日々の臨床 6月15日 木曜日<口腔カンジダ症>

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:口腔カンジダ症

 

 

<おそろしい日和見感染症のお話>

 

高円寺南診療所は難治性の慢性疾患の患者さんが多数来院されています。

 

その代表が線維筋痛症です。

 

 

永らく線維筋痛症に罹っていると、生活のリズムが狂いがちになり、

 

睡眠の質が低下して慢性疲労状態に陥ったり、行動体力ばかりでなく、防衛体力など

 

回復力や自然治癒力に繋がる免疫力が低下したりしがちです。

 

なお、高度に専門分化した現代医療システムのもとで線維筋痛症は難治性とされていますが、

 

自然志向の統合的医療を採用している高円寺南診療所では、

 

自立歩行で来院される線維筋痛症の患者さんのほとんどは決して難病ではありません。

 

 

さてカンジダは真菌、すなわち一般にカビ、キノコ類のことで、

 

細菌とはことなり真核細胞の一種です。

 

カンジダの形態はソーセージ状の糸状菌として顕微鏡で観察できます。

 

カンジダ症とは常在菌であるカンジダ属による真菌感染症です。

 

これは日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)の一つとして重要です。

 

 

日和見感染症とは、健康人では感染症を起こさないような病原体

 

(弱毒微生物・非病原微生物・平素無害菌などと呼ばれる)が原因で発症する感染症です。

 

常在菌とは、主にヒトの身体に存在する微生物(細菌)のうち、

 

多くの人に共通してみられ、健康人であれば病原性を示さないものです。

 

 

加齢に伴う体力減衰等の要因によって動物の免疫力が低下すると、

 

通常であればその免疫力によって増殖が抑えられている病原性の低い常在細菌が増殖し、

 

その結果として病気を引き起こすことがあります。

 

 

すなわち日和見感染とは、生体と病原体との間で保たれていたバランスが

 

生体側の抵抗力低下により崩れ、生体の発病につながるものです。

 

日和見感染を起こす病原体の中には薬剤耐性を獲得しているものも含まれており、

 

いったん発病した場合にその治療に有効な薬剤が限定されることから、

 

医学上の大きな問題になっています。

 

なお、免疫力の低下により易感染性になった人のことを、易感染宿主といいます。

 

 

分類:カンジダ症には、表在性カンジダ症と深在性カンジダ症があります。

 

口腔カンジダ症は皮膚粘膜病変などの表在性カンジダ症に分類され、舌痛を伴います。

 

 

鵞口瘡(がこうそう)は、口腔内カンジダ症で口腔粘膜に多発性、

 

散在性のミルクかす状の白斑、白苔と偽膜がみられます。

 

 

食道カンジダ症を伴うと嚥下痛、嚥下困難、胸痛を呈し、

 

しばしば胃、腸にまで病変が拡大するので注意が必要です。

 

 

検査:確定診断は真菌学的検査(表在性真菌症では水酸化カリKOH法)、

 

病理組織学的検査により真菌の存在を確認することによりますが、

 

補助的診断としては血清学的検査でβ-グルカンが陽性になり、

 

特異的抗原検査ではマンナン抗原を検出します。

 

 

治療:トリアゾール系のイトラコナゾール(ITCZ)の内服が第一選択となります。

 

イミダゾール系のミコナゾール(MCZ)フロリード®ゲル経口用も使われています。

 

ただし、抗真菌薬は濫用によって、アズノール系抗真菌薬耐性の

 

カンジダ・アルビカンスが増加しているので適正な使用が必要です。

 

 

注意:

1)カンジダは口腔内の常在菌のため誤嚥性肺炎を起こすことがあります。

 

2)カンジダ血症では眼内炎を合併しやすく、進行すると失明することがあり、

早期の発見が必要です。

 

 

アドヴァイス:

免疫力を高めるための水氣道の継続的参加、

 

肺炎ワクチン、インフルエンザワクチン、帯状疱疹ワクチンなどで

 

きちんと予防対策をとっておくことが大切です。

 

自分の体力や気力のスタミナを超えて無理をしないこと、

 

身体の部分ではなく、メンタルを含めた心身のトータルな管理を

 

主治医と共に継続することが大切です。