日々の臨床 4月11日 火曜日 

血液・造血器の病気

 

テーマ:血球貪食症候群

 

発熱・倦怠感で発症する病気は、とても多く、ほぼ毎日、こうした症状の患者さんを診ています。

 

熱が出てだるくなってから、次第に、ささいなことで出血しやすくなり、貧血となり、

 

感染症にかかり易くなると、風邪あるいはインフルエンザなどの感染症と区別しなくてはならなくなります。

 

しばしば、肝不全やDICを伴い生命にかかわる重篤な状況に陥ります。

 

このDICとは播種性血管内凝固症候群の略称で、

 

これは、さまざまな重症の基礎疾患のために過剰な血液凝固反応活性化が生ずるため

 

生体内の抗血栓性の制御能が十分でなくなり、

 

全身の細小血管内で微小血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる予後不良の病気です。

 

 

風邪症状が長引き、全身症状が出現する場合の診断のポイントは、

 

小児であれば、ウイルス感染や急性リンパ性白血病などの可能性の見極めですが、

 

成人の場合は悪性リンパ腫や自己免疫疾患の可能性の見極めをしなければなりません。

 

 

貧血の有無は、患者さんの瞼(まぶた)をひっくりかえしてみれば、おおよその見当がつきます。

 

治療が必要な程度の貧血では、瞼の結膜に赤みが失せていて青白くなります。

 

貧血ありの場合は血液検査をします。

 

赤血球、白血球、血小板という3系統のうち、2系統以上の血球が減少していたら、汎血球減少の進行を疑います。

 

その他、血清フェリチンが高値、血液関連の酵素であるLDHの高値を確認します。

 

骨髄検査は、紹介状を書いて入院を前提として実施していただきます。

 

 

悪性リンパ腫やウイルス感染などが引き金となり、

 

マクロファージ・組織級が活性化されると、自己の血球の貪食をはじめます。

 

マクロファージ(Macrophage, MΦ)とは白血球の1種です。

 

生体内をアメーバ様運動する遊走性の食細胞で、死んだ細胞やその破片、

 

体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を捕食して消化し、清掃屋の役割を果たします。

 

このマクロファージなどから種々のサイトカインが分泌されることによって、

 

血球減少、高熱、肝臓・脾臓の肥大、血液の凝固の異常がもたらされます。

 

これが血球貪食症候群です。

 

 

診断さえ確定すれば、治療選択は比較的容易です。