2月21日 パーキンソン病とその周辺(No5)

パーキンソン病の治療

 

パーキンソン病では、自律神経機能が障害されやすく、その場合、

 

1)起立性低血圧によるめまいがよく見られます。

その原因は交感神経機能の障害であると考えられます。

 

対策としてはまず有効循環血液量を増加させる目的で、飲水量を増やし、塩分を摂取することが推奨されます。

 

次に、血圧を上昇させる目的で血管収縮薬(昇圧薬)の投与、塩分保持薬の服用により血液量を増加させる対策を取ります。

 

しかし、これらの対策ばかりであると、臥床性高血圧となることが多く、臥床時に血圧を測定することが重要となってきます。

 

臥床性高血圧がみられた際には、臥床時に上半身を挙上して対応する必要があります。

 

もとより高血圧や腎臓病の方がパーキンソン病になると、血圧管理が困難になります。

 

誰がパーキンソン病になるかは予測できないので、万が一のためにも日頃から血圧を管理し、また慢性腎臓病等にならないように気を付けておくことが大切だと思います。

 

 

2)食事性低血圧(PPH)を来すことが多いです。

 

健常者では食事負荷にともない腹部への血流シフトがもたらす消化管ホルモンの血中ニューロテンシンの分泌増加により血管拡張作用すると交感神経活動が亢進して、血圧が維持されます。

 

これに対してパーキンソン病患者で交感神経機能の低下が伴う場合、ニューロテンシンによる血圧低下作用を代償する交感神経機能による調整が働かなくなるために低血圧が生じやすくなります。

 

PPHの血圧変化は食事負荷後早期からみられることもありますが、一般には食後30~60分でピークを迎え、長くて2~3時間続きます。

 

一日のうちで朝食後に最も顕著にみられることが多いです。

PPHは一般に糖や炭水化物の摂取で血圧低下が最も強くみられるのに対し、脂質、蛋白質摂取による場合は軽度です。

 

大量カロリー食や高温食では血圧降下の程度が大きいです。また胃からの排泄時間が短いほど血圧低下の程度が大きくなります。

 

対策としては、朝食は相対的に少量の冷食とし、糖や炭水化物を制限し、良質な脂質と蛋白質に富んだものとすることが有益となることでしょう。