最新の臨床医学 2月11日(月)内科Ⅰ(消化器・肝臓)

内科2

 

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

Q5ピロリ菌感染や除菌効果の診断は、どのようにすればよいのですか?

 

Q5-1ピロリ菌感染はどうすれば診断できるのでしょうか?

 

A

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染による「ピロリ感染胃炎」の診断には、

①内視鏡検査、②バリウム検査(エックス線造影検査)のいずれかを行います。

 

通常は①によりピロリ感染胃炎であることを診断し、その後、ピロリ菌感染の診断を行うのが一般的です。

 

ただし、杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、胃全体像を捉えることができ、しかも頻度の多い機能性上部消化管障害を評価し易い②バリウム検査(エックス線造影検査)で行っています。

 

 

ピロリ菌感染の診断には複数の方法があります。

 

①抗体検査、

②尿素呼気検査、

③便中抗原検査、

④ウレア―ゼ試験、

⑤培養検査、

⑥顕微鏡検査、

⑦血液中ペプシノゲン検査

 

 

これらのうち、非侵襲的検査法といって患者さんにとって負担が軽い方法は、

 

①抗体検査(尿または血液中のピロリ菌に対する抗体を測る検査)

②尿素呼気検査(ピロリ菌が持つウレア―ゼという酵素の働きを呼気で調べる検査)

③便中抗原検査、です。

 

 

これらに対して、侵襲的検査法として胃粘膜の組織を採取する内視鏡検査での診断法として、

 

④ウレア―ゼ試験(ウレア―ゼの働きを生検組織の入った試験液の変化で判断)

 

⑤培養検査

 

⑥顕微鏡検査

 

 

以上の他に、保険診療の適用外(保険が使えず、自費の検査)にも有用な検査法があります。

⑦血液中ペプシノゲン検査(蛋白質を分解する消化酵素であるペプシンの前駆物質を調べる)

 

 

除菌前の感染診断には、①抗体検査、④ウレア―ゼ試験、が便利です。

 

ただし、④ウレア―ゼ試験、は内視鏡による組織採取を行うため、採取する部位によっては正確な診断が得られない場合があります。

 

また、②尿素呼気検査、③便中抗原検査は、より正しく診断可能な検査ですが、検査方法が煩雑という実際上の難点があります。

 

 

そこで、杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、①抗体検査、採用していますが、年内に、②尿素呼気検査の導入を検討中です。

 

なお、胃潰瘍の治療中の患者さんに対しても感染診断検査は適用できますが、治療薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)には静菌作用があるため、PPI投与中止後2週間以上を空けて検査します。PPIは保険適応上、胃潰瘍は8週間、十二指腸潰瘍は6週間という制限があるため、投与終了後2週間以降も検査のタイミングとして活用できます。

 

 

Q5-2ピロリ菌の除菌がうまくいったことを診断するにはどうすればよいのですか?

 

A5-2ピロリ菌除菌後の評価を行う方法は3つあります。

①尿素呼気試験、

②便中抗原検査、

③血中抗体検査

 

これらのうち、①と②は除菌治療から4週以上(2~3か月が望ましいです)経ってから行います。

    

これらに対して、③は除菌治療から6ヵ月以上経ってから行いますが、除菌前のデータ数値と比較することで除菌が成功したかを判定します。

     

杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、ピロリ菌感染の診断に血中抗体検査を採用しているため、ピロリ菌除菌後の評価も血中抗体検査を行っています。