杉並令和音楽祭ご出演のアーティストの皆様へ、そして音楽を愛するすべての皆様へ!

皆様、本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

この日のために、実に多くの皆様方がご参加くださったことを心より感謝いたします。

改元記念 杉並令和音楽祭は、<杉並プロ・アマ交流音楽会実行委員会>が主催する音楽フェスティバルです。

 

<杉並プロ・アマ交流音楽会実行委員会>とは、プロ・アマを問わず音楽を愛する数名による杉並区民により発足しました。

 

それは、今年産声をあげたばかりのコミュニティです。

 

御存じない方が多いようですので、あえてコメントを加えますが、 杉並国際クリニックの飯嶋正広は、このコミュニティの構成員ではありません。


しかし、杉並区を活動の拠点としつつ、東京から日本全国そして世界に向けて展開していこう、 というエネルギーに満ち溢れている点は共有しています。

 

しかも、このコミュニティの特徴は、構成メンバーのすべてが『聖楽院』や『日本水氣道協会』のいずれか、 あるいは両方の会員です。 ですから、『聖楽院』や『日本水氣道協会』の会員の皆様方は、ともにこの音楽祭に惜しみなく協力してくれています。


そして、これらの会員の皆様のすべてが、杉並国際クリニックにゆかりのある方々であることから、 財政力においては極めて弱小であるにも関わらず、この音楽祭の協賛を引き受けました。

 

さて、新しい令和の時代は、実に多くの困難な課題を抱えています。

それでは、前途多難であるこの現実から逃避せず聡明に芸術的に、しかも逞しく生きていくにはどうしたらよいのでしょうか?

杉並国際クリニックの院長である私、飯嶋正広は、一つの確固たる解答をもっています。

それは、本日の音楽祭を出発点として、令和の新時代に相応しい<草の根の芸術活動>を合理的かつ近代的に展開していくことです。

まず、謙虚に、平成の30年間にクラシック音楽界の日本文化における地位や評価が衰退の一途を辿ってきたという現実を受け入れることです。


プロやアマの垣根を越えて音楽芸術を愛する人々が真剣に取り組んでいかなければならないのは、 古き良き時代の郷愁から脱却して、芸術音楽の輝かしい未来に向けての新しい在り方のモデルを創造することです。

王侯貴族や高位聖職者などのパトロン無き令和の時代は、誰をパトロンにしたら良いのでしょうか?

富裕層でしょうか、大企業でしょうか、国や自治体、つまり税金でしょうか?

もし、皆様が、未だそのような発想の延長上にあるとすれば、
藝術家としては十中八九、自滅の道をたどることになるでしょう。

たしかに、音楽芸術を愛する人々とお金儲けに熱心な人々との集団が重なり合っていた高度経済成長までの過去の時代では、 アーティストは今より仕事がしやすかったかもしれません。

 

しかし、両者の重なり合いがますます減少している俗物文化の時代にあっては、 アーティストは、ますますチャレンジングにならざるを得ません。

そこで、私から皆様に他にいくつかの問いを発したいと思います。

皆様は、<草の根の芸術活動>をどのように評価していますか?

草の根の藝術愛好家に対する相応のリスペクトを払っていらっしゃいますか?
つまり、ご自分たちの存在や価値の最大の理解者に対して、 相応の敬意を持っておいででしょうか?

草の根の藝術愛好家は必ずしも裕福ではありません。

 

どちらかといえば、愚直で不器用な心優しき人々が多いように思われます。

 

草の根の藝術愛好家は相対的に高学歴者が多いようですが、お金儲けは概して不得手のようです。

それは、現代社会全体がそうした柔和な羊さんたちを食い物にする飢えた貪欲な狼の群れになりつつあるからです。

しかし、そうした草の根の藝術愛好家たちが一致団結して活動を展開していくことになったらいかがでしょうか。

それは、とてつもなく大きな力になり、地域社会に望ましい影響力を与えるのみか、
馥郁たる文化の源泉ともなり、藝術を深く理解し、惜しみなく献身的に応援してくれる資源やパワーにもなることでしょう。

今回の音楽祭の趣旨をすでに洞察し、単発的な利害関係でのお付き合いでなく、
長いスパンでの支え合いの精神こそが、音楽芸術の発展や、ご自分たちの音楽活動にとっての 資源となることに気づいてくださった音楽家の皆様方がたくさんおいでになることを心から喜び、感謝したいと思います。

 

最後に、皆様にお願いがございます。
草の根音楽愛好家の皆さんたちや水氣道の仲間たちは、互いに協力し、補い合いながら、 時間も、労力も、努力も、工夫も、投資やドネーションも 可能な限りの手を尽くし、昼夜を問わず、献身的に働いてくれました。


それでも私たちの力不足で、皆様に対するリスペクトに見合うだけのギャラをお支払いできないことを残念に思っております。


皆様方のギャラは金額的には不十分かもしれませんが、この活動が単発的なものではなく、 継続発展を目指すものである以上、大き過ぎる負債を負うことはできません。

 

そこで皆様方には、こうした草の根の藝術愛好家が支える杉並令和音楽祭を消費の対象とするのではなく、むしろ将来に向けての投資の対象と考えていただけないでしょうか。

もし、皆様がそのように受け止めてくださるのでしたら、 後々にはたくさんの有形無形の利子とともに大きな収穫が得られることでしょう。 ですから、これからもずっと音楽活動を継続して素晴らしい文化的環境を構築していってください。そして、どうか私の仲間たちの志をご理解くださいますようお願い申し上げます。

甚だ僭越ではございますが、本日の音楽祭を有意義なイベントとするために、


問題提起をさせていただいた次第です。


本日の音楽祭が実り多いものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 


杉並国際クリニック 飯嶋正広