日々の臨床:4月6日 木曜日

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:石綿肺

 

 

高濃度の石綿(アスベスト)の吸入による呼吸器疾患です。

 

診断には職業歴が重要な手がかりとなります。

 

 

この病気の方の診断の上で、指が決め手になったことがあります。

 

喫煙者でもあり、聴診器を当てる前から、呼吸雑音が聴かれたため、

 

動脈血酸素飽和度計測のため指を確認したところ、指の先端が丸く膨らんだ、ばち状の指でした。

 

 

そこで、呼吸機能検査をしてみると、肺活量が極端に少なく、拘束性障害を認めました。

 

胸部レントゲン検査では、両側の肺の底部外側部に微細な線状・網状の影がみられ、

 

胸膜の肥厚も認めました。

 

 

その症例は、肺癌合併例でした。高濃度の石綿に長期間晒されていたうえに、ヘビースモーカーでした。

 

 

石綿肺の合併症として重要なのは、肺癌悪性中皮腫であり、

 

肺癌のリスクは喫煙により相乗的に高まることが知られています。

 

 

肺組織中のアスベスト小体を証明すれば確定診断ですが、

 

実際にアスベストの混じった粉人を顕微鏡で直接確認したのは、

 

医師になってから、以下の国家資格を取得後の技能講習会でした。

 

 

第一種作業環境測定士鉱物性粉じん

 

作業環境測定士講習修了証:第日測 粉〇八〇四五号(平成二十年八月一日)