消化器・代謝内分泌内科Vol.2

今月のテーマ<痛風・高尿酸血症>

 

 

「高尿酸血症・痛風の最近のトレンド」

 

1)高尿酸血症は、本邦の30歳以降の成人男性では推定30%で、

 

30~60歳台のすべての年齢層の男性で現在も増加傾向にあります。

 

 

その背景として摂取カロリーが減少しているにもかかわらず、

 

肥満者の割合が増加していることが挙げられます。

 

 

その理由は、1日当たりの歩数の減少をはじめとする

 

運動不足による体脂肪率の増加が考えられています。

 

 

肥満および運動不足による体脂肪率の増加をはじめとする

 

メタボリック・シンドロームも、

 

血清尿酸値の上昇に結び付く可能性を示しています。

 

 

 

2)血清尿酸値は慢性腎臓病の発症や進展に関係します。

 

なお一般集団において高尿酸血症は腎不全の危険因子です。

 

痛風は、本邦の30歳以降の成人男性では推定1%超です。

 

 

 

3)肉類・砂糖入りソフトドリンク・果糖の摂取量が多い集団、

 

BMI(体格係数)の高い集団は痛風になりやすいです。

 

これに対してコーヒー摂取量が多い、ランニング距離が長い、

 

適切な運動を日常的に行う集団は痛風になりにくいです。

 

 

 

4)痛風・高尿酸血症の合併症には尿路結石があります。

 

尿酸結石が主ですが、その危険因子は、尿量低下、

 

高尿酸尿症(尿中に排泄される尿酸の濃度が高い状態)、

 

酸性尿の3つが重要です。

 

したがって、1日2リットル以上の尿量の確保、

 

尿中の尿酸排泄を高めない治療方法の選択、

 

尿のアルカリ化が尿酸結石の予防に有効です。

 

 

 

5)血清尿酸値は単独で将来に高血圧を発症にかかわりがあります。

 

また、脳卒中の初発ならびに再発リスク、

 

心不全による予後ならびに再入院の予測子になる可能性が指摘されています。