脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)とは、脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ運動ニューロン病の範疇に入る病気です。
常染色体劣性遺伝(SMN遺伝子変異)の神経変性疾患です。下位運動ニューロンの変性、近位筋優位の骨格筋委縮と全身の筋力低下を特徴とします。
体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に示します。
小児期に発症するI 型:重症型(別名:ウェルドニッヒ・ホフマンWerdnig-Hoffmann病)、
II 型:中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)
III 型:軽症型(別名:クーゲルベルグ・ウェランダーKugelberg-Welander病)
成人期に発症するIV型に分類されます(表1)。
発症年齢が遅いほど進行のスピードは緩やかです。
下位運動ニューロンのみの障害であり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)が上位ニューロンも障害されるのと比較されます。
主に小児期に発症するSMAは第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患ですが、成人発症のSMA IV型は遺伝子的に複数の成因の混在が考えられます。
表1
2017年に治療薬としてヌシネルセンNa(スピランザ®)が承認されました。
この薬剤は、原因遺伝子SMN1の重複遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えることで、機能するSMN蛋白質を増加させる国産初の核酸医薬品です。
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