2019欧州国際医学会研究旅行 第2日:2月28日(木)

ヴィリニウス

 

行動目的:

1)確実な移動Wien出発(10:00am)⇒Vilnius到着(00:45pm)

2)明日(第3日)の学会初日に備える

3)視力の補助手段の確保(オペラグラスの購入等)

 

 

第2日の行動目的は、本来であれば、

 

1)無事に欧州での拠点に到着する

 

2)明日(第3日)の学会初日に備えるのみ良いのですが、眼鏡の紛失という事故の経験をしたため、新たに

 

3)視力の補助手段の確保(オペラグラスの購入等)を追加しました。

 

 

行動計画:

①Wien国際空港へ

②Vilnius国際空港からバスにて市内のHotel へ(荷物預け)

③Vilnius市内でオペラグラスの購入

④学会会場へ(翌日以降の下見)

⑤★★★★Novotel Vilnius Centreチェック・イン(02:00~)

⑥人形劇場Vilnius Teatras Lèlèへ(開演06:30pm)

 

 

活動成果: 

ウィーンのホテルは私の欧州での活動の拠点に相応しい複数の条件を兼ね備えて居ます。

第一に空港からのアクセスの良さ、第二に市内での活動の場へのアクセスの良さ、第三に朝食サービスが6:00(日本時間では14:00)からであることなど、第四に手荷物預かりサービスの質です。Free LAN (Wi-Fi)設備については、今では当たり前になってきています。

極東の国から来た旅行者にとっては、時差の関係上、朝食サービスの開始時間は大きなポイントになると思います。

 

一回の旅行であまりにも移動が多くなることは、一般的にはお勧めできません。

しかし、私はこの移動日を無駄にせず、逆に有効活用することによって、限られた日数での経験を豊かにしたいと考えております。

 

わけても移動のたびに重くて嵩張るケースを引きずって歩くのはなるべく避けたいところです。ウィーンには3月3日(日)に戻るので、荷物はなるべくコンパクトにまとめ、その間ケースはウィーンの定宿で預かっておいてもらうのが便利です。

 

EU加盟国間の移動は、あっけないくらいスムーズでした。

第2日目の安心・確実な朝を迎えるため、寝坊の予防として、第1日目の夜は、あらかじめ徹夜の日と決めておりました。

 

①予定時刻より早めにVilniusのホテルに到着し、すぐにチェック・インを済ませることができました。12:00にはチェックイン可能とのことで、とても有難かったです。しかも受付の若手の男性職員は、いかにも誠実そうであり、実際に丁寧で洗練された聞き取り易い英語を話してくれました。

 

そこで、オペラ・グラスを売っていそうなお店の情報をマーキングした現地地図をいただき、さらに、72時間有効な市内交通プリペイドカード(ヴィリニチオ・コルテレの入手方法の情報も貰うことができました。

 

②部屋は、そのレセプショニストが、あらかじめ説明してくれた通り、最高の間取りでした。7階の東向きの窓からの眺めは絶景で、まるで中世のおとぎ話の世界が展開していました。これから、3日間、朝日とともにこの景色を楽しむことができるのであれば、最高です。

 

③出発の少し前にパソコンを新しくしたのと、インターネットの接続が容易になったことにより、ストレスは減りました。すると、野口さんから連絡が入っていて、私が落とししたメガネについて空港に問い合わせてくださいとメールがありました。その情報を受け、ホテルの近所でオペラ・グラスを探しに出かけることにしました。

 

そこで知ったことは、ヴィリニュスの中心街で働いている現地の人々は、ガイドブックに書いてあるほど英語には慣れていないことです。ガイドブックは簡単な英語しか使えない多くの読者を想定して書いているのでやむを得ないと思いました。コミュニケーションのリアクションは、欧米人というより日本人に近いような印象をもちました。

 

 

1件目の店頭の女性は、<I do not speak English.私は英語を話さないので>、ということで別の店員が対応してくれました。その女性も、ごくシンプルな定型文のような英語でないと通じにくいようで、困ったような顔をされてしまいました。ましてやオペラ・グラスなんて知らないという様子なので、早々に諦めて2件目に。そこでも、何とか英語で通しましたが、英語でなくてロシア語は通じないかと聞いてくる有様。年配の方はソ連支配下の時代が長かったことをいまさらながらに想起させられます。初歩的な英語を重ねていって意思疎通をはかろうと試みましたが、<オペラ・グラスは対応できません。メガネでよければお受けしますが、最低5日かかります>という話なので、ここもアウト。

 

そこで、発想を切り替えて、チケット販売所に行ってみました。そこで、72時間市内交通カードを購入した際に、二人の女性から、もう1件の眼鏡店を勧められました。<オペラ・グラスを探すのは難しいから、明日の仕事に間に合うように眼科医の処方であれば今日中にメガネを手にしてみては>というアドヴァイスでした。なるほど、ご尤も、ということで、お勧めの眼鏡店へ行きました。

 

