循環器・腎臓・血液内科 Vol.2

今月のテーマ「循環器疾患」

 

 

<失神②…再発性失神>

 

失神の原因別の頻度は国内に2つの報告があります。

 

1つは失神精査のため循環器病棟入院患者を対象とした研究で,

 

原因別の頻度は心原性が64%,非心原性が18%,不明が17%でした。

 

 

もう1つは東京都内の大学病院に救急搬送された失神患者を対象とした研究で,

 

原因別頻度は心原性10%,血管迷走神経性31%,原因不明32%でした。

 

 

原因疾患の多くは生命に直接影響しませんが、むしろ失神時に軽微な外傷ばかりでなく

 

骨折,硬膜下血腫,自動車事故等の合併症を起こし得ることが問題になります。

 

 

しばしば再発し,ときに精神的問題を生じることもあります。

 

 

失神を繰り返す再発性失神は心臓の病気が原因となる

 

致死的な可能性のある心原性失神の鑑別が大切です。

 

 

失神の原因となる病態生理の理解が進み,

 

不整脈に対する非薬物治療の進歩とともに適切な診療が可能になってきました。

 

 

そのためにはまず十分な病歴聴取にはじまります。

 

 

診断手技として,心電図(12誘導)、運動負荷心電図、

 

心エコー検査の他、ホルター心電図を行います。

 

 

特に不整脈にはその他の電気生理検査,

 

反射性(神経調節性)失神にはヘッドアップチルト試験、頚動脈洞マッサージ、が広く行われます。

 

さらには植込み型のループレコーダー(ILR)が2009年よりわが国でも植え込み可能となり、

 

再発性失神患者の原因を究明するうえで極めて有用です。

 

小切開で植え込み可能であり、約三年間の電池寿命があります。