総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)
<以外に多い、口腔アレルギー症候群>
未調理の生の果物や野菜を食べて、口の中が痒くなったり、口唇・口腔内が腫れたりしたことはありますか?
この病気は、ときに重症化して呼吸困難やアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
多くは花粉症発症者やラテックスアレルギー患者に起こるとされています。
これは即時型食物アレルギーの特殊型で、口腔アレルギー症候群と呼ばれます。
この症状を経験してる人は10%にも登るという報告があります。
日本では、すでに全人口の約3分の1がスギ花粉症を発症しています。
それだけ口腔アレルギー症候群が発症しやすい背景があると考えられます。
花粉症発症者で口腔アレルギー症状のある人は70%である他、気管支喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、ラテックスアレルギーなど何らかのアレルギーを有する人に発症しやすいようです。
また、口腔アレルギー症候群はシラカバ花粉症で多いことは知られています。
シラカバは山岳性の樹木であるのに対して、シラカバと同じカバノキ科のハンノキは日本に広く生息しているので、ハンノキ花粉症が口腔アレルギー症候群に大きく寄与している可能性があるでしょう。
シラカバ花粉のPR蛋白であるBet v1は、リンゴ・モモ・サクランボ・キウイ・大豆・ナッツなど多くの果物・野菜のPR蛋白と類似しているため、
シラカバ花粉症では、これらの食物を摂取することによって口腔アレルギー症候群をきたすことがあります。
口腔アレルギー症候群には、以下の診断基準があります。
① 必須条件:特定の食物を摂取時に口腔・咽頭粘膜の過敏症状を示す
②さらに①の食物によるプリックテストが陽性を示す
③または血清中に①の食物特異的IgEが証明される。
この診断基準により、口腔アレルギー症候群の診断は、高円寺南診療所でも容易です。
口腔アレルギー症候群の治療
原則は予防。原因物質を摂取しないこと!
ただし、どうしても摂取したいときには、加熱処理をすると経口摂取が可能になることがあります。
その際は、摂取前に抗ヒスタミン薬内服が勧められるが、これまでのところ確たる証拠はありません。
実際の症状に見舞われた場合。
口腔内掻痒感が軽度であれば、そのまま30分以上観察して、症状が消失するのを確かめます。
症状が進行する場合。
口唇や口腔粘膜腫脹が目立つ場合は、第二世代抗ヒスタミン薬を内服していただきます。
もやもやした前駆症状から、全身皮膚症状、呼吸症状、消化器症状が現れた場合には、アドレナリン0.3~0.5mLを大腿部外側に直ちに注射するなど、アナフィラキシーショックに備えた対応をします。
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