第2週:感染症・アレルギー・膠原病
エアロゾルは空気中に含まれる全ての粒子を指す用語
WHOはSARS-CoV-2が換気不十分な環境下での空気感染である可能性に言及しましたが、それでも日本の専門家らはSARS-CoV-2が空気感染すると認めることをかたくなに拒んでいます。西村氏は「前述のような実例を説明するために、三密の概念を提唱した」と指摘しました。
さらに、あくまで空気感染することを否定しようとする厚労省のアドバイザリー・ボードは、言葉を"マイクロ飛沫感染"に替えてCOVID-19の流行がマイクロ飛沫感染だということに終始しました。
それによると、マイクロ飛沫感染とは「微細な飛沫である5μm未満の粒子径が、換気の悪い密室等において空気中を漂い、少し離れた距離や長い時間において感染が起こる経路」であるということになるようです。またマイクロ飛沫感染は、長い距離でも感染が起こりうる結核菌や麻疹ウイルスで認められる空気感染とは異なるとわざわざ不自然な付記をしています。
これに対し、西村氏は用語の誤りを指摘しました。空気中に存在する全ての粒子を指す用語がエアロゾルで、飛沫、飛沫核のいずれもエアロゾルです(図)。
あえて言えばマイクロ飛沫もエアロゾルであり、この新たな造語が科学用語の中に入り込む余地はないと同氏は指摘しました。エアロゾルを吸い込んで感染することをエアロゾル感染、空気の流れに乗って浮遊するエアロゾルを吸い込んで感染することこそが空気感染だからです。
つまりエアロゾルに粒子径の定義はなく、大きさが問題になるということなのです。5μm未満または以上であっても空気の流れに乗って漂っていれば、その空気を吸って感染するリスクが生じます。
図. エアロゾルの定義
同氏は「アドバイザリー・ボードでは空気感染の定義を明確に示しておらず、ここでいうより"小さな飛沫"についてもなんら説明していない」と批判しています。
さらに、マイクロ飛沫という概念について、"より小さな飛沫"が"5μm未満の飛沫"になっただけのものでしかなく、結局マイクロ飛沫感染はエアロゾル感染あるいは空気感染だといっているようなものだとし、マイクロ飛沫感染という用語を全面的に否定しました。
WHOが頑な組織である以上に、日本の専門家が頑なであるということは残念なことです。一般に、自信がなく、新進気鋭の信念に乏しい人物なり組織ほど頑なに意地を張ろうとするものはありません。
ARCHIVE
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年9月
- 2023年7月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年9月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月