循環器・腎臓・血液内科 Vol.3

今月のテーマ「循環器疾患」

 

 

<慢性心不全>

 

 

慢性心不全への検査方法は、主に4つの方法があります。

 

 

高円寺南診療所で実施できるのは、最初の3つです。

 

〇胸部X線検査・・・心臓の大きさや肺のうっ血を確認できます。

 

〇心エコー検査・・・心臓の動きを確認できます。

 

〇血液検査・・・血液検査では、BNPANPと呼ばれる

 

心臓が分泌するホルモン量を測定することで

 

心不全の重症度判定や治療効果の確認を行います。

 

〇カテーテル検査・・・心臓内部の血圧や肺の血圧、また心拍出量を確認できます。

 

 

最近、心不全では、①収縮機能が保たれた左心不全や 

 

②睡眠呼吸障害の合併の割合が多いことがわかってきました。

 

特に、心エコ―検査で左心室機能を評価して

 

収縮機能が保持されている心不全症例は全体の半数近くに上ります。

 

また慢性心不全患者ではほぼ半数以上に睡眠時無呼吸症候群の合併が認められます。

 

また陽圧呼吸治療(CPAP、ASVなど)などの非薬物療法により左心機能の改善がみられています。

 

 

慢性心不全の診断やリスク評価では、

 

画像検査のみでは不十分であるため、血液のバイオマーカーを用います。

 

BNP、NT-proBNPの他、トロポニンT、Iも心不全の重要なマーカーです。

 

ただし、BNP、NT-proBNPのスコアは肥満で低下し、高齢、女性、腎機能低下で上昇します

 

(NT-proBNPは特に腎排泄性が高いためBNPより腎機能の影響を受けやすいようです)。

 

高円寺南診療所では、肥満者では心不全診断の感度が落ちることに注意しています。

 

 

慢性心不全の治療に関して、

 

利尿薬を用いる場合はループ利尿薬をはじめさまざまな利尿薬が用いられています。

 

体液貯留があり他の利尿薬で効果不十分な場合には

 

バゾプレシンV₂受容体拮抗薬トルバプタンが用いられます。

 

この利尿薬は、ループ利尿薬と比較して腎機能を悪化させにくい利点があります。

 

反面、水の再吸収抑制により水分のみを排泄させるため

 

高ナトリウム血症(意識障害、橋中心髄鞘崩壊症)に注意が必要です。

 

 

両室ペーシングによる心臓再同期療法は、左脚ブロックで有効性が高いです。