この頃から天気が悪化して、小雨が降り始めていました。その眼鏡店では、受付の比較的若い女性が英語で対応してくれました。一時的な繋ぎでよいので、と申し出ましたが、どうしても、眼科医の処方が必要であること。眼科医の処方であれば1時間程度でメガネを用意することができることの説明を受けました。5日では諦めますが、1時間であれば日本並みです。そこで、明日に備えて新しい眼鏡を入手することにしました。

 

店員が、最初にフレームを選んで欲しいということなので、<私はファッショナブルな人間ではないので、あなたのセンスで選んでいただけないか>と持ち掛けたところ、たくさんの中から、瞬時に選んでくれました。それから、2回の眼科の女医さんのところで、検査を受けました。

<メガネなしでも近くはよく見えるが、学会の英文スライドや街中や空港での標識が読めないのは困る>旨を伝えたら、さっそくレンズ処方のための検査を始めてくれました。乱視の検査は省略されていましたが、その他は日本の標準的な眼科の水準と変わりがないような印象を受けました。

そういえば、旧ソ連時代からの眼科のレベルは比較的高かったような印象をもっていますが、おそらくそれは正しかったのではないか、と思います。視力に対する英語の会話は、さすがに高水準なやりとりまでできましたが、周辺の話になるとさすがの女医さんでも今一つのようでした。

 

支払いを済ませて、メガネの受け取りまでの1時間は、降雨から霰交じりになってきたため、カフェで過ごそうかとも考えましたが、ホテルの窓から見える教会の塔が目の前にあったので、そこを見学することにしました。

 

そこは、教会といっても司教座教会の大聖堂がギリシア神殿のような壮大さです。大聖堂の正面の大きな扉は開きそうもありません。そこで、大聖堂の右手前にがっちりと聳える鐘楼であるレンガ造りの塔の博物館に入ってみました。今日の報告のトップの横長の写真の左に赤い屋根の王宮の建物の背後にそびえているのがそれです。ちょうど私の部屋からとは逆の方角から撮った写真だと思われます。

 

出発前の徹夜続きで起こした右坐骨神経痛を引き起こしていました。それもあって高い塔に上るようなことは避けるべき、と考えていましたが、直前の火曜日の水気道が功を奏してか、体が前へ前へ、上へ上へと向かっていくのは不思議でした。レンガつくりの塔の壁から八方に窓があり、そこから周囲を展望しながら、らせん状に塔を上ることができます。オーディオ・ガイドが備えてあるので、時間潰しも兼ねてすべてのガイドの音声を聞きました。このガイドの音声はロシア語と英語です。英語よりロシア語に馴染みが深い市民や観光客が多いのだと思いました。英語のガイドはとても興味深いものでした。上の階は窓にガラスがなく吹き曝しの状態です。鐘がいくつもあって、現在でも使われているようです。

 

先ほどの眼鏡店では、すでにメガネが出来上がっていて、実際にかけてみて安心しました。レンズはSEIKO製で、女医さんから、<あなたの国から輸入した優秀な材料ですよ>と言われたので、<このメガネをかけたら急に世界が明るくクリアになりました。そして私のために親切にしてくれたあなた方が本当に素敵な女性たちだったこともわかりました>と返しました。いずれにしても有難かったです。明日以降の学会参加が台無しにならないで済むからです。

 

悪天ということもあって、あえて学会会場の下見や人形劇場へ行く予定は中止にして、ホテルの自室で明日の準備のための調べものをすることに変更しました。

 

窓から見える景色が刻々と変化し、日没になると、市内の主な建物がライトアップされて、とても感動的な時間が流れています。

 

 

 

国際学会のアナウンスについて

以下は、学会の内容を事前にアナウンスしているメッセージです。内容はとても平易であり、たいていの皆様に関係する日常的な内容であるため、翻訳してみました。

 

 

診療所で診察のたびに血圧を測定していただいていることの意味、高血圧の患者さんには血圧手帳を交付して自宅血圧を測定し、記録していただいていることの意味、水気道の稽古の前後で血圧測定をする意味、3か月ごとにフィットネス・チェックを推奨していることの意味、半年ごとに頸動脈超音波検査を実施していることの意味、これらのことがすべて明らかになっていくことでしょう。

 

 

About PreHT 2019

 

Dear Colleagues,

It is our pleasure to invite you to participate in the 6th International Conference on Prehypertension, Hypertension, Metabolic Disorders and Cardiovascular Disease, which will take place in Vilnius, Lithuania from 28 February – 3 March, 2019.

 

高血圧前症、高血圧症、代謝性疾患および心臓血管系疾患に関する第6回国際会議へようこそ

 

 

Prehypertension is a part of the continuum from normotension to hypertension it is a part of a dynamic process of stiffening and aging of the arteries and of the heart with its consequences. Patients in the prehypertensive range will become finally hypertensive. Diseased arteries will not only participate in propagation of end organ damage but will enhance the progression of additional damage in the arteries and the heart. Understanding the risk of borderline conditions in the metabolic syndrome will enable us to understand the nature of end organ damage and will create a possibility of better prevention of this continuous process.

