあります。それは、日本に限らず、現代の先進国の医学・医療の細分化です。

 

M.Iさんを担当した専門医は、単に皮膚科専門医ばかりでなく、それ以上に、リンパ腫様丘疹症に詳しいスーパー専門医かつ指導医です。

 

ですから、「内科系も診てもらう」必要があったのだし、それは誤りでも無駄でもなかったと思います。

 

なるほど皮膚に現れた病気(湿疹など)は、紛れもなく皮膚病であり、皮膚科専門医が診療を担当するのは当然ですが、そこに一種の思い込みによる見落としが働きやすいからです。

 

それは、ときには大きな、そして決定的な見落としの温床となります。

 

病気の結果が皮膚に現れていれば、素人である患者さんのみならず専門家である皮膚科のエキスパートドクターも皮膚病と考えます。

 

しかし、病気の原因までも皮膚にあると思いこんだり決め込んだりしてしまうのは甚だ危険です。

 

 

それでは、M.Iさんは、どのようなアプローチが役に立つのでしょうか?