4月25日(土)新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に効く漢方No8

<土曜日特集:統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>

 

「清肺排毒湯」の21の構成生薬のうち、保険調剤(エキス製剤)が可能な生薬は以下の17種です。

 

麻黄 、炙甘草 、杏仁 、生石膏 (先煎)、 桂枝、澤瀉 、猪苓 、白術 、茯苓 、柴胡 、黄芩 、姜半夏 、生姜 、細辛 、 山薬 、枳実 、陳皮

 

これらの構成生薬の配合を分析してみると、解表剤、和解剤、補気剤、理気剤、利水剤などの効能を併せ持つ処方であると考えられます。

 

これらのうち、今回は、身体に滞った余分な水分を他に移し(利水作用)こうして病毒(ウイルス)の侵攻から身を守ってくれるのが利水剤について解説します。

 

 

杉並国際クリニックの分析

「清肺排毒湯」の構成生薬には、以下のような利水剤としての組み合わせを抽出することができます。

 

麻黄 、炙甘草 、杏仁 、生石膏 (先煎)、 桂枝、澤瀉 、猪苓 、白術 、茯苓 、柴胡 、黄芩 、姜半夏 、生姜 、細辛 、 山薬 、枳実 、陳皮

 

利水剤 痰飲(痰とは粘稠性の体液や分泌物、飲とは漿液性といってサラサラして水っぽい体液や分泌物)や水腫(むくみ)を治療する方剤です。

 

五苓散(沢瀉、白朮、猪苓、茯苓、桂枝)としては、そのまま処方できます。

17五苓散 コタロー細粒もしくはクラシエ細粒

17五苓散の処方で注意しておかなければならないのは、製薬メーカーによって構成生薬の種類が若干異なることです。業界最大手のツムラ17五苓散は、<蒼朮>を<白朮>の代わりに用いています。「清肺排毒湯」では<蒼朮>でなく<白朮>を用いています。


朮(おけら)には、蒼朮(あおおけら)と白朮(しろおけら)がありますが、作用が異なります。蒼朮は、脾・胃(消化器系)に作用しますが、白朮は脾・肺(呼吸器系)に作用し、インターフェロン誘起作用を持つとされます。そこで呼吸器症状が主となるウイルス感染症には白朮を用いた製剤が望ましいと考えます。

 

適応:

浮腫、ネフローゼ、二日酔い、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病
口渇、尿量減少する

 

小半夏加茯苓湯(半夏、茯苓、生姜)としては、そのままの処方できます。

21小半夏加茯苓湯

適応:

妊娠悪阻(つわり)その他の原因による嘔吐

急性胃腸炎、湿性胸膜炎、水腫性脚気、蓄膿症

 

茯苓飲減(茯苓-、白朮、陳皮、枳実、生姜)として

69茯苓飲(茯苓-、白朮、陳皮、枳実、生姜+人参)
適応:胃炎、胃アトニー、溜飲吐き気や胸やけがあり、尿量が減少するタイプには、人参が加わった69茯苓飲がお勧めです。

 

苓甘姜味辛夏仁湯減(杏仁、半夏、茯苓、細辛)として

119苓甘姜味辛夏仁湯(杏仁、半夏、茯苓、細辛
            +甘草、五味子、乾姜)
        

適応:気管支炎、気管支喘息、心臓衰弱、腎臓病

貧血、冷え症で喘鳴を伴う喀痰の多い咳嗽には著効します。

また、厳密には適応外ですが、アレルギー性鼻炎にも良く効きます。