 

高血圧前症とは正常血圧から高血圧症へと連続的に移行していく時期の状態です。それは動脈および心臓の硬化と加齢が次第に進行していく過程に相当します。高血圧前症の患者は最終的には高血圧症になります。動脈が病的になると、それが末梢へと進展して臓器障害を引き起こすばかりでなく、動脈や心臓の更なる障害の進展が加速されます。メタボリック・シンドロームの(健常者との)境界領域のリスクを理解すれば終末臓器の性状を理解することが可能になると同時に、このような連続的な病気の進行過程を予防するためのより優れた方略を見出せることでしょう。

 

 

Hypertension, Diabetes, Dyslipidemia and Obesity are considered as major risk factors for Atherosclerosis of cerebral, coronary and peripheral arteries. This process causes Development of Ischemic heart disease, obstruction to cerebral flow and PVD. Clustering of these risk factors is very common and their accumulation causes faster propagation of end organ damage and cerebrovascular events. The diagnosis of risk factors, especially when they are clustered, justify multidisciplinary aggressive therapeutic approach which should be started as soon as possible with the diagnosis.

 

高血圧症、糖尿病、脂質異常症および肥満症は、脳、冠状動脈および末梢動脈の動脈硬化の主たる危険因子であると考えられています。この過程で、虚血性心疾患、脳血流障害および末梢循環障害への進展がもたらされます。これらの危険因子が重なり合うことはとても多くみられることであり、これらの危険因子が集積すると、末梢臓器および脳血管障害の進展がより加速されます。危険因子の診断は、それらが複数重なる場合はとりわけ、集学的な治療アプローチを積極的に行うことが正当化され、それは診断とともに可及的に速やかに開始されなければなりません。

 

 

The association of multiple CV risk factors enhances rate of progression of end organ damage and affects morbidity and mortality. The presence of multiple risk factors changes the prognosis of the patients and should affect our therapeutic approach- an area with insufficient information and guidelines.

 

心臓血管系の危険因子が複数重なり合うと、終末臓器の障害の進展の度合いを増強することによって、疾病率や死亡率に影響を及ぼします。複数の危険因子が存在すると患者の予後を変化させるので、われわれ(=内科医)の治療の進め方‐情報やガイドラインが不十分な領域‐にもそれが反映されるべきです。

 

 

Systolic blood pressure (BP) of less than 140 mm Hg and diastolic BP of less than 90 mm Hg were for years considered as normal. Mounting evidence suggest that BP in the high reference range is associated with an increased risk of cardiovascular disease. The ESH report of 2006 defined it as “high normal” and the seventh report of the Joint National Committee on the Prevention, Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Pressure defined a new BP category “Prehypertension” for systolic and diastolic BP: 120 to 139 mm Hg and 85 to 89 mm Hg, respectively. This new category is a continuum to hypertension and is a risk factor for cardiovascular disease.

 

収縮期血圧140㎜Hg未満かつ拡張期血圧90㎜Hgという状態は長い間正常血圧であるとされてきました。科学的裏付けが集積されることによって(正常血圧とされてきた領の中でも)高めの血圧は心臓血管系の疾患リスクの増加に結び付いていることが示唆されるようになってきました。環境・安全・健康活動2006は、この領域の血圧を<正常高値>と定義し、さらに高血圧の予防、検出、評価および治療に関する第7回連合国家委員会は、収縮期血圧120から139mmHgかつ拡張期血圧85から89㎜Hgを血圧の新しい領域として<高血圧前症>と定義しました。この新しい血圧領域は高血圧へと連続的に繋がっていくものであり心血管系疾患の危険因子の一つです。

 

 

In most developing countries and in the urban areas of many countries, one in five to one in three adults fall in the category of prehypertension. Recently published ACC/AHA guidelines (2017) suggested change in the threshold levels to much lower levels which were considered normal previously. This change caused again scientific discussion. Recommendation and guidelines in the field have substantial public health importance and enormous economic consequences.

 

大半の発展途上国や多くの国々の都市部では、成人5人当たりで1人が高血圧前症に相当します。近年出版されたACC/AHAガイドライン2017は、かつては正常血圧であるとされていた水準より、かなり低い血圧基準を推奨しました。この変化によって再び科学的議論が引き起こされました。この領域の推奨やガイドラインは公衆の健康にとって重要な意味をもち、膨大な経済的波及効果があります。

 

 

The Conference will aim to deal with all aspects related to early diagnosis, including innovative technologies and treatments as well as discussion of target organ damage, cardiac, renal, neurological and peripheral arteries. The conference will bring together professionals from the fields of Hypertension, Cardiology, Nephrology, Endocrinology, Internal Medicine and more.

 

本学会は、心臓、腎臓、神経および末梢動脈といった目標臓器の障害を議論するとともに、革新的技術や治療法を含め、早期発見に関するあらゆる視点を取り上げることを目的とします。