総合内科
<意識障害の対応②>
日本では、意識障害の程度は、簡便なJapan Coma Scale(JCS)が広く用いられてきましたが、これとて毎日のように使用していないとすぐには使えません。
それにもかかわらず、ずっと複雑なグラスゴー昏睡尺度GCS(Glasgow Coma Scale)が世界標準の意識障害の尺度として重要になってきています。
特に、脳神経外科や救急医療でよく用いられます。災害の多い日本では、内科医もGCSの評価法に習熟しておく必要がありそうです。
GCSの評価法は、E(開眼機能:1~4点)、V(言語機能:1~5点)、
M(運動機能:1~6点)の3つの合計点(3~15点)で評価します。
記述は、「E 点、V 点、M 点、合計 点」と表現されます。
つまり、正常であれば15点満点ですが、深昏睡は3点。
点数は小さいほど重症です。
開眼機能(Eye opening)「E」
〇4点:自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼
〇3点:強く呼びかけると開眼
〇2点:痛み刺激で開眼
〇1点:痛み刺激でも開眼しない
言語機能(Verbal response)
〇5点:見当識が保たれている
〇4点:会話は成立するが見当識が混乱
〇3点:発語はみられるが会話は成立しない
〇2点:意味のない発声
〇1点:発語みられず
なお、挿管などで発声が出来ない場合は「T」と表記する。 扱いは1点と同等である。
運動機能(Motor response)「M」
〇6点:命令に従って四肢を動かす
〇5点:痛み刺激に対して手で払いのける
〇4点:指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める
〇3点:痛み刺激に対して緩徐な屈曲運動(除皮質姿勢)
〇2点:痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢)
〇1点:運動みられず
以上をまとめてみます。グラスゴー昏睡尺度によって定義できる意識水準健常とは
<自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼>し、<見当識が保たれている>人であり、
かつ<命令に従って四肢を動かす>ことができる水準、です。
これに対して、グラスゴー昏睡尺度によって定義できる昏睡とは
<痛み刺激でも開眼しない>人であり、<発語みられず(挿管などで発声が出来ない)場合を含む>かつ<運動みられず>という水準、ということになります。
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