水の分類と「活水航法」No.5

病的な水である(広義の)痰飲(たんいん)について、

 

さらに説明を続けていきます。

 

 

(広義の)痰飲(たんいん)は4種類あり四飲と呼びますが、

 

前回までの(狭義の)痰飲、懸飲、溢飲に引き続き、

 

今回は四飲の最後の支飲(しいん)について解説します。

 

 

 

<支飲>は咳嗽、呼吸困難(とくに起坐呼吸)がみられるものです。

 

 

起坐呼吸とは現代医学用語の一つで、呼吸困難が臥位で増強し,

 

起坐位または半坐位で軽減するという臨床的徴候です。

 

つまり、起きているより寝ている方が呼吸は苦しくなる左心不全の主要徴候です。

 

 

<支飲>のこれらの症状は肺寒が原因となって、

 

寒飲が肺に留まることによって生じます。

 

 

まず肺寒とは肺の寒証とされます。

 

寒証とは、体外から寒邪を受けたり、

 

体内で生産される陽気が衰退したりすることによって起こる寒冷状態です。

 

足腰が冷えて痛い、寝冷えでの腹痛寒がり・手足の冷え・頻尿など冷えの症状を伴います。

 

 

次に寒飲とは、冷えて喀痰の多い状態をいいます。

 

 この場合、「飲」とは体液が透明希薄(粘稠な場合が「痰」)です。

 

透明希薄な飲邪となるのは陽気不足のため津液(体液)を濃縮する力がないからです

 

したがって、寒飲とは、身体のエネルギーが生産不足し、

 

身体機能が低下して冷えを生じることによって水湿が停積して

 

肺(皮膚・鼻を含む呼吸器系)のエネルギーの流れをせき止める病態です。

 

 

その寒証にも虚寒と実寒があります。

 

 

○ 虚寒は陽虚(エネルギー不足で冷えを伴う状態)で生じ、

 

稀薄な多量の痰・寒がる・口渇がない・口中に唾液が多い・舌苔が白滑などがみられます。

 

治療法は温肺散寒(肺を暖めて、冷えを解消する)

 

 

水氣道では、最初の親水航法から、

 

ゆっくりとしたテンポ呼吸を整えることに留意しながら運動するようにします。

 

すると、次第に、呼気が暖かく感じられるようになります。

 

 

それは、肺が温まって、冷えが解消された証となるものです。

 

 

準備体操「イキイキ体操」や標準五航法までで十分なことが多いですが、

 

さらに「理氣航法」でさらに肺を暖め、

 

また慣れてくるにしたがい「活水航法」を習得することが有益です。

 

 

○ 実寒は寒邪を感受して生じ、鼻閉・鼻水・咳嗽・稀薄な痰などがみられます。

 

治療法は発散風寒(体表にとりついた病邪を発汗させて排除する)

 

・温肺化痰(肺を暖めて排出しやすい痰ができるようにする)

 

 

水氣道では、準備体操「イキイキ体操」や標準五航法までで十分なことが多いですが、

 

さらに「調血航法」で発汗を促し、

 

また慣れてくるにしたがい「活水航法」を習得することが有益です。