1月2日 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)その2

睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、中枢性SASか閉塞性SAS(OSAS)かの鑑別も必要となります。

 

中枢性SASでは無呼吸時に胸腔運動が停止しますが、閉塞性SAS(OSAS)では無呼吸時に胸腹逆転運動がみられます。

 

同居の妻の報告では、無呼吸時にいびきをかくほどなので胸腔運動は停止していないことがわかりました。
そこで閉塞性SAS(OSAS)を考えました。

 

閉塞性SAS患者ではレム睡眠と深い眠りが減少します。そして高血圧、糖尿病、不整脈、肺高血圧、脳梗塞、虚血性心疾患などの心血管系疾患を高率に合併します。

 

また慢性的な低酸素血症の代償として、骨髄における赤血球産生亢進により多血症になることがあります。


以上より、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の可能性について説明したところ、ご自身が検査医療機関を探し、さっそくポリソムノグラフィ(PSG)を行なった結果、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(AHI26)と診断され、CPAP療法を開始したとの報告を受けました。


AHI26は重症度をあらわしますが、15~30を中等症としますので、中等症に該当します。


CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開存させておくというものです。CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。

 

CPAP療法は、気道を確保し、肺容量を増やすことが期待できます。

その他にも、交感神経活性の抑制作用と降圧作用、インスリン感受性改善作用、内臓脂肪と血清レプチン濃度の低下作用、血清の炎症性マーカー(TNF-α、IL-6、CRPなど)の低下作用、血小板活性化や血小板凝集抑制作用などが報告されています。

 

また、血清一酸化窒素を上昇させて血管内非機能を改善する作用もあります。 

さらに、重症のOSASに対してCPAPを使用すると、致死的な心血管イベントの発生率が健常人と同程度まで減少したという大規模試験のデータがあります。

 

しかし、CPAP療法は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の根本療法にはなりません。根本療法と併用することによって、CPAP療法から離脱できるように導くことが望まれます。


<明日に続く>