週間<外国語>旅行 月曜日:中国語

杉並国際クリニックは、日常診療は継続しているものの、将来に向けて重要な活動である聖楽院は完全に休止状態にある他、水氣道は辛うじて火曜日の夜間の稽古(鷺宮室内温水プール)のみを繋いでいる状況のまま年度末を迎えようとしています。

 

一年の計は元旦にあり、といいますが、一年の計を正月気分で立てているようでは失敗します。それと同様に、新年度の計は遅くとも3月には仕上がっていなければならないことでしょう。NHKの語学番組も4月からではなく、3月末に始まっていました。

 

さて当クリニックでは、英語による外国人診療を行っているほか、ホームページ上では、英語の他に、ドイツ語、フランス語、イタリア語で紹介を行っております。

 

しかし、実際には、中国語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語を母国語とする外国人旅行客の訪日が増えています。目下進行中の新型コロナウイルス(COVID-19)はパンデミックとなり、人類共通の危機として、国境を越えて世界中で猛威を振るっています。

 

私たちは身の回りの無事だけを祈っていれば済まされる状況ではないことを深く認識しつつ、諸外国語をよりどころに毎週、世界一周の旅をすることにしました。

 

以下が、一週間の旅程です。

 

月曜日:中国語

火曜日:ロシア語

水曜日:ドイツ語

木曜日:フランス語

金曜日:イタリア語

土曜日:スペイン語

日曜日:ブラジル(ポルトガル)語

 

 

3月23日(月)

中国語旅行

 

私は日本東洋医学会が認定する漢方専門医の有資格者なので、「傷寒論」などの原書に触れる機会があります。そこで、少しばかり中国語には親しみを感じます。しかし、現代の中国語は簡体字です。

台湾で用いられている繁体字は、かつて日本で用いられていた旧漢字なので判読しやすいのですが、普通話は、文字のつくりの情報量が少ない分だけ判りにくいです。

街角や交通機関などの公共の場やレストランなどで最近、中国語がたくさん目に入ります。漢字なので何となくわかりそうですが、最初は勘違いしていたものもあります。

 

それは「加油!」です。ガソリンスタンドかキッチンでの話かと思いきや、

「加油日本!」で「日本頑張れ!」という意味になります。最近では、パンデミックに対して、賢明な初動の決断に引き続き、わが国より遥かに賢明な行動を継続している台湾に声援をおくるべく、「加油台湾!」と叫びたくなるところです。

 

さて・・・

 

山川異域、

風月同天、

寄諸佛子、

共結来縁

 

これは中日の仏教交流史上の逸話に由来する唐詩です。唐王朝の全盛期、日本からは仏教を学ぶために多くの僧侶が派遣されました。その際、日本の長屋王が千着の袈裟を縫わせ、唐の高僧への贈り物として持たせました。その袈裟の縁に刺繍されていたのが、この詩です。

その意味するところは、

 

自然の風物が異なる別々の国土に暮らしていても、

 

風や月のような自然は天ではつながっている。

 

この袈裟を仏弟子である皆さんに贈ります。

 

共に来世での縁を結ぼうではありませんか。

 

 

これは四句で仏の功徳を説くのが一般的とされる偈頌(げじゅ)という詩の形式です。この偈頌は『全唐詩』の中にも「繍袈裟衣縁」という題で収録されました。日中間の交流史に名高い「鑑真和尚」は、この詩に感動したことがきっかけで日本に渡ることを決めたと伝えられています。

 

中国語用のフォントに変換困難なため、註を加えます。

 

この詩の漢字のうち、異、風、は現代中国語では少し違った形です。

 

また、結、縁はほとんど似ている感じなので班別は容易です。

 

偶然ですが、「異風」には大きな相違がありますが、「結縁」はほとんど同じです。

 

水氣道の仲間の方はお馴染みの形変換のステップ「起・承・転・結・縁」で、最後の「結と縁」は、「結縁(けちえん)」という熟語を形成します。

 

これはもともと仏語(フランス語ではなく仏教用語です!)で、仏道に入る縁を結ぶこと、成仏・得道の因縁を結ぶことを意味しました。転じて、関係がつくこと、縁故を結ぶこと、の意味で用いられます。

 

水氣道では、前の動作と後の動作とが無関係ではなく、結びついているように、水氣道の道を得ることの喜びと感謝とに御縁を感じることができますように、という願いが込められている、と受け止めていただけたら素晴らしいです。

 

この詩は日中友好のシンボルとして、江蘇省揚州市の大明寺、鑑真記念堂前の石碑に刻まれているとのことです。

ただし、日本は現状のままのチャイナと友好関係を築くべきではないと同時に、日本人も自ら再覚醒して世界の真実を知らねばならないと考えます。