緊急対策:新型コロナウイルス感染予防戦略No3

<杉並国際クリニック事務長兼選任管理薬剤師の経験談より>

初めにお断りいたしておきますが、以下の報告例は、杉並国際クリニックを受診した患者さんの直接の症例ではありません。

薬剤師である事務長が娘Kの親友YのSOSに対して緊急のアドヴァイスをしたケースです。

迅速な対応を要したため事後報告例です。しかし、この情報を共有することによって、今後の新型コロナウイルス感染症予防・早期対応のための戦略を練ることができました。

 

NHKが4月15日に放映した「クローズアップ現代+」の中で、慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の宮田裕章教授らが全国の約2500万人を対象に3月31日から4月1日の間に行ったLINEを用いたビッグデータの調査結果が報道されました。

それによると、全国で約2万7000人が、37.5℃以上の発熱が4日間以上続いていたと回答していたことが明らかになりました。

しかし、実際に37.5℃以上の発熱が4日間以上続いても検査が受けられない事態になっており、この間に、打つべき手を打つかどうかが、感染者の重症化とクラスター発生の防止の決め手になるのではないか、と考えています。

 

 

4月3日。次女Kの友人Yの兄(Nさん)が突然の39℃の発熱。しかもバイト先の店長が新型コロナウイルスのPCR検査を受け陽性と判明。その関係性を踏まえて保健所に報告して相談したが「最短でも4日経たないと何もできない」と言われました。

発熱してから5日目で検査を受けることができたのは、職場で陽性者が発生したためであり、一般的にはそれ以上待機させられる模様でした。

 

Yさんは「兄のNさんが高熱のまま何も施さずにいるのは耐えられないし、自分を含めた同居の家族も感染するのではないか」と恐怖にかられてTwitterにSOSをアップ。
それを見て心配したKから相談を受けました。

そこで<高熱に臥せているNさんには『藿香正気散(かっこうしょうきさん)』と『玉弊風散(ぎょくへいふうさん)』、ご家族には『玉弊風散(ぎょくへいふうさん)』を服用するように>という専門の薬剤師の立場からの指示をしました。

しかし、Kは「親が医療従事者であるという個人情報を開示したくない」という意向がありました。

しかし、週末のことでもあり、事態は一刻の猶予もならないとのことで、敢えて連絡させました。

幸いにも間に合い、その日のうちに漢方薬を入手することができ、服用したところNさんの熱は下がり検査を受ける頃には元気を回復していました。

 

「PCR検査の結果は陽性となったものの自宅待機の指示になった」との連絡を受けました。

同居家族四人とも必死な思いで『玉弊風散』を内服したためか、幸いだれも発熱をすることなく2週間が過ぎました。

同居の家族は濃厚接触者であるためPCR検査を受けて当然なのですが、受けることができなかったため詳細は不明です。ただし、無症状感染者である可能性が高いため、自主的な判断で今でも自宅待機を続けているそうです。

 

このように、いざ発熱をしてから保健所に連絡をするまで、そして、連絡をしてからも数日待たされて、そこから感染症専門の病院に行くまでの過ごし方次第で重症化するかしないかが分かれると考えました。

 

ここから私たちは何を学べたでしょうか。保健所ばかりの責任ではありませんが、保健所自体が機能崩壊をしています。

PCR検査は手続きの一つであるにもかかわらず、検査を受けることですべてが解決するかのような誤解があります。検査を受ける前に、なすべきことをなすことが肝要であり、それによって感染者の重症化を防ぎ、家族全滅などの小クラスター発生を防止できることを学べたのではないかと思います。

 

そこで、今後私たちは、実行可能な有効策から確実に準備していきましょう。そのポイントは、私たち全員がすでに新型コロナウイルスに感染しているとみなして行動を開始することです。

 

杉並国際クリニックでは、すでに具体的な戦略案を準備したので、次回、さっそく皆様にご提案したいと思